公園作成!その2!セリなりの改善点!
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「おはようーヒノキ」
「おう!おはようセリ。ま、もう昼過ぎだけどな」
セリが閣下と共にやってきた。セリは普段通り、頭にアホ毛のような寝癖をつけたままで、はんてんをまとったゆるい格好だ。俺も今日はダサTコーデなので、おそろいみたいなものだな。
「かっか!」
閣下は俺に近づくと、クッションのようなまん丸でゆるい見た目の体をふわふわと浮遊させ、俺の手にポンと軽くハイタッチをしてくれた。
閣下なりの挨拶、可愛い。
今日も閣下はいつもどおり、頭についた二本の触覚の先っぽの球体を、元気に光らせて感情表現をしている。
このオレンジの光り方は、喜びや歓迎の意味だ。
「閣下も俺の作った公園へようこそ!楽しんでいってくれよな!」
俺は閣下の棒のような腕に優しくハイタッチして返し、ついでに頭をやさしく撫でる。
相変わらずクッションのようなさわり心地だ。
「かっか!」
おおう。そうかそうか!そんなにオレンジに光らせて…そんなに嬉しいか!俺も閣下に会えて嬉しいぞ!
>閣下!閣下!閣下!
>閣下たん可愛い!
>こんなゆるい見た目の生き物が、ありえないくらいの未知にあふれてるんだから、見かけによらないよなあ
俺が閣下と戯れている間に、セリは俺の作った公園を見渡した後、目を輝かせながら俺にこう伝えた。
「おお!ここ、いい場所だね!それに、すごいたくさんの遊具を作ったね!これ一人でSCエネルギーなしで作ったの?すごいすごい!」
「はっはっは!そうだろ!俺すごいだろ!」
俺は鼻高々で自慢げになる。
そうそう!俺が求めていたのはこういう反応なんだよ!視聴者もセリを見習うように!
>男といい関係になるには、こういうおだてるスキルは必須だもんな
>なんか、こういうバカさ加減をみるとさ…お前が「男」!って感じがするな
>セリさんの褒め褒めスキル…勉強になります!これで私も男をゲットだ!
>でも、こんな駄作にもこんなふうに褒めないといけないのか…私には難易度が高いな
…もう一度言うが、視聴者はセリを見習え!
「でも、ほんとにすごいね。確かに色々道具や技術が足りなくて、未完成なものや、作りの雑なものもあるけどさ。それにしたって、創意工夫だけでこんなに色々遊具を作ったのはすごいことだよ……ねぇ、ヒノキ。せっかくだから、遊具で遊んでみても良い?」
「おう!良いぞ!」
「じゃあ、一緒にあのブランコで遊ぼう!」
セリに手を引かれ、俺たちはブランコで遊ぶことに。
「ふふふ!楽しいね!昔に戻ったみたい!」
「そうだな!昔はよく二人でこうやって遊んでたよな!」
俺たちが昔を懐かしみながら、ブランコを漕いでいると、
>ねぇ?ブランコの遊び方、ちょっと違くない?
>なんで当たり前のように二人で一つのブランコに座ってるんですかね…
>ヒノキの腕の中にすっぽり収まるセリさん…羨ましい!
>さらにセリさんの腕の中におさまる閣下!なんだこのブランコ!?
このようなコメントが散見され、思わずハッとした。
あ、そうか。そういえば、ブランコって一人でも遊べるんだったな。いつもセリとはブランコでこうやって遊んでいたので、すっかり普通の遊び方を失念していた。
…まあでも、俺たちにとってはこれが当たり前の遊び方だ。だから、割り切ってセリといる間はこうやって遊ぶぞ!
それに、こうやって遊ぶとセリとスキンシップがたくさん取れる。恋人とのスキンシップなんて、いくらでもしたいからな。
――その後も、俺たちはさまざまな遊具で遊んだ。
セリと閣下をおんぶして、あん馬ベンチで遊ぶ。
セリと閣下をおんぶして、懸垂や雲梯やぶら下がり遊具で遊ぶ。
セリと閣下を抱っこした状態で、ターザンロープで遊ぶ…
あはは!やっぱり、運動って楽しいわ!
セリも楽しんでくれているようだし、作ってよかった!
……あれ?
なんかこれ、さあ。
よく考えたら、疲れてるの、俺だけじゃない?セリはあまり身体を動かしていないような…
というか、そもそも公園ってこういうもんだったっけ?
「なあ?もしかしてだけど、この公園って健康遊具ばっかり?運動が苦手な人は楽しめなかったりする?」
>…今頃気がついたのか
>一生気が付かないのかと思ってたわ
>運動音痴には楽しめない公園
>もっと万人受けするもの作れ
視聴者の言う事、一理ありすぎる。
気づいてしまったからには、至急対策をとらなければ。
ということで、一旦普通のベンチに二人と閣下で座り、セリや視聴者と作戦会議をすることに。
「もしセリなら公園を作るとするなら、どんな公園を作る?」
「そうだなぁ…僕が公園に求めているのは、自然を見ながらのんびり散歩したり、遊んでいる子供を遠くで観察しながらベンチで座って甘いものを食べたりとかそういう楽しみ方だからなぁ…ちょっとヒノキと楽しみ方が違うんだよね」
>ワイは公園には放っておいても子供を安全に遊ばせられる場所って認識だな
>公園に求めているものねぇ…静かで落ち着いた雰囲気かなぁ…
>自分はジョギングさえできれば何でも良いかな?
>ペットたちが交流できる場所がある散歩場がある公園が好き!
確かに、俺の「体を動かして楽しむ」という楽しみ方とはぜんぜん違うな。
公園と一言でいっても、色々な楽しみ方があるということを頭からすっぽり抜けていた。
「うーん…もっとそういう人たちのことを考えて、色々作るべきだよなあ…」
例えば、遊んでいる子供を見ることなどは、この惑星じゃできない。
でも、もっと景観を良くして、のんびり過ごす場所を提供する、というのなら、時間はかかるができないことはない。
さて、そっちの方向でも頑張ってみるか。
そんなふうに、俺はこの公園をガラッと作り変えるつもりでいた。ただ、セリの考えは違うようだ。
「いや、さっきも言ったけど、僕はこの公園のことを一切駄目だと思ってないんだよ。たとえ万人受けしない公園だとしても、ここにいるのは僕たちだけだしね。だから、僕はこういう方向性の公園でいいと思うよ?」
…なるほど。この惑星に俺たち以外の人はいないもんな。万人受けするものを作る必要なんてないか。
「とはいえ、無意識とはいえ流石に自分の好みが出すぎた気がする。だから、もうちょっとだけ万人受けする方向性に寄せたいというのが本音だ。なんか、俺でも作れそうな良い遊具とか、良いアイデアないかなあ…」
そんな俺の難しい問いに、セリは即答した。
「じゃあ、砂場とか水遊び場とか…後は、あの大きな坂を使って草すべりをする場所とかどうだろう?これならヒノキでも作れるんじゃない?」
「おおう。よくそんなポンポンアイデアでるなあ。セリすごいわ」
「ふふふ。僕はゲームでなら色々なものを作った事があるからね!公園も何度も作ったことがあるんだよ!」
「マジか!じゃあセリにも最初から公園づくりを手伝ってもらえばよかった!」
俺の言葉を受け、セリは待ってましたとばかりに、飛びはねて喜ぶ。閣下も、頭をピカッと点灯させてゆらゆらと揺れている。
「え?ホントに手伝っていいの?ヒノキの宿題じゃなかったんだ」
「おう!宿題を協力して終わらせるのも、夏休みの醍醐味だからな!」
「やったー!なんだか僕も作りたいものがありすぎて、ちょっとうずうずしてたんだ!」
「かっか!かっか!」
「おう!閣下も作りたいんだよな?もちろん良いぞ!」
セリと閣下はハイタッチして大喜び。
おおう。そんなに喜んでもらえるとは思わなかった。それなら、最初から一緒に作ればよかったな。
それから俺たちは、協力して公園を作ることに。
「ねえヒノキ?昔僕たちが子供の頃遊んでいた公園の遊具を、ちょっとだけ再現してみてもいい?」
「ん?子供の頃遊んでいた公園の再現?」
確かに俺たちは子供の頃、近くの公園でよく遊んでいた。
いやあ…あの頃は楽しかったなぁ…子供ながらの有り余る体力で、誰よりも全力で人生をエンジョイしていた気がする。
いや、よく考えれば、今の俺たちも、子供の頃と比べても、人生のエンジョイ具合なら負けていないか。
俺は人生を楽しむためにこんな無人惑星でスローライフを始める始末。
セリもセリでとんでもない方法で俺を探し当てて、そこで俺の金を使ってゲーム三昧、甘い物三昧で遊びまくってるしな。
ははは。そう考えると、俺たちってそういうところは、子供の頃から一切変わってないのな。
俺は変化することを“成長”と捉えているので、自分、他人問わず人間の変化を好む。
ただ、昔から一切変わらないということも、また好きだったりするんだよな。
なんというか、昔から一切変わらない人間の内面には、その人が一番大事にしている生き方への「こだわり」がある気がするのだ。
だから、俺とセリにとって人生を誰よりも楽しむことということは当たり前で、大切で、絶対。生きていくための芯なのだ。
そういう部分が通じ合っているから、たとえどれだけ好みが違っても、セリのことを自然に受け入れられるんだと思う。
俺たちは、深い所でつながっている――そんな気がする。
次回予告:閣下さん!?ちょっとやり過ぎです!




