入念探索!その2!大興奮!
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目的地に到着し、木漏れ日の中、一息入れる。
ひとつ、大きく深呼吸。
鼻から深く深く、胸いっぱいまで新鮮な空気を取り入れる。
湿った土の匂い、森の木々の青い香り、木々の力強い匂い、小さな花や果実のほんのり甘い香り。それらが混じり合って、森の空気はどこまでも豊かだ。
限界まで吸い込んだ空気を、ゆっくり吐き出す。
……ふぅ。気持ちよかった。
「よし、じゃあクスネ!本格的に探索を開始するぞ!あっ、そうだ!クスネが良いものを発見できたら、このトリカからもらった宇宙高級ワンチュールをあげよう!」
「わんわんわん!」
俺がワンチュールをクスネに見せびらかすと、クスネはそれはもう大興奮。周辺をぴょんぴょんと駆け回りながら、全身で喜びをアピールしだした。
しばらく走り回ると、俺の方へ駆け寄ってきて…
俺が何も言わずとも、エアお手やエアおかわりを繰り出してきた。
>クスネキュン可愛い!!!
>クスネ「お手とおかわりしたんだから、僕偉いでしょ!!だからはよ!それをはよくれ!!」
>おねだりの仕方があざといwww
>コイツっ…自分の可愛さが分かってやがるっ…!
いや、だから、なにか見つけたら与えると……
「きゅーんきゅーん」
クスネは俺を上目遣いで見つめ、尻尾をブンブン振ってキュンキュンと鳴きだした。
「……ちょっとだけな」
>草
>うん、こんなことされちゃあね…
>クスネ…恐ろしい子っ…!
>飼い犬にもちょろい男
いやぁ…無理だよ…
だって、飼い犬に期待いっぱいの目で見つめられて、必死に甲高い声で鳴かれたんだぞ?こんなの与えざるを得ないだろ…
まあ、たとえクスネが何も発見できなくても、最後にはあげるつもりでいたからいいんだけどね。
――結局俺は、クスネにワンチュールを全て与えてしまうのだった。
「さて、気を取り直して、クスネ!食べ終わったのなら俺の肩に乗ってくれ!探索行くぞ!」
「わん!」
俺は元気いっぱいのクスネを肩に乗せ、クスネが向いている方向へ走り出す。
今までの経験上、クスネの目や鼻の方が、俺よりなにか発見する能力が高い。だから、探索では俺がクスネの足になり、クスネが俺の目になるのだ。
もちろん全てをクスネ頼りにするつもりはない。俺もリミッターを限定解除して目を強化し、一緒に探させてもらう。
とはいえ、しばらくは未発見なもの、面白いものは何も見つからないだろう。まだここはよく通る道中から、そこまで外れた道じゃないからな。
…と、俺が油断していると、
「わん!」
クスネが早速何かを見つけたようで、俺の肩からぴょんと飛び降り、てくてくと走っていった。
はっや。
まだちょっとしか走っていないのに、もう何か見つけたのか。
俺はクスネの後ろについていく。
しばらく走ると、クスネはある植物に向かって「ワン」と軽くひと吠えした。
どれどれ…
「え?これって……嘘だろ。イネじゃん!!!」
米!米がある!!!
俺が大好きな主食の米だ!
そもそも稲なんて、湿地帯や沼地などの水の多い場所にしかないと思っていた。それがまさか、この森にあるとは!
お、お、お、落ち着け!俺!まだ慌てるな!見た目だけ稲にそっくりの、似て非なるものなのかもしれない!至急この稲を解析だ!
…どんな情報も取りこぼさないように、俺は隅々まで解析結果を読んだ。
どうやらこの野生種の稲は「陸米」とやらの一種で、過度な水を必要とせず、湿った土で育つ品種らしい。
収穫すると、前世の米のように短粒米ではないが、長粒米ほど長細くはない米が採れるとのことだ。
それにしても、この場所は俺がよく通る道から、ほんのちょっとしか外れていない。米の存在に俺がニアミスしていたとは、思いもしなかったなあ…
「クスネ!偉い!天才だ!流石は相棒!よーしよしよし!」
クスネは褒められて嬉しいのか、鼻息をふんふん荒げて、どこかドヤ顔だ。
>クスネとヒノキ、どっちも尻尾ブンブンで草
>米なんてそんなにいいものか?
>美味しいけど、そこまで飛び上がって喜ぶほどかといわれると…
いやいや!前世が日本人の俺にとっては、これは何にも代えがたい素晴らしいものなのだ!
【米は魂!風呂は天国!味噌と醤油は万能薬!】
この格言を知らんのか?
まあ、俺が作った格言なので、誰も知らないのは当然だろうけどな!
米、味噌と醤油、風呂、あとは追加で清潔な空間さえあれば、大抵日本人はどこでだろうと強く生きていける種族なんだよ。
おっと、そんなことは今はどうでもいいな!ということで、早速採取タイムと洒落込もう!
見る限り、この稲は至る所に群生している。俺がたくさん採っても問題なさそうだ。
よし!テキパキ採取して、いっぱい持って帰るぞ!そして、今後はこれを農地に植えて、もっと稲を増やすんだ!目指せ米のある生活!うおおおおお!!!
――そうして俺は高まったテンションが収まるまで、稲を採取し続けたのだった。
一通り稲を採取し終え、心が満足した俺は、また探索を再開することにした。
正直もう成果で言えば十分なのだが、時間的にはまだ探索を始めたばかり。もともと今日は一日中探索するつもりだったので、まだまだやるぞ!
それにしても、幸先の良いスタートを切れたなあ…
これなら、後は気楽なもんだ。なあクスネ?
――そんな肩の力を抜いた探索が功を奏したのか、その後の探索はとても順調に進んだ。
まず大雑把に探索した結果、この場所について分かったのは二つの特徴。
まず一つ目。ここら一帯は草食獣――いわゆる兎や鹿、馬などの生息数が少ない。
どうもこの辺りの森では「オオカミ系」の動物が幅をきかせており、そのような草食獣は淘汰されやすい環境らしい。
俺がここに来た当初に見た「盆栽鹿」や「スヤスヤうさぎ」などを、あれからあまり見かけていないのは、そういった環境のせいなのだろう。
そして二つ目。ここら一帯は、草花に良い影響を与える生物が多い。
どうもここにはアリやミツバチやミミズ、ハナアブやテントウムシなどの虫が多い。そして、それらの虫は生きているだけで、総じて植物にとって影響を与える。
具体的に言うと、ミツバチやハナアブは受粉を助ける。アリやミミズなら土壌改良、テントウムシは害虫を食べる、などだ。
虫だけではなく、トリツグミ、ヒヨドリ、キツツキなどの鳥も多く生息しており、それらの鳥もその虫たちと同様な影響を森に与えている。
これらの生物がいることによって、この森は多様な植物が維持されているのだ。
この二つから分かったことをまとめると、この辺りの森は「植物系の素材の宝庫」だということだ。それが分かっただけでも、かなりの収穫だな。
「よーし!結構探索したし、一旦お昼休憩とするか!お弁当を持ってきたから、これを食べて休憩します!でも、食べ終わったらまだまだ探索するぞ!」
>おつかれー
>新発見がいろいろあって面白かった
>植物の多様性がすごかった!
>探索回好き
コメントを横目に、俺は木に持たれるように座り、クスネと共にお弁当を食べる。
今日のお弁当は緑鳥の塩焼きと、豆と芋を炒めたもの、サラダ。デザート代わりに虚無バナナの塩漬け干しだ。まあ、いつも食べているメニューからそんなに変わらないな。
クスネにも、味付けしていない緑鳥の切れ端を与える。尻尾をふりふりして、夢中で食べているのが可愛い。
そんなのんびりとしたひとときの中。
ふと、白くて綺麗なコウモリのような生き物が、俺のそばに着地した。
反射的に、俺はその生き物を解析する。
「えーっと…白森コウモリ。食べ頃のフルーツの種類が多い場所に生息しており、糞とともに種子を森の中にまく…ね。……ん???フルーツが多い場所に生息している!?マジ!?」
大雑把に探索したが、今のところ俺は食べ頃のフルーツなんて見つけられていない。
それなのにこの生き物が生息しているということは、この森のまだ見ぬ場所にフルーツがたくさんあるということでは?
これは、午後からの探索も俄然楽しみになってきたぞ!
次回予告:フルーツ!神秘的な場所!肉!




