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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
4章 夏休み!

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怠惰配信!とにかくダラダラ!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。


「ういーす。堕落(だらく)怠惰(たいだ)ムキムキイケメンのヒノキでーす。今日はとくに何もすることはありません。ということで、夏休みらしくダラダラしたいと思いまーす」


>告知くらいしろ

>今日も楽しみ

>おい。なんだその態勢は?

>寝転びながら生配信するな

>くっそやる気なさそうで草


 俺は今家の中で、地面に仰向けになりながら配信している。両手を枕にして、だらりと力を抜いた状態だ。


「今日はなーんにもしないぞ。夏休みと言いつつ、何気に色々活動してた気がするからな。夏休みといえば、予定がなくて、一日を何をするでもなく過ごすのも醍醐味だからなあ……ふぁあぁ~あ」


 コメントを横目に見ながら、大きくあくびを一つ。


>今日は何もしないというのが、態度に現れすぎてるwww

>過去最高にダサTが似合ってるなwww

>夏休みの概念は人それぞれすぎると、前も言っただろ?

>そういや、今日はダサTの文字を設定してないようだから、無地になってるぞ


「あ、忘れてた。うーん、なんてTシャツに文字を入れようかなあ……よし。これにしよう」


 俺はチップで“ハズレ回”と文字が出るよう設定する。


「ということで、今日の配信はハズレ回なので、見ても面白くないと思うぞ?だから、見なくてもいいからな~」


>おい、配信者

>配信しておいて、見なくてもいいとは?

>死ぬほどダラダラしてる男を見るのも乙なもんだから、何も問題ない

>雑談回ってわけでもないのね


「……平和だなあ」


>会話に脈略がないな

>ほんとにノープランで配信始めたんだなwww

>平和だなあ…

>眠くなってきたわ


「あ~………ほんと、平和だなあ」


>えっ?今日ずっとこんな感じ?

>まさに、ハズレ回だwww

>アンドロイド様いつも宇宙を平和にしてくれてありがとう



「…米食いてえな」


>今日のヒノキは脈絡がなさすぎるwww

>探索で陸米見つけたんだから、食べようと思えば食べられるだろ?

>あ、そうか。こいつの家って自動調理器が無いのか

>調理器もトライポッドしかないしな


「…アイス、食いてえな」


>私もアイス食いたい!

>バニラアイスが好き!

>シャーベットこそ至高


「…ソファー欲しいし、美味しい料理も食べたいし、お前らに何もしなくてもチヤホヤされたい。面白い本を読みたいし、ジャンクフードも食べたいし、映画も見たいし、買い物もしたいし…セリとトリカに一生俺の事好きでいてもらいたいし、ヨヒラには毎日味噌汁を作って欲しいし、ウツギは…特に何もないや」


>草

>ウツギをオチで使うなwww

>突然強欲すぎて草

>マジックカード強欲な壺発動!

>そんな願望があるのに、なんでスローライフなんてやってるんですかねえ…


「よし、母の店でなんか買おう。そんな俺の願望を叶えてくれるアイテムないかなあ~」


>なにが「よし」だよwww

>お前のマッマの店、いたずらグッズ専門店だぞ?正気か?

>あるわけないんだよなあ…

>こいつ、ダラダラしすぎて、判断力が鈍ってやがるっ…!


「“不快感放射器”、“モラル破壊ブレード”、“体内ガス大量発生クロスボウ”、“男女逆転注射器”……ははは、相変わらずろくなのないな、この店。誰だよこんな店を開いてるの。商売する気あんのかよ」


>お前のマッマだwww

>マッマさん涙目

>いや、事実この店はろくなものがないw


「あ、でも、これいいじゃん。なになに?人を本当に駄目にするソファー?なんか分からんが、ソファー欲しいし買っちゃえ買っちゃえ!購入ボタンぽちー」


>おい。冷静になれ

>あーあ

>やはり判断力が鈍ってやがる…

>結構高いのにポンと買ったな


「こうやって買ったら、ワープでこんな遠い惑星でもすぐ届けてくれるの、すごくありがたいよなぁ……あ、もう来たっぽい」


 チャララララン♪ 荷物が届きます♪


 ワープ転送技術によって、到着予定地にシュンと一瞬で届いた。ちょうどソファーを置きたい場所を予定地にしておいたので、配置の手間もない。


 さて、と。


「よし、ここからあっちまで歩くのすら面倒だが、頑張って動いて、ソファーの上でダラダラしますかね」


 そういえば、これは一見普通のソファーだが、なんで「人を本当に駄目にするソファー」という名前なんだろうか? 


 …ま、いいか。寝転んでみたら分かるだろう。


 ということで、のそのその歩いて、俺は買ったソファーの上に寝転ぶ。


 …うん。別に、普通のソファーだが?



――と、俺が油断していると…


 ソファーから木の根っこのようなものが生えてきて、俺の体がソファーにガチッと縛り付けられた!


 その木の根っこのようなものには、なにか特殊な力があるようだ。縛り付けられた瞬間から、自分の意思で、自分の身体が動かせなくなった。まるで身体の所有権が俺ではなくなったかのような、奇妙な感覚だ。


 そんな状態の俺は、俺の意思とは関係なく、気づけば口が勝手に動き出し、言葉を発していた。


「あー。なんか、わざと女性に思わせぶりな態度をとって、自分のことを好きにさせてから、いざ女から告白される時、『ごめん、あなたのことは友達としか思えないんだ』とか言って、女どもを絶望させたくなってきたな…」


>ひどすぎる!!

>最低!女性の敵!許すな!

>おまえ…それはやっちゃあいけないだろ…

>いたい、いたい、いたい!心が痛い!


 いや、俺はそんなこと思ってないからな!信じてくれ!なぜか、勝手に口から言葉が出るんだよ!


 あ、もしかしてだけど、人を()()()駄目にするって、そういう意味なの?駄目にするというのは、柔らかさの比喩表現ではなくて、性格面の話だったのかよ。騙された!


 そして、俺の口はまだまだ止まりそうにない。


「あーあ。なんで女ってあんな可愛いんだろうな?おっぱいとかさあ、あれ、反則じゃね?あんな魅力的なものに抗えるわけなくないか?俺がちょろいのは俺が悪いんじゃなくて、お前らが可愛いのが悪いんだからな」


 ちょ、ちょっと!そういう恥ずかしいことをぶっちゃけないでくれ!早急に、誰か俺の口を塞いでくれ!


>いやあ…へへへ

>こいつ、なぜか女の胸が好きなんだよな。あんなのの何が良いのやら…

>やはり、こいつから見えている世界がおかしすぎるwwwでも、ありがとう

>全部世の中が悪いって責任転嫁するダメ人間、よくいるよねw


 依然としてまだ俺の口は止まらない。


「はあ…どうせ俺はクソ雑魚ゴミカスナメクジ人間ですよ……ちょろいし、スローライフも下手くそだし、単純作業とかすごい苦手だし、セリとトリカがいないと生きていけないし…俺が男じゃなかったら、何の価値もない人間なんだよ…産まれてきてごめんなさい」


>今度は自己嫌悪に陥ったwww

>…元気だして

>かつて無いほどに目が死んでいる…

>流石にかわいそうになってきた


 その言葉を言い終わると、ようやく俺を縛っていた木の根っこのようなものから解き放たれ、ポイッっとソファーから体を投げ出された。

 

 …いてててて、ひどい目にあった。


 どうやら、一定時間が経過すると、ちゃんと開放される仕組みだったようだな。



「…なんて恐ろしいソファーなんだよ。これ……あ、もちろん、今言ったことは全て本心じゃないからな?お前らなら分かってくれるよな?」


>いや、でもこの商品説明に、【座った人の心の闇を無理やり増幅させ、強制的に口に出させます】って書いてあるけど…

>おまえ、そんなことをちょっとでも思ってたのか…

>女を弄ぶ悪男、責任転嫁系クズ男、メンヘラ男の要素がヒノキにはあるのね

>ヒノキって意外と自己評価低いのか?

>全く思っていないことは、このソファーでも引き出せないらしい


「……きっと、このソファーもバグってたんだろ。だって俺、一切そんな事思ったことないもん!」


>言い訳乙。視線泳いでるよ?

>別に女好きだろうが、自己評価が低いのはよくても、女に色仕掛けまがいのことをするだけは駄目だぞ!

>あと、世の中が悪いんじゃなくて、お前が全て悪いんだからな

>これからもうちょっと、優しくしようか?


 俺の言い訳が下手すぎて、ソファーバグ説は誰も信じてくれる気配がない。


 確かに俺の発した言葉は、全て心の何処かにあった気がしなくもない。でも、本当にごくわずかの、ほんの小さな気持ちだぞ?それを無理やり増幅されただけだ!



 …ま、でも、もうなにも言わないでおこう。この状況で俺がこれ以上何か言っても、見苦しい言い訳にしか聞こえないだろうしな。


 と、いうことで…


 このソファーは一生封印!


「さて、一度気を取り直して…まだまだ俺のだらだらライフは始まったばかりだ。もっと頑張ってダラダラするぞ!」


>がんばってダラダラするとは?

>個人的にはもっとヒノキの心の闇を知りたい。だから、もう一度座らないか?

>色々茶化したが、あの程度の心の闇なんて女性からしたら可愛いもんだぞ?多分世の男どもは、もっとエグいこと考えてるだろうからな

>よしよし。ヒノキはクソ雑魚ゴミカスナメクジ人間じゃないぞ?なんたって、筋肉があるからな



――この後も、俺はこの調子で配信を続けた。


 寝転びながら面白そうなクエストを視聴者と一緒に読んだり、カマクラホテルにある推し応援ポストから届いたお手紙を読んだり、ハンモックを家の中に作って、寝転びながらセリやトリカと浴衣デートしたいなどの、俺の欲望をタラタラ垂れ流してみたり。


 あと、これは完全に自業自得なのだが、また母の店で“スタンガン式マッサージ機”なるものを買ってしまい、大変な目にあったりなんてこともあった。


 配信の最後には、すぐに達成できるクエストをぱぱっとクリアし、報酬でアイスをもらい、視聴者と一緒に食べたりもした。


 こんな何もしない日も、たまにはいいものだ。


 今日は特に何にもない、素晴らしい一日だったなあ…


次回予告:男のロマンと女のロマンは方向性がぜんぜん違う

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