挑戦布告!その2!ちょいワル実力派トレジャーハンター!
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トリカがクスネの首輪に挟まっていた手紙を事前に取っていたというファインプレーにより、なんとか俺が想定していた流れ通りにことを進めることができるようになった。
肝心のその手紙の内容を、トリカが視聴者に見せる。
【この超難問の二つの謎を解くとは、思った以上にやるではないか。ただ、ここからは更に難易度が上がるぞ。そして、ここからは一人の力では決してクリアすることができない。それでも進むというのなら、タンスの中を見るがいい!次の試練を乗り越えられたものに、宝のありかを教えよう!盗賊王Xより】
>またタンスで草
>最初からタンスの中を詳しく調べられてたら終わってた件
>盗賊王Xさんは色々詰めが甘いなwww
…いいだろそれくらい!細かいところをグチグチ言うな!
俺が視聴者のコメントに対し内心ちょっとムッとしているうちに、トリカはテキパキと指示に従い、指定のタンスを開けた。
中に入っていたのは、封筒と、カメラ。
封筒の外側には、分かりやすいように、【ミッション!】と書いておいた。
トリカが封筒を開くと、中には二枚の指令書が入っていた。
【指令書1:隣の人間の「最近新たに感じた魅力」を叫びながら、「二人で協力して大きなハート」を手で作り、その瞬間を写真で撮れ!】
【指令書2:隣の人間に「少し恥ずかしくて言い難いが、本当はやってほしいこと」をぶっちゃけながら、「二人で協力して大きなハート」を足で作り、その瞬間を写真で撮れ!】
内容はこのような感じだ。
どんなポーズをすればいいかわかりやすいように、絵も描いておいた。
そして指令書の裏面には、この様に書いておいた。
【その二枚の写真をタンスにいれる時、宝の在処が分かる】
「…なるほどね。全て理解したわ。よし!指令書2は組体操のようで少し難しそうなポーズだけど、指令書1のポーズは簡単そうだし、さっさと終わらせて、宝をかっさらっていきましょうか」
トリカがにやりと笑う。その獰猛な笑い方は、まるでちょいワル実力派トレジャーハンターのようだ。
俺が「トリカ、かっけえ…」と見惚れているうちに、トリカはテキパキとカメラをセットした。
あのカメラは、俺たちが大きなハートを作れたら、自動的に写真をとってくれるように設定してある。
あ、ちなみにだが、あのカメラは俺の私物だ。俺の母にお願いして、昨日のうちにこの惑星に送ってもらったのだ。
このカメラで、子供の頃はセリとよく遊んだんだよなぁ…
「さあ、わたくしがせーのと言ったら、指令どおりのポーズをして、最近新たに感じた魅力を同時に言うわよ」
おっと、昔を懐かしんでいる場合ではなかった。
えーっと、お代は…トリカに対して最近新たに感じた魅力ね。
なんだろうなあ…
実はこのお代に関しては、俺も初見だ。
せっかくなら俺も即興で楽しみたいと思い、ポーズ以外のお代の方はランダムに決まる仕組みにしたのだ。それに、トリカは即興で考えるのに、俺だけ事前に知っているというのは、不平等だしな。
「もう良いわよね?…いくわよ?」
あ、ちょ、待っ──!
「せーの!」
(…仕方ない。もう頭は真っ白だし、最初に浮かんだアレを言うしかないか…もしかしたら失礼になるかもしれないけど、許せ!)
「ビジュが良い!」「ヒノキの足の指を舐めると、反応が可愛い!」
>草
>お互いもっとなんかあっただろwww
>トリカ様ぶっちゃけ過ぎwww
こういう時って外見じゃなく性格のことを言うべきだよなあ…って反省しかけたが、トリカの答えを聞いてそんなことで反省するのが馬鹿らしくなってしまった。
トリカの答えさあ…もうちょっとなんかなかったのか?
というか、一応配信中だ!そういう生々しいこと言うな!
「あら?ふふふ、あなたって、わたくしの圧倒的美貌が好きなのね?」
あんな生々しいことをぶちまけたのにもかかわらず、トリカは余裕そうに微笑む。
改めて本人にそう念押しされると、どうにも顔が赤くなってしまう。
「い、いや、もちろん外見なんかより好きなところはいっぱいあるよ?でも、今日はたまたま『ビジュ』という答えが一番最初に思いついたんだよ!最近トリカのことが可愛くて仕方がなくて、つい…」
無性に恥ずかしくて、俺はつい早口で言い訳してしまう。
どうやら、照れているのは俺だけなようだ。
「ふふふ、さて、次ね。指令書2はポーズが難しいから、少し練習しましょうか」
「そうだな。はー、あっつ…」
俺は顔のほてりを冷まそうと、手でパタパタと風を送った。
さて、気を取り直して。
指令書2のポーズを説明すると、【ブリッジして片足を上げ、足のつま先とつま先を合わせ、ハートマークを作る】というもの。
確かに難しいが、トリカは運動能力が高いし、俺も体を鍛えているからな。これくらい少し練習すれば余裕だろう。
――数分練習した後。
「じゃあ、またわたくしがせーのって言うから、その瞬間『少し恥ずかしくて言い難いが、本当はやってほしいこと』を言うのよ?分かった?」
「おう!準備万端だ!」
「せーの!」
「耳かき!」「子作り!」
>トリカ様wwww
>こwづwくwりwww
>トリカ様、何でもかんでもぶっちゃけすぎですwww
>ネタなのか本気なのか…
だからあ!
こっちは配信中だって言ってるだろ!そういう生々しいことは言うな!
視聴者の誰もそうは認識はしていないが、俺は清純派で売っているつもりなんだぞ!
「それにしても、耳かきをされたいのなんて変な趣味ねぇ…でも、それくらいならいつでもやってあげるわよ?なんなら、今やってあげましょうか?」
「え?いいの!?」
これを言うのも少し恥ずかしかったが、正直に言ってよかった!
ほら?恋人から耳かきをされるなんて、男の夢じゃん?
あ、共感を得ようとは思っていないぞ?
なんせこの宇宙は男女比が1:10だ。男に対して女がグイグイ来すぎて、男は女性自体をまとめて苦手になってしまうことが本当に多い。
そんな基本的に女性を警戒している男たちが、隙だらけの姿をさらすことになる耳かきなんて、絶対にされたいと思わないだろうな。
「さあ、わたくしの膝に体を預けなさい」
正座して、ぽんぽんと優しく自身の太ももを叩き、柔らかく微笑んで俺を誘うトリカ。
キュン!
俺の心臓の鼓動が、喜びの声をあげる。
ああ…トリカ、優しいなあ…大好きだ。
――そこからは、まさに至福。
聖母のような優しげな表情のトリカが、俺の耳を丁寧に掃除してくれる。
柔らかい太ももの感触。自分の全てをトリカに預けているような安心感。少しのくすぐったさと、愛されているという確かな実感…
このまま時間が止まってしまえばいいのに──
「ふふ、ねえ?ヒノキ?わたくしが耳かきをやってあげたんだから、交換条件として、あなたもわたくしと子作りするべきじゃない?だから、わたくしと子作りしてくれる?」
正直幸せの過剰摂取により、頭がふわふわしていて、何を伝えられたのかはよく分かっていない。でも、なにかおねだりされたということくらいは理解できた。
おねだりの内容は不明だが、これだけ心を込めて耳かきされたのだから、せめておねだりを聞くくらいしてやらないと、罰が当たるだろう。
コクリ、と俺は頷く。
俺の頷きを確認するやいなや、トリカは仕上げに、俺の耳をフッと吹きかけた。
「さあ、終わりよ」
ああ、もう終わりか。名残惜しいなあ…
「ありがとう。かなり癒やされたよ」
離れがたい気持ちをぐっと抑え、俺はトリカの太ももの上から身を引く。
「さあ!交換条件として、今ここでわたくしと子作りしましょうか?」
その言葉に、ふわふわしていた思考から、一瞬で現実に引き戻された。
「え!何言ってるんだよ!そんな事できるわけないだろ!」
「あら?さっきあなた、『わたくしと子作りしてくれる?』って聞いて、頷いたじゃない。約束を破るなんて許さないわよ?」
「え!?俺そんな事………あっ」
うん。心当たりはあるね。
あのときのおねだり、そんな重いものだったのかよ。
ちょっとしたおねだりをするみたいな言い方だったので、俺は安易に頷いたのだが…
まさか、そんな重い内容だったとは。やっぱり、内容を聞いていないのに頷いたりしちゃダメだわ。
「まあいいわ。今回は騙し討ちのようなものだったから、特別に許してあげる。でも、わたくしが本気であなたの子を産みたいと思っているということは、覚えておいてね」
>自分なら問答無用で襲いかかってるだろうなあ…
>トリカ様優しい
>優しいトリカ様に感謝しろよ?
これは…トリカが優しい判定になるのか?
まあ、この宇宙ではそうなるよな。俺が悪いわ。
でも、さっきのトリカの「あなたの子を産みたい」という言葉には、妙な真剣味があった気がする。
きっとトリカは、本当に今すぐにでも子供を作りたいのだろう。
俺は子供を産み育てるなんてまだまだ先のことだと認識していたが、トリカはそうではなかったようだ。
そっかあ…子どもねえ…考えたこともなかったなあ…
うーん……うーん……うーん。
次回予告:どこの世界でも自分語りが長いやつは嫌われる




