火遊創作!その2!黒炎の仕組み!
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「で、今日は火遊びって言ってたけど、具体的に何するの?というか、うちも一緒にやっていい?うち、今日は一日暇なのよね」
なるほど。暇だったから、いきなりテレポートでここに遊びに来たのか。
「これ以上誘惑しないのならいいぞ。で、今日やるのは、キャンプファイヤーを作ったり、松明をつくったり、ろうそくを作ったり、そういう感じな?」
「ふふ、面白そう!たまにはそんな遊びもいいかもね」
こういう遊び感覚のものづくりは、一人でやるより、誰かと一緒に作るほうが俺は好きだ。だから、ウツギの提案は、俺としてもありがたい。
それに、ろうそくやアロマキャンドルの材料である、蜜蝋も余るくらい家にあるしね。
実は昨日、閣下から結構な量の蜜蝋をお裾分けされていたんだよね。その時から、これで色々作ってみたいとワクワクしていた。
てか、俺の家に遊びにきただけなのに、律儀にお裾分けを持ってきた閣下、偉いよね。そういうとこ、俺も見習わなきゃな。
ちなみに、お裾分けのお返しに、俺は昨日たくさん作って余っていたチャーハンを、その場で渡しておいた。
閣下は一粒だけ食べて、ピカピカ光って喜んでいた。その後、「もうお腹いっぱい」と、お腹を擦って満足そうにしてたっけ。閣下は普段からかなり少食らしいからな。ひと粒でも十分だったのだろう。
「じゃ、うちはアロマキャンドルでも作ろうかしら」
>ウツギのくせにおしゃれなもんを作るな
>なあ?黒炎のアロマキャンドルを作って!
>黒炎のサイキッカーなんだから、黒炎の松明作れ
あれだな。今日のコメントのノリは、普段の配信とあまり変わらないな。俺とウツギはどうやら、視聴者からの扱われ方が似ているようだ。
ただ、なんだか今日はコメント欄がいつもより賑やかだ。まあ、コラボ配信のようなものだからなのかな?
「さて、やるか!ひとまず俺はろうそくを作ってみようかな!」
活気あるコメント欄をちらちら見て、内心少し喜びながら、俺とウツギはそれぞれ作業に入る。
「そういえば、今ふと思ったんだが、黒炎ってどうやって作るんだ?炎って普通、黒くならなくない?」
作業の手は止めずに、俺は気になっていたことを聞いてみた。
炎というのは多少燃えるものによって色は変えられるが、黒く燃えるというのはかなり珍しいはずだ。
だって、俺はウツギの戦い以外で、「黒い炎」なんて見たことがないからな。
「うーん。この炎、うちも感覚的にやっているから、説明しろっていわれても難しいのよね。最初は私の母国の恒星の“黒点”を参考にして作ったんだけど……色々試行錯誤していくうちに、今の形になったのよ。正直、理論的にどうなっているかは、うちにも分からないわ」
ええ!それってさあ…あれじゃん。
自分にしかできない必殺技ってことじゃん!すげえ!
ウツギが操る炎は、どこか神秘的で、見る者を引き込む美しさがある。まさに、「The・必殺技」って感じ。くっそ羨ましい。
そう考えれば、ウツギって「黒炎のサイキッカー」っていう二つ名すらあるし、独自の技まで持っているってことだよな?
もはや、漫画のキャラみたいだな。
いいなあ…俺も、俺だけの必殺技とか、奥義とか作りたい!ついでにかっこいい二つ名もほしい!
対して俺なんか「世界一ちょろい男」っていう、不名誉な二つ名くらいしかないんだぞ?そろそろ俺もとんでもない技とかを編み出して、「全宇宙最強の男」みたいに呼ばれたい!
…とか妄想しつつ、俺は湯煎で蜜蝋を溶かしていく。
その後も俺はウツギに黒炎のことについて質問し続けた。せっかくの機会だし、この際黒炎というものを丸裸にしてみようか。
ウツギは俺の質問の雨に、毎回律儀に答えてくれた。もちろん、決して作業の手は止めずにだ。
色々聞いた結果、正直難しくて全ては理解できなかった。それでも、自分なりにその黒炎の説明を、噛み砕いてまとめてはみた。
まず前提として、太陽の黒点というのは、周りが高音すぎて、それよりも低い温度の場所が黒く見えてしまうという現象だ。
その現象をウツギは再現しようと、サイキックで原子を崩壊させて爆発させ?さらに炎を不安定な状態にさせ??それをサイキックで無理やり安定させたらしい???
その結果できたものが、あの黒炎とのこと。
「うん。よく分からないことが分かった!」
>おいwwwあれだけ質問攻めしておいてそれかよwww
>分からないことをドヤ顔で宣言するなwww
>まあ、ワイもよく分からなかったんだけどな!
>ウツギ自身もよく分かっていないんだから、仕方ない
そんなコメント欄で少しにやけたりもしたが、それはそれとして同時並行で、俺は芯の準備に入る。あくまで今日は火遊びがメインだからな。会話に集中して、そっちをおざなりにしてはいけない。
実はろうそく作りというのは、蜜蝋さえあれば簡単だ。
型を用意し、綿や麻紐などでできた芯をそこにセット。その後型にろうを注ぎ込み、冷やし固めればもう完成なのだ。簡単だろ?
ちなみに俺が用意したろうそくの型は、内側がツルツルの木の皮で、強引に作った。
「よし!後は型に芯を立ててっと、ろうを注ぎ込んで…これが冷えれば完成だ!」
「うちもアロマキャンドルが仮完成したわ。いっぱい作っちゃったから、お裾分けするわね」
「お、サンキュー!」
俺が一つ作る間に、ウツギはサイキックを使い、同時並行で十個くらい作っていた。流石ウツギ。手際が良い。
ウツギはアロマキャンドルを作るために、一時テレポートで拠点に戻り、お気に入りの型とアロマオイルを家から持ってきていた。
ガラス製の型で作られたそのキャンドルは、俺のよりずっとおしゃれで完成度が高い。そんなのをお裾分けしてくれるなんて、正直めちゃくちゃ嬉しい。
「うわあ……これは、綺麗だな。飾っておきたいかも」
「ふふ、気に入ってもらえたならよかったわ。よし!うちは次、松明を作ってみるわ!面白そうだし、試しに黒炎で燃やしてみましょう!」
>おお!
>黒炎の松明、見たかったやつ!!
>危なそうだけど、大丈夫なのか?
……その後。
黒炎で燃やした松明は、一瞬で灰となってしまい、どこか盛り上がり欠ける結果となった。
そしてなぜか、盛り下がったことをウツギは視聴者に責められていた。
「元はといえば視聴者たちがやれって言ったんでしょ!なんでうちのせいみたいになってるのよ!」
>は?そんなこと一言も言ってないが?
>お前が勝手にやりだしたことだぞ。自分の行動に責任を持て
>そんなんだからお前は闘技場でヒノキに負けたんだよ
>あの時負けたこと、私はまだ許してないからな!金返せ!
「ちょっと!闘技場でのことは関係ないでしょ!いい加減、その話を持ち出すのやめてよ!」
…なんだか俺を放置して、コメント欄が盛り上がっている。
あのー。配信が盛り上がるのはいいんだけど…一応俺の配信だよ?俺の存在、忘れてない?
――そんなこんなもありつつ、俺とウツギの火遊びはまだまだ続く。
キャンプファイヤーを作り、焚き火を中心に座って、ゆらゆらと揺れる炎を楽しんだり、ろうが冷えて完成したキャンドルを灯して、甘く漂うハーブの香りを楽しんだり…
>この空間、妙に落ち着く
>焚き火っていいよなあ…
>こういう回、定期的に欲しい
>火をみてるだけで、不思議とリラックスできる
火を灯すと、こんな感じのコメントが多くなる。どうも視聴者も火を見ると落ち着くらしい。いつも視聴者ははっちゃけまくっているので、たまにはこういう日があってもいいよな。
「あれ?そういえば、モグちゃんいなくね?」
「ホントね?さっきまでヒノキの家でのんびりリラックスしていたはずなのに、どこへいったのかしら?」
>お前らが火に夢中になっている間に、探検から帰ってきたクスネきゅんに追いかけ回されてたぞ?
>クスネくん、逃げられると追いかけたくなる性質らしいwww
>すごく楽しそうに追いかけてたなあ…
「あらそう。じゃあ、うちはモグちゃんを探しに行ってくるわ。じゃあね!楽しかったわ!あ、そうだ。もし本気で“火遊び”したくなったら――いつでも駆けつけるから、すぐ連絡するのよ?」
ウツギはウインクしながらそう言い残し、テレポートで消えてしまった。
来る時も、帰る時も唐突だなあ…
>ヒノキ、実は今日ずっと、ほんのり悶々としてたよね?
>まじでもうすぐ一線超えそうwww
>ねえ?ウインクされて、ドキッとした?
「…じゃ、じゃあ、俺も今日の配信は終了!あ、明日はチートデイだからな!楽しみにしておいてくれ!」
>誤魔化すな
>自分がちょろいことをいい加減認めろ
>明らかに早口で草
>ウツギに火傷しそうってか!はー、熱いねえ…
「うるせえ!うるせえ!もう配信終わる!おつ!」
>はいはい、おつ
>おつかれー
>かつかれー
>今日も楽しかったぞ
>明日も楽しみ
そうして、俺は少し強引に配信を切った。
色々あったが、ウツギとこうして遊ぶのは、なかなか楽しかったな。
次回予告:俺にしか見えないナニカ




