祭事準備!格付けしあう女たち!
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「ういーす。料理研究家ムキムキイケメンのヒノキでーす。明日は大収穫祭ですね。ということで、今日はその準備をするぞ!」
昨日ジュニアが点灯して、とうとうこの惑星のカマクラホテルにバーチャル旅行できるようになった。
ただ、せっかくなら盛大に旅行者を受け入れようと決まったので、現状は、トリカが明日になるまで旅行者の受け入れを拒否している、という状態だ。
>告知をしてから配信始めろ
>今日も楽しみ
>うおおおお!選抜抜けたぞおおおお!
>選抜外れた!まさか、私以上にモテない女がこれだけいるとはな…
>選抜に落ちて嬉しいやら悲しいやら…世の中には、下には下がいるんだなあ…
コイツラが言っている選抜とは、明日の大収穫祭で、俺に直接手渡しで炊き出しの料理を渡される、「千人の精鋭部隊」を選ぶイベントのようなものだ。
選抜に参加するには、「モテ度診断」というサイトにアクセスし、自分のこれまでの人生の情報をデータ化したものをチップで作り、そのサイトに入力する必要がある。
その情報をもとに「モテ度」を数値化し、その数値が低い人から順に千人が選ばれる仕組みだ。
トリカが「モテない女性のために」という文言でこの祭りを始めたので、そういう仕様にしたのだ。
「選抜はみんなどうだった?ま、はずれてもあまり落ち込むなよ!料理だけなら遠隔でも届けられるからな。あくまで、俺に直接手渡しされるのは千人だけって話だからな」
>選抜ハズレた!!!世の中ワイ以上にモテない女ばっかで草でござるwww
>選抜抜けたあああ!!!人生大逆転だあああ!!!!中途半端なモテ女共、乙!!私は勝ち組だあああ!
>ある意味負け組なんだよなあ…
>おいおいおいwww抜けたことを喜んでるのって、相当やばいからなwwwwトップクラスの非モテ女ってことだぞwww
>あひゃひゃひゃひゃ!抜けられなかった奴らの妬みが気持ちいいわwwwそんな人生の勝ち組共は、大人しく涙を流して悔しがりながら、這いつくばって床でもペロペロ舐めてろwww
なんか、コメント欄が地獄絵図なんだが…
こんな選び方をしたからか、非モテ女がモテ女を煽るという、変な逆転現象が起こっている。
「はいはい!選抜に抜けた非モテエリート共は、あんまり煽るな!というか、選抜に抜けたことは、全く誇れることじゃないからな?ホントに…そんな短絡的な性格だから、圧倒的にモテないんだぞ?」
>へえ…そういうこといっちゃうんだ…
>忘れてないか?こっちは明日、直接会えるんだぞ?
>明日、痛い目に合わせてやるからね♡
>それで、煽ってるつもりなのwww火力よっわwww
あっ、なるほど。選抜を抜けた奴ら、多分無敵だわ。これは、何を言っても駄目なパターンだな。
「再三言うが、注意事項とかは各自しっかり確認してくれよな!俺が毎回いちから説明するのは面倒だからな!あ、でも、一つだけ言いたい。はしゃぎすぎて、俺に迷惑をかけるな!以上!」
>無理だ!!!
>おまえには、たくさん迷惑をかけるぜ!
>こっちはギリギリで犯罪にならないラインはしっかり理解してるんだよ!その道のプロを舐めんな!
>知ってるか?視姦って、ぎり犯罪にならないんだぜ
>ギリギリのラインのセクハラしまくってやるぜ!
明日が心配すぎる件について。
ま、まあ。うん。
…明日のことは明日の俺が考えればいいや!しーらね!
「さて、気を取り直して。明日の炊き出しのために、今日は大量の料理を作る配信をするぞ!」
>たしか、あなたが普段食べてるものの延長線上の料理が出てくるんだったっけ?
>不味くてもいいから、食べられるものを作ってね
>何を作るの?
「俺が作るのは、鍋だ!」
>鍋、好き!
>そっちは夏なのに、季節感に合わなくない?
>食えるなら何でも良いぞ
>鍋は具材とスープが大事だが、それは具体的にどうするの?
「具材は緑鳥の肉、バカ恐竜の肉、芋、豆だ。後は、適当に採取した野菜でいいだろ?」
この惑星、食べられる葉物野菜に関しては、割とどこにでも生えているんだよね。野菜には困らなくて助かるわ。
>料理において「適当」が一番怖いんだよな…
>僕!野菜いらない!苦くて嫌い!
>緑鳥を食べるの、なにげに楽しみ!
>バカ恐竜の肉を使うのか…噂によると、意外と淡白で美味しいらしいね
>肉は良いとしても、芋と豆が…
「大丈夫大丈夫!あんま心配するな!芋も豆も、俺の日々の料理研究によって、ちょっとだけ食材のクセを抜く方法を編み出してるからな!大丈夫大丈夫!」
>…心配なんだが
>大丈夫って連呼されると、大丈夫に聞こえないんだよな
>ヒノキが同じ言葉を二回言うときは信用するなって、ばあちゃんが言ってた
>二回どころか四回言ってたんだよなあ…
>ちゃんと具体的に、どうやって味のクセを抜いたのかを教えろ
「ほんとお前ら、心配性だなぁ…芋は弱火でじっくり火を入れてから、常温で数日間寝かせる。豆は灰と水を混ぜた液体で煮て、それを乾燥させるっていうのを三回程繰り返すだけだ」
>まあ、それくらいなら大丈夫か?
>灰と水を混ぜたので煮られたのを食べるのは少し抵抗感はあるが…その程度ならまあ
>で、それで美味しくなるの?
「えっとねえ…芋は多少土っぽいし、豆は多少苦いぞ!あくまでちょっとだけマシになった程度だ。だから、そういうクセのある味だと思って明日は楽しんでくれ!おそらく、多分…まあ、きっと!許容範囲の味になってるはずだからな!」
>…怖い
>食べるの不安になってきた
>もっと責任を持った発言しろ
「うるせえ!良いから食え!文句を言うな!もし俺の料理が身体が受け付けないようだったら、味覚マスキングするなり、料理をカプセル化して丸呑みするなり、SCエネルギー使って苦みとか臭みだけ除去するなり、いくらでも工夫できるだろ!俺はお前らのお母さんじゃありません!」
>草
>それもう工夫というか、最終手段なんだよなぁ…
>お母さん!わたしこの味付け嫌いって、いつも言ってるじゃん!
「ほら?人類ってもう食材の苦み、臭みの対処なんてちょろいじゃん?でも、そんな高度なことするの、趣がないだろ。というか、スローライフにはそんなの必要ないんだよ!分かったな!?てか分かれ!」
SCエネルギーを使えば、苦みとか臭みの化合物だけを除去したり、食材の遺伝子を無理やり編集して組み替えたり、特定の振動を流して化合物を変容させたりは余裕だ。
でも、そんな方法、スローライファーの俺がとるわけないだろ?
もしどうしてもやりたいのなら、そっちで勝手にやってくれ。
>はい!わかりますん!
>スローライフってめんどくさいな
>というか、苦みとか臭みの除去に、SCエネルギーを使うという発想すらなかったわ
>ある意味こいつも食に関してはガチ勢だからな。実力は追いついていないが…
うん。俺は食は最高の娯楽の一つだと思っているからな。多少詳しくなるのも当然だ。
「あ、言い忘れてたが、鍋の素をウツギに提供してもらえることになったからな。濃縮したカレールウを提供してくれるらしいから、明日はカレー鍋になる予定だ。カレーは全てを包みこんでくれる万能最強食材だから、俺が具材に何を入れようが大丈夫だ!心配するな!」
どんなクセの強い食材だろうが、カレーに入れておけば大丈夫!万事解決だ!
>まあ、それならなんとかなるのか?
>食に関してだけはウツギを信じられる
>でも、カレーの力を過信しすぎじゃない?
>カレーは食材のゴミ箱じゃないんだぞ!
>ROM専だったが、これからはこういうことがもう一度あったときに備えて、食に関してはもう少しコメントでアドバイスするか…
「さて、それじゃあ作っていくか!とにかくたくさん作って、惑星裏のカマクラホテルの食料保存庫に、鍋ごと収納していくぞ!」
この日のために、トリカに大量の大鍋を用意してもらっている。それに、食材の下準備は事前にもう終わらせてもいる。準備は万端だ。
俺は外の囲炉裏に大鍋を吊るし、焚き火に火を起こし、下準備の終えた食材たちを入れて煮こんでいく。
「はい、この大鍋一つで、一人一杯として、百人前できる計算だ!さあ、無限に作っていくぞ!」
俺は流れるようにどんどん鍋を作る。
今まで、こんな大量に料理を作る機会なんてなかったから、結構楽しい。
そうやって俺は、数十個ほどの大鍋を作っていった。
──数時間後。
「なあ?もう、これくらいで良くね?」
>まだダメ!
>もっとつくれ!
>そんな量で足りるわけないだろ!
さっきから、こんな感じのやり取りを繰り返している。
序盤は楽しかったのだが、流石に、同じ作業の連続で飽きてきたのだ。
結構作ったんだがなあ…
というかさあ。ホントに、そこまで需要があるのか?
あ、はいはい。需要はあるのね。分かったよ。もうちょっと頑張るよ。
けどさあ。俺の睡眠時間のことも考えてくれよ。もう日も落ちてきたぞ?
飽きたし、疲れたし、眠い!寝かせてくれ!
──結局最終的に、視聴者にせっつかれながら、俺は一万人前の料理を作ることになったのだった。
次回予告:脱ーげ!脱ーげ!脱ーげ!…




