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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
3章 他惑星とのつながり!

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新曲発表!熱いベーゼ!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



「「「うおおおおおおおお!!!!」」」


 まさかの新曲の二曲目に、歓喜の声が爆発し、音圧で会場が揺れる。


 そんな熱狂の中、トリカはパンパンと頭上で手を叩いた。


 たったそれだけで、さっきの熱狂は嘘のように、会場は静まり返る。


 俺たちファンはある意味、トリカによって訓練された兵士みたいなものだからな。トリカの指示に従うことが、身体に染み付いているんだよね。


 静まり返った状況を見渡し、満足げに微笑んだトリカは、説明をつづける。


「この新曲は、とろけるような恋に落ちてしまった女の歌よ!きっと、女性なら誰しもが共感できると思うわ!」


 ほう。これまた珍しいな。


 トリカは男女や身分など関係なく、誰しもが持つ感情を揺さぶる歌が多い。


 それが歌姫トリカの信条であり、こだわりだからだ。


 安易にファン層を限定することなく、みんなが平等に共感できる普遍的な歌を、妖精女王として無邪気に歌うことで、人々の気持ちを明るくする。


 そうやってトリカは、歌姫としての地位を確かにしてきた。


 きっとそんなこだわりをトリカが持っていたからこそ、俺はトリカの歌が好きになったのだと思う。


 世の中には女性視点に偏った歌が多い中で、男の俺でもものすごく共感できたからな。


 でもこの歌は珍しく、「女性なら誰しも共感できる」と言った。


 ということは、男の俺が聞いても共感できないってことでは?


 そんな考えがふと頭をかすめたが、どうやらトリカの説明には続きがあったようだ。


「そして、これは男へのメッセージソングでもあるの。男のみんなも、心して聴いてね?」


 トリカがどこか含んだように笑いながら、そう付け足した。


 なるほど。


 額面通りに受け取ると、どうやらこの歌は二重構造になっていて、男女によって感じ方が違うように受け取れる、ということか。


 まだ歌の具体的な内容のイメージははっきりとはつかめないし、あの含み笑いも気になるが。


 でも、トリカがあれだけ自信満々な顔をしているのだ。


 なら、俺はファンとしてトリカを信じ、ただ耳を澄ませて、その歌に身をまかせるだけだ。


「準備は良いわね?…じゃあ、早速歌うわよ!」


 合図とともに前奏が流れ、トリカの頭上の大画面モニターに、曲名が表示された。


 曲名は【ReColor You】


 前奏の雰囲気では、少しゆったりとしたテンポで、ほんのりと切ない曲っぽい。


 はてさて、どんな曲なのだろうか?


 前奏中に、今までのライブ用の豪華絢爛な衣装から、トリカの衣装が普段着ている紫の花のドレスに変わる。


 俺たちが見慣れている、いつものトリカだ。


 ってことは、普段着で歌うのか?派手好きなトリカにしては珍しいな。


 そして、このゆったりとした前奏が終わる頃。


 トリカが、静かに口を開いた。


「あなたがいることで世界が熱を帯びた~♪」


 一節目で、この歌がどんな歌なのか、俺はすべて理解した。


 ──この曲は、恋をしてしまった一人の女性の物語だ。


 トリカの歌い方、声の出し方、態度や表情。


 どれをとっても、恋に頑張る片思い中の乙女にしか見えない。


 そんな一人の乙女が、歌で物語を展開していく。


 彼女は、ある一人の男に対し、熱烈で強烈な気持ちを持ってしまった。


 時には会えない日を思い切なく、時には飛び跳ねるようにウキウキと、時には笑ったり、泣いたり、怒ったり、落ち込んだり、傷ついたり──


 そんな健気で繊細な、等身大の女性の物語だ。


 恋をなんとか成就させようと、健気に前に進み続ける女性。


 数多のライバルを蹴落とし、自分磨きを頑張り、その間も休むことなく何年も何年も、ただひたすら無償の愛を男に向け続けた。


 その結果、ラッキーなことに、なんとか狙いの男性といい感じの距離感まで至った!


 もう俺は、この女性の行く末がどうなるのかに夢中だ。


 これは、トリカが歌う技術がすごいからだろうか?さっきからこの歌の主人公の女性に感情移入しすぎて仕方がないのだ! 


 この歌の主人公が泣きそうなときは俺も泣きそうになるし、楽しそうなときは、俺も楽しくなる。


 頑張れ!この女性!なんとか幸せになってくれ!


 そして、みんなの感情が最高に高まり、物語への期待感が最高に高まった頃。


 満を持して、サビに入る!


「でも、お願い。そろそろ、私の”本性”も見て」


 テンポが一気に上がる!曲調がダイナミックになる!音に熱が宿る!熱気がステージを包み込む!


 その瞬間、俺はハッとした。


 ──ああそうか。俺が見ていたのは、彼女の一面でしかなかったんだな。


 確かに彼女には、繊細さや健気さはあった。


 だが、普段は男に見せない、計算高い一面、我儘な一面、欲張りな一面、力強い本能…それらを隠し持っていたのだ。


 欲しいものがあるのなら、奪ってでも手に入れる。狙った獲物は絶対に逃さない。


 そう。彼女は、一匹の獰猛な、飢えた(メス)なのだ。


「さあ!せめてせめて、攻めまくるわよ!」


 その言葉とともに、トリカがニヤリと笑った。


 その瞬間。


 突然地面から生えてきたバラのような植物のツタによって、俺の身体は絡め取られた!


「…えっ?おわああああ!」


 ツタに引っ張られるように、トリカの元へと連れ去られ、思わず叫ぶ俺。


 なになに!?今どういう状況なの!?


 しばらくして、なんとか今の状況を冷静にする。


 どうやら今の俺は、ステージ上のトリカの横で(はりつけ)にされているようだ。


「大人しく”わたくし”にメロメロにされなさい♪」


 歌詞の一人称が、私からわたくしに変わった。


 歌の中の女性ではなく、トリカ自身の言葉で、俺にメッセージを伝えているのか?


 歌いながら、トリカに頬をそっと撫でられる。


 同時に、トリカは真紅のバラを、俺の頭にそっとつけた。


 なぜだか俺は、トリカにマーキングをされているように感じた。


「わたくしの愛のすべてを受け入れて♪」


 俺のつま先にキスをするトリカ。


 きゃん!


 突然の愛情表現に、思わず乙女のような反応をしてしまう俺。


 えっ、えっ!


 嬉しいけど、恥ずかしい!こんなみんなが見ている前で堂々とキスされるなんて、初めてだ。

 

 ここから一言歌うごとに、俺はトリカにキスをされることになる。


「あなたが灰になるまで愛するわ♪」

  

 お腹にキス。


「退屈だけはさせないわ♪」


 手の甲にキス。


「過去なんて忘れさせてやるわ♪」


 おでこにキス。


「あなたのすべてをわたくしで塗り替えてあげる♪」


 ほっぺにキス。


 怒涛のキス攻撃に、俺はもうクラクラだ。


 そして最後に、


「あなたを、生まれ変わらせてあげる」


 そう歌い上げ、あまりにも堂々と俺の唇に深くキスをしながら、ゆっくりと音が引いていった。


 そして、静寂が訪れ、曲が終わる。


 曲が終わりしばらくして、ようやくトリカは俺から唇を離した。


 ドキドキ、ドキドキ。

  

 激しく高鳴る鼓動が鳴り止まない。トリカのことが欲しくてたまらない。トリカの愛に答えてあげたい。


 でも、そんな俺の意思に反して、俺の体は俺の言うことを聞かず、一切体に力が入らない。


 きっと、快楽や混乱、急展開についていけず、心に身体が追いついていないのだろう。


 体に力が入らず、カクンと膝を地面につき、倒れそうになる。


 そんな俺を、しっかりトリカは胸でキャッチした。


「ふふ、あなたには、まだわたくしの愛のすべてを受け入れるには早かったみたいね?でも、いつまでも待っているからね───ということで、本日のライブはこれで終了よ!またね!」


 優しく俺の頭を撫でながらそう言い放ち、このライブは幕を閉じた…ようだ。


 頭の中がふわふわしていて、状況が飲み込めないのだ。


 モヤがかかった頭の中で、俺は必死に頭を回す。


 きっと俺は、トリカの熱く巨大な、炎のような愛を丸ごと受け止めようとした。


 そして、あまりの愛の強さ、大きさゆえに、受け止めきれなかったのだろう。


 ともすれば、今の俺は、灰みたいなものか。


 ああ、駄目だなあ、俺。


 もっと大きく、もっと強くなりたいな。


「「「トリカ様最高!!」」」「「トリカ様に愛されて羨ましいぞ!!」」「「もっとしゃんとしろ!」」「「情けない男だな!」」


 全ての音がどこか遠くから発せられているかのように感じる。


 言葉の内容が頭に入ってこない。


 ──しばらくすると、全ての音が消えた。


 きっと、配信が終了したのだろう。


 それでも、ただただトリカに身を任せていると…


 突然、こんな俺に追撃してくる人が現れた。


「ねえヒノキ?」


 この声は、セリか。配信が終わって舞台に上がってきたのか?


 でも、一体今のヘロヘロの俺に、何のよう……


 むちゅう。


「へへ、これで上書きね?あ、そうだ。トリカはもっと愛を受け入れて欲しいらしいけど、僕は愛すより愛されたいタイプだから、もっともっといっぱい愛してね?」


「…やってくれたわね。でも──」


 あ、もう無理、キャパオーバー。


 きゅう……ぱたん。


次回予告:無限料理編

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