観光地化その3!怒涛の紹介!
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ちょくちょくあるファッション系のコメントに完全スルーを決め込みながら、俺は多目的シューズに履き替え、空中へ飛ぶ。
うん。空から見るカマクラホテルも景色が良いね。ほんとに良いものを作ったわ。さすが俺だ。
さて、自画自賛はこのへんにして、そろそろ今日の本題に入っていこう。
今から、トリカが作った観光地を視聴者に紹介していこうと思う。
トリカがどこで何を作ったのか、特に場所についてはほとんど知らないのだが、紹介するに当たっては何も問題はない。
なぜなら、トリカは抜け目なく、電子案内板を各所に設置してくれているからだ。
この電子案内板にチップでアクセスすれば、行きたいところにわかりやすくナビゲートしてくれる。これなら、方向音痴さんも安心だ。
じゃ、片っ端から紹介していきますか!
「さて、トリカがメインで作ったのは、”昼に楽しめる”スポットだ!あ、俺は観光地の魅力紹介ムービーを撮るつもりで今から動くからな!あんまりコメントとのやり取りは出来ないかもしれないから、そこは了承してくれ」
>りょ
>お前にそんなことができるのか?
>こっちはこっちで勝手に楽しんでおくよ
>ちゃんと初見の人でもしっかり魅力が伝わるくらい、わかりやすく説明しろよ
うん。なるべくわかりやすくな。任せておけ。
…コホン。
「これから、トリカが作ったアクティビティを紹介していくぞ!」
「おっと、紹介の前に、この観光地でのおすすめの移動方法について説明しておこう!今俺が履いている多目的シューズがフロントで借りられるようになっているから、それを使って空から移動することがおすすめだ!ここは空気も美味しいし、景色も良い!移動中だって自然を楽しめるぞ!」
そう言い終わると、ビューンと飛び、次の観光スポットへ。
こんな感じで、どんどん紹介していく。
「ここはラフティングできる川!この観光地の目玉だと、トリカは言っていたぞ!流れがちょうどよくて、周りの景色も最高!」
「次に、ロッククライミング場!ここでは腕力だけじゃダメ。バランス、集中力、判断力――全てを試されるぞ!」
「次に動物ウォッチング!様々な動物が生息していることが、この惑星の自慢だ!」
「次にインセクトウォッチング!特性のグラスを付けて地中を観察すると、地面の雪や氷、土などが透けて見えるから、それで昆虫観察を楽しんでくれ!」
「次に一面氷に覆われた地面!トリカの優雅な歌を聞きながら、スケートリンクとして遊んでくれ!」
その他にも、ライブ会場、スノボ、スキー、パラグライダー体験などなど…トリカの作ったものは多岐にわたる。
それらを流れるように視聴者に紹介していった。
それにしても、トリカってすごいわ。こんなに沢山遊ぶ場所を、よく作れるなあ…
しかも、どれもクオリティーが高いし、俺が作るものとは違って、どれもものすごく細部まで拘っているし、俺のように詰めの甘い部分もないしな。
脳内でトリカを称賛しながら、俺は意気揚々と最後の場所を紹介する。
「最後になるが、ここはスローライフ体験場だ!この惑星に住む俺達の家の再現してあるから、ここに来れば、俺達の実際の暮らしを体験できるぞ!」
まあ、体験できる暮らしは俺とヨヒラとウツギの三人だけだけどな。だってセリとトリカはスローライフなんてしてないし。
だから、セリとトリカの家は、見学出来るだけだ。
でも、俺の配信の視聴者なら、見るだけでも、聖地巡礼しているみたいで結構楽しいと思うぞ?
さて、ようやく全ての場所を紹介しきったので、コメントを表示させる。
>ヒノキの生活を体験したいやつなんているの?
>ヨヒラ様の優雅な生活なら体験したい!
>ウツギの暮らしもたまには楽しそうだよな
>トリカ様の家…絶対に行きたい!
>ホラーハウス好きなんだよね…ヒヒヒ
うん。コイツラもコイツラで、俺とのやり取りがなくともしっかり楽しんでいたようだな。
あ、そうだ。まだ説明することが残っているわ。うっかりうっかり。
「あと、この再現された家の前に、小さなポストが置いてあるだろ?これは”推し応援ポスト”といって、ここに入れたお手紙は、直接本人に届くようになってるぞ!皆もやろう!推し活!」
>私の細胞から作った紙で書いたお手紙でも受け付けてくれる?私はそういうのが興奮するんだけど…
>あなたに犯行声明文をいれることも出来るってこと!?
>ヒノキのポストに自分のエロ写真を入れて、テロしてもいいの!?
なんでお手紙を届けられると聞いて、お前らが真っ先に思いつくコメントが、こんなのなんだよ…ろくなやつがいねえな。
今はムービーを撮っているので、視聴者とのやり取りなんて観光地の魅力紹介のノイズになる。
それなのに、コメントの流れに、思わずツッコミそうになったじゃねえかよ!
ま、俺がフライングしてコメント見たのが悪いんだけどな。
「もちろん手紙はこっちで用意するし、公序良俗に反することを手紙で書いている場合は、AIが自動的に弾いてくれる。だから、お前らは大人しく真っ当に楽しんでくれ!」
>あなたにはお手紙を書きたくないけど、クスネきゅんには書きたい!
>閣下へのラブレターを書いても良いんですか!?
>ヨヒラ様への崇拝のお気持ちを伝えたくて仕方がない
>あなたにムカついたら、お気持ちお手紙を書くことにしますね
相変わらず俺への当たりが強いコメントが沢山あるが、俺はお前らのことをツンデレだと認識している。だから、これはきっと、ただの愛情の裏返しだ。
でも、俺だってたまには、真っ当な感謝の気持ちなどを伝えてほしい!だから、切実にお手紙待ってるぞ!
あと、もう一つ伝えなければいけないことがある。
すこしやましい仕組みなので、俺はこれを小声で発表することにした。
「実は、このポストにいれることが出来るのはお手紙だけだけど、上手くやれば投げ銭としても利用することができるぞ。トリカいわく、男に貢ぎたいとかいう倒錯した趣味をお持ちの人のために、この仕組みを作ったそうだ。ま、そんなやべえ奴、いないと思うがな」
用意してある手紙にはランクがあり、ほぼ無料で買えるお手紙から、無駄に高い手紙まで幅がある。
そして、もらったお手紙のランクに応じたお金が、直接もらった本人に入ってくる仕組みなんだよね。
一応だが、一人一枚しか手紙は買うことが出来ないようにしてある。こういうのは破産するほどハマってしまう恐れがあるからな。
世の中には、男に貢ぎまくり、自分の生活がままならなくなることに快感を覚える人もいるらしいので、そういう人対策だ。
>女に貢ぐ男とかいう、もっとやべえやつもいるらしいからな
>それ、ブーメランじゃない?
>女が男に貢ぐのはある種当たり前みたいな風潮はあるけど、逆は考えられないよなwww
おっと、俺が最後に少し煽ったからか、見事なカウンターを喰らってしまった。
俺も前まではセリに貢ぐのはダメなことだと思っていたが、最近ではもう開き直っている。
こんなこと公には言えないが、実は貢ぐのって、楽しいんだよ。
ただお金をあげるだけで、セリが喜んでくれる。
それだけで俺は満たされるし、俺も嬉しくなる。
もしかして、貢ぐという行為は、最高の娯楽なのでは!?
…あれ?なんか今ふと思ったが、もしかして俺って…かなり重症?
いやいや…そんなまさか…
うん。これ以上深く考えるのはやめておこう。なにか気づいてはいけない真実に気づきそうだ。
「さて、これで俺達が用意したアトラクション、アクティビティーなどは説明しきった!これで観光地の紹介は終了だ!みんな!じゃんじゃんこの惑星に遊びに来てくれよな!」
ふぅ…
あとはこの動画を適当に編集してトリカに渡せば、うまく使ってくれるだろう。今日の仕事終わり!
それにしてもこの観光地、まだまだ発展途上ではあるが、これだけ楽しめるところがあるのだから、どこかでは絶対に楽しめるだろうな。
そして、俺達は今後どんどん良くなっていくであろうこの観光地の成長すら、娯楽として昇華させるつもりだ。
また自画自賛して申し訳ないが、この観光地、結構良くないか!?俺が視聴者だったら、絶対に行きたくなること間違いなしだわ!
「じゃ、配信も終わろうかな。あ、そうだ!明日は、トリカの誕生日ライブと、同時にジュニアが活性化される日でもあるぞ!楽しみにしていてくれよな!」
ジュニアが活性化状態になると、観光地化が完了したということになり、高次元バーチャルトリップで、俺たちの惑星に足を踏み入れることができるようになる。
…とうとう、この時が来た。
思えば、長かったような、短かったような…
この辺境の無人惑星だったこの地が、まさか観光地化するとはな。
ああ、感慨深い。
少しノスタルジックな気持ちになりながら、俺は配信を終了するのだった。
次回予告:できちゃったものは仕方がない




