挑戦布告!その3!トリカなりの改善点!
読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。
「さて、少し本題から逸れたけれど、これでようやく宝を手に入れられるってわけね」
「あっ、えっと…これから何をするんだっけ?」
>一瞬ポカン顔してて草。本題を忘れるなよwww
>盗賊王さん!しっかりしてくれ!
>私たちは今まで何を見せられてたんだよ…
>コイツら独り身の私の前でイチャイチャしやがって…
結局、なにするんだっけ?というか今、なにしてるんだっけ?
…子作りのことだったか?
…うん。なんかそんな感じだった気がしてきた!
えっとねえ、その事に関してなんだが…
すまんトリカ!流石にまだ俺にその覚悟はない!そういうことに関しては、俺は慎重に考えたいタイプなんだ!
なるべく歩み寄りたい気持ちもあるのだが、そういう重大な決断はもうちょっと交際期間を経てからじゃないとまだできない。
トリカを待たせることにはなるが、それは俺という男と付き合ってしまったということで、諦めてくれ!
「少し真剣に考えてみたが、答えが出せない!ごめん!」
「え?……ああ。さっきの子作りの件ね。さっきから唸っていたのは、そのことを考えてたからなのね。わたくしもあなたがまだ子作りを求めていないということくらいは分かってるわ。ただ小石を投げた程度のことだったのに、真剣に考えてくれてありがとうね。このことに関しては、なるべくお互い歩み寄っていきましょう」
あっと。
どうやら俺は、一人で先走り過ぎていたようだ。
>真剣に考えるのはいいんだよ。で、宝探しは?
>宝を目の前にして何を話してるんだよ、このバカップル…
>宝!宝は何!こういうの、地味に気になるんだよ!
そうだ。今は宝探し中だったな。うっかりうっかり。
俺は視聴者を知らず知らずのうちに焦らしてしまったようだ。
「じゃあ、そのできた二枚の写真をタンスに入れてくれ!」
俺のその言葉を聞いて、トリカが写真をタンスに入れる。
すると…
パンパカパーン!
ファンファーレと共に、ある音声が流れ始める。(俺が自分で流した)
「おめでとう!数多の困難を乗り越え、知恵と勇気を示した諸君らにこそ、この宝はふさわしいだろう!」
>知恵と勇気?
>ちょっとしたなぞなぞと、イチャイチャしてただけだぞ?
>数多の困難???
茶々コメントを流し見しながら、続けて流れる音声を聞く。
「ただ、今の諸君らなら、私が何も言わずとも、もう宝を手にしているのではないかな?なぜなら……おっと、そうだな。その答えを言う前に、少し個人的な昔話をさせてもらおう。昔は──」
>なげーよ!宝の在処をはよ教えろ!
>スキップ!
>お前の昔話なんていいから、宝はよ!
>誰も小悪党Xさんの自分語りを聞いていない件www
あのー。
結構設定とか色々考えたんだから、もうちょっと宝以外にも興味持ってくれない?
あと、小悪党Xじゃなくて、盗賊王Xだから!
盗賊王Xの自分語りが終わると、ついに宝の在処を教えるターンだ。
「さて、今までの話を聞いていれば分かるだろうが、実は宝なんて最初からなかったのだ」
>は?
>何も聞いてなかったんだから、分かるわけないだろ?
>舐めてるの?
>ぶっ◯すぞ
なんか、想像よりこの展開の評判が悪い件。
「ただ、諸君らにはどんな金銀財宝よりも価値のある、素晴らしい宝を今手にしているはずだ。そう!数多の困難を共に乗り越えた、隣りにいるパートナーだ!それこそが、宝なのだ!」
>ズコーッ
>…おい
>散々煽っておいてこれかい
>やっぱ盗賊王Xってクソだわwww
こういう展開、あるあるじゃない?
え?ダメ?流れが陳腐だし、ありきたりすぎる?
俺は良いと思ったんだがなあ…
「だから、諸君らは…「ねえ?」
盗賊王Xの締めの言葉をぶち切るように、トリカが俺に語りかけてきた。
「これで、宝探しは終わり?」
だから、締めの言葉がまだ…
あ、トリカの目がすっごい冷めてる。
はい。さっさと締めさせていただきます。
「おう。これで終わりだよ。もう分かってると思うが、俺が盗賊王Xだ。これは俺がトリカを楽しませるために考えたちょっとしたイベントだったんだが…どうだった?しっかり楽しめたか?」
「まあ…うーん……うん。……まあ、そこそこ楽しかったわ」
>何かを押し殺して褒めるトリカ様www
>ツッコミどころとか、クオリティーが低いところとか、一旦考えないものとしたんだろうなあ
>なんともいえないトリカ様の表情が好き
「…いや、嘘をつくのはあなたにとっても良くないわよね。やっぱり、正直に言わせてもらうわ!まず、全体的にエンターテイメントにしては粗い!あと──」
──そこから、怒涛のようなダメ出しが繰り出された。
段取りが悪い、謎の質、宝箱の隠し場所、盗賊王Xの設定、最後の宝の内容などなど……
改善が必要な点が、出るわ出るわ。
これだけ大量にボロクソにいわれると、なんかいっそ笑けてくるな。
常日頃からエンターテイメントに本気のトリカだからこそ、駄目なところや改善点が目についてしまうのだろう。
「──ま、ダメ出しはこんなところかしら。まあ、これだけ改善点を言ったけれど、良いところもあったのよ?それに、あなたが時間を使って催し物を考えてくれたってことも込みで、わたくし自身は結構楽しめたわ!」
──そこからは一転、トリカからお褒めの言葉をたくさんいただいた。
俺と写真を撮るのが楽しかったこと、絵が良かったこと、謎を自分で考えて作ったことなどの少しの良かった点を、万の言葉で褒め尽くしてくれた。
うん。
まあ、ね。
…めちゃくちゃ嬉しいんだが!?
なんというか、褒め言葉が俺の心をダイレクトに揺さぶってくるのだ!
普段から歌手としてファンに歌声で思いを届けているからか、言葉の伝え方が上手いのだろう。
>ヒノキがとろけそうな表情してて草
>肩を回して、「やっちゃおうかなあ~」じゃねえよwww
>尻尾ブンブンwww全力で喜んでるwww
>前から思ってたけど、あなたって犬適正ありだよね
>犬系彼氏…ありだな!
「さて、せっかくあなたが考えたこのイベント、カマクラホテルで“宝探しイベント”として開催しましょうか」
「え?そんな大事にするの?」
「色々手間もかかっていたみたいだし、今回限りで終わらすのはもったいないじゃない?それに、宝探しというのはいいアイデアですわ。価値のある宝さえ用意しておけば、観光客からの受けはいいはずよ」
「でも、今回はトリカのためだけに俺が考えたものだからなあ。観光客向けではない気がするぞ?」
「もちろん今やったものそのままでは開催出来ないわ。だから、改善点などをしっかり修正して、もっとクオリティーの高いものにしなきゃね。わたくしも一緒に考えてあげるから、一緒にがんばりましょう」
なんだか、トリカはやる気だ。なら、俺も頑張ってみるか!俺もせっかく来てくれた観光客に、少しでも楽しんでほしい気持ちはあるしな。
それに、トリカも以前裏で、「小さなイベントでもいいから、どんどん思いついたことはやるべきよ。私たちには経験値が足りないもの」と言っていた。
百戦錬磨のトリカがいるとはいえ、俺たちは観光客を受け入れるのは素人なのだ。これからどんどん観光地を良くするためにも、いろんな場数は踏んでおいたほうがいい。
──それから。
「じゃあまずは宝から考えましょうか!あんなふわっとした概念みたいな宝は手に入れてもずっこけるだけだから、真っ先に改善しなきゃね!」
「えー。良いと思ったんだけどなあ。あ、第二候補で、謎の植物の種とか考えてたけど、そういうのはどう?育ててみるまで何か分からないのって、楽しそうじゃない?」
「却下。女って現金主義なのよ。そういうロマンみたいなのは今回はなしよ。まあ、あれでいいんじゃない?金一封。無難っちゃ無難だけどね」
「なんか、それじゃあ流石に現実的すぎる!我儘かもしれないが、せめてもうちょっとだけでもロマンが欲しい!」
「うーん…じゃあ、“ヒノキとの握手券”とかはどう?それか、あなたの描いた絵も視聴者には価値があると思うわよ?そっちでもいいわね」
「うーん…まあ、そっちの方向性のほうがまだいいかな」
──このように、視聴者も置いてけぼりに、夢中になってどんどん会議を続けた。
トリカと会議をしていると、次々と良い意見が返ってくるから、有意義だし本当に楽しい。
だからこそ、気づけば視聴者の存在なんて、頭から抜け落ちてしまったんだよ。すまんな、視聴者ども。
会議が一段落し、一息つく。
その時ふとコメント欄を見て、ある一つのコメントが目に入った。
>コイツら、今日ずっといちゃいちゃしてただけじゃね?
うん。正解!
たくさんトリカと楽しい時間を過ごせて、大満足の一日だった。
次回予告:裏技発見?




