将来住処!怪しいものを買わないで!
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「ねえ?今ヒノキ、エッチなものを買ったでしょ?」
「え!?なんで分かったの!?」
あ、つい正直に白状してしまった!
そう。俺が買ったのは、アダルトなアイテムだ。
この都市はギャンブルのような駆け引きを楽しむ店が多くあるだけでなく、男女が夜の駆け引きを楽しむことの出来る店も多数ある。
この都市はギャンブルだけでなく、風俗関係の店の豊富さも有名だからな。
だから、お土産屋にもそういう大人向けの商品が豊富にあるのだ。
ひっそり買ったつもりだったが、セリにはバレバレだったようだ。
「ヒノキは油断してると顔に出るからね。ムフフって表情してたから、すぐに分かったよ」
「いやあ…すまん。つい魔が差して、バニーガールのコスプレ衣装を買っちゃった」
これをセリとトリカに着てほしかったんだよね。
「なんだ。その程度の商品で申し訳無さそうにしてたんだ。コソコソしていたから、もっとエッグいのを買ったのかと思ったよ」
いやいや…俺にはこの露出が多いバニーコスプレくらいでも、十分刺激的だ。
というか、これよりもっとエグいのは、得体が知れなくて怖いんだよ!
【快感の奥へ!感度千倍ローション!】とか【未知の快感?全自動全身触手攻めセット!】とか【禁断の性格強制改変!?思考ハックスイッチ!】とかさあ…
なんでこんなのが違法じゃないんだよ!イカサマとかより、こっちを取り締まれよ!
「なあセリ?さっきから凄く楽しそうだけど、まさか、こういう商品を買ってるわけじゃないよね?」
「大正解!よくわかったね!もう、いっぱい買ってるよ!こういうのをヒノキの体で実際に試すの、すごく楽しそうじゃない?」
「ちょっと!?そんなに簡単に買わないで!というか、買うな!今すぐ返品しろ!」
「ふふっ、やーだよ!」
結局セリは、どんなに俺に頼まれても返品はしなかったとさ。
さて、朝起きてなにも食べずに軽く散歩したからか、なんだか少しお腹が減ってきた気がする。
「あ、あそこに無人販売所があるから、そこで適当に軽食でも買って、朝ご飯にしない?」
「おう!いいぞ!」
俺達は前世で言うコンビニのような店で軽食と飲み物を買い、近くのベンチに腰を下ろした。
朝日が眩しく差し込む中、他愛もない会話をポツポツと交わしながら、朝食を口にする。
「ねえ?なんだか僕達って、同じ様な子供時代を過ごした割には、好みがぜんぜん違うね」
「そうか?うーん…たしかにそうだな」
セリはこの都市に将来住みたいと思うほど適応しているが、俺はこの都市には永住しようとは思えなかった。
逆に俺が将来住んでも良いかなと考えている健康都市には、セリは住もうとは思わないだろう。
うん。改めて考えてみても、全然好みが違うな。
「でも、僕は好みが違うほうが面白い気がするんだよ。ヒノキはそう思わない?」
さて、どうだろう?
少し考えてから、俺は返答した。
「確かに。自分と違うからこそ、人との関わりは面白いって気がするな。もしかしたらだけど、セリが俺と好みが似すぎていた場合、お互いに好きにならない未来もあったかもしれないな」
そんな俺の返答に、セリは間髪入れず、
「そんな未来は絶対に訪れないよ。宇宙には無数のパラレルワールドがあるだろうけど、僕がヒノキのことを好きにならない世界は、絶対に無い」
「ええ!それは流石に言い過ぎじゃない?」
「もう!言いすぎじゃないよ!世界がひっくり返ろうが、僕はヒノキのことが好きなの!」
そんなふうにじゃれ合いながら、俺たちは朝食を食べ終えた。
それからは、示し合わせたわけでもないのに、俺達は自然と再び歩き出した。
この静かな都市の中を、同じ歩幅で、同じ足音を立てながら。
「ヒノキもさあ?なんだかんだこの都市をかなり楽しんだんじゃない?」
ふと、セリがそう呟く。
「うん。収支はトントンだったけど、それでもかなり楽しかったぞ」
この都市の”勝ちこそ全て”みたいな空気感はあまり俺には合わなかったが、それでも勝負自体は凄く楽しかった。
「やっぱりね!ヒノキって男としては珍しく、勝ち負け関係なくこういう勝負事を楽しめるタイプの人間だと思ってたんだ!」
「あれ?そうなの?セリがどうしても行きたいから、この街に観光しに来たんじゃないの?」
俺がそうおちゃらけて言うと、セリは不服そうに頬を膨らませる。
「もちろんその理由が大半だけど、ちょっとはヒノキのことも考えてるよ!」
「そうかそうか。ごめんって。でもさあ。なんで俺がこの街を楽しめそうだって思ったんだ?」
「だって、ヒノキには女勝りの闘争心があるからね!」
女勝りの闘争心?何だそれ?言葉の意味は伝わるが、少しピンとこない。
「僕の持論だけど、女は昔から男を取り合うために闘争心がむき出しだから、本能的に女なら誰でもこの都市を楽しめるんだよ」
なるほど。じゃあ、男はこの都市にくる男はこんなかんじの人かな。
「それに比べると、男は射幸心に弱いタイプがこの都市にくることがほとんど。でも俺はひりつく勝負を楽しんでいたから、女勝りの闘争心があるって言ったのか」
「そういうこと」
男女比が偏っているせいで、男って、なんの努力もせずに生きている人も多いからなあ…
そう考えると、俺みたいな闘争心がある男は珍しいのだろうな。
「ヒノキなら理解できるかな?闘争心同士のぶつかり合いって、楽しいよね?」
「うん。それはちょっと分かる。勝負って負けるとめちゃくちゃ悔しいけど、だからこそ勝った時嬉しいというか、そんな感じだな。俺も闘技場でウツギに初めて勝ったときは、めちゃくちゃ嬉しかったもん。まあ、あんな勝ち方だったけどな」
ラッキーで勝てただけとはいえ、初めての勝利の味は格別だった。
別にウツギも負けようとして負けたのではないと、相対した瞬間から分かっていたしな。
そんなふうに話しながらゆっくり歩いていると、会話が途切れ、少しの静寂が訪れた。
でも、セリと二人なら、沈黙が全く苦にならない。
これは、長年セリといっしょにいたからだろう。
「ねえ?ヒノキ。疲れたから、おんぶして?」
突然、そんな提案をしてきたセリ。
「ははは、セリはいつも甘えただなあ。もちろん良いぞ!」
そんなふうに言いながら、俺は俺で甘えられて嬉しいんだけどな。
ぴょんと俺の背中に飛び乗ってきたので、俺はしっかり受け止める。
「ふふ、やっぱり、僕はヒノキに甘えるのが一番好きだなあ…」
「でもさ、もし俺と二人でここに住むことになったら、俺がセリに甘えることになると思うぞ?」
「うーん…たしかにね。じゃあ、やっぱいいや!将来は絶対にここに住まないでおこう!だから、もっと僕をいっぱい甘えさせてね!」
はあ…ほんと、セリは可愛いなあ…一生一緒にいよう。
絶対に他の男には渡さない。絶対にだ。
「あ、甘えるついでに、ちょっと行きたいところがあるから、寄り道して良い?」
「おう!今は気分がいいから、どんなおねだりだろうが叶えてやりたい気分だ!何でもしてあげよう!」
出来る彼氏というのは、彼女のおねだりをできるだけ叶えることの出来る男だからな!さあ、なんでも来い!
「ほんとに!?じゃあ、帰るまでの時間、ずっと”休憩所”で過ごそ?いいよね?」
あっと。それはちょっと話が違うというか、なんというか…
「ほら?疲れているんでしょ?だから、あそこへ行くのは…」
「だから休憩するんでしょ?」
ねえ。そのニヤニヤした顔さあ、確実にわかってて言っているよね?
この惑星の”休憩所”って、あれだよ?いわゆるラブホ的なやつだよ?
それに、帰るまでなんだかんだ約七時間もあるよ?
だから…な?
「でも、さっき何でもしてくれるって言ってたでしょ?ふふふ、ここで買ったお土産を試していたら、七時間なんてあっという間だと思うんだよね~。楽しみだなあ~」
「えっと…やっぱりあのー…」
俺がなんとかやんわり断れないか言葉を探していると、
「まさか、取り消すつもりなんて、ないよね?だって、男が一度言ったことを取り消すのってカッコ悪いもん。ね?」
「お、おう!もちろん良いぞ!」
あ、カッコ悪いと思われたくなくて、反射的にそう返事してしまった。ヤバい!
うん。これはアレだな。もう取り返しがつかないパターンだ。
言ってしまったものは仕方ないので、せめてこう付け足しておこう。
「でも、なるべくお手柔らかにお願いします!」
「ふふ。無理♡」
そういって笑ったセリは、まるで獰猛な肉食獣のようだった。
──七時間後。
正直、休憩所に入ってからの記憶がほとんどない。
あまりの快感に脳がショートを起こしたとこまでは覚えているが、そこから先は思い出すことすらできない。
ただ、俺達が休憩所から出るところをみた人によると、輝かんばかりにツヤツヤした一人と、精も根も尽き果てて死にかけている一人の姿があったらしい。
そして、俺は今、何故か自宅拠点のベッドにいる。
いつ帰ったのかすらまるっきり覚えていないが、ここで寝ているということは、セリに運ばれたか、朦朧とした状態で帰ったのか、そのどちらかだろう。
おぼろげな記憶では、俺も色々頑張った気はするんだよ。
たしか、俺からも色々攻めてみたり、抵抗してみたり、そんな記憶はうっすらあるもん。
でも、今こんな状態だということは…
大人の”駆け引き”もセリは最強ってことだな!
次回予告:スローライフしよーっと




