脱出遊戯!順調な滑り出し!
読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。
「最初はここで遊ぼう!多分ここなら勝てるはず!ここでまずは軍資金を稼いで、そこからカジノで遊ぼうよ!」
色々な施設がある中でセリが選んだのは、”脱出ゲーム会場”。知性と身体能力が試される場らしい。
難易度を選べ、クリアすると賞金が手に入る仕組みとなっている。
難易度が高いものは、入場料もめちゃくちゃ高い。その代わり、賞金もかなり高く設定されている。
「なあ。難易度はどうする?怖いから、低めでとりあえず遊んでみるか?」
「いや!こういうのは一番難易度の高いスーパーハードで行くべきだよ!大丈夫!僕達二人ならクリアできる!」
「…マジ?せめてノーマルで遊ばない?賞金は安いけど、入場料はそこまでじゃないし…」
「ふふふ、ヒノキ。よく考えてみて?ある種この強気の値段設定も駆け引きの一種だよ?冷静に考えると、ノーマルを選んだとしても、十分入場料は高いでしょ?おそらくこの店はスーパーハードで客をビビらせて、ノーマルを選ばせようとしているんだよ!」
確かに、冷静に考えるとそうだ。スーパーハードの入場料がかなり高いので、ノーマルが相対的に安く感じるだけだったのか。その割にノーマルは賞金もかなり低く設定されているしな。
「だから、一番コスパが良いのはスーパーハードなんだよ。稼ぎたいのなら、スーパーハード一択だね。まあこれは、クリアできるかっていう話とは別問題なんだけどね。それでも、クリアすればいいだけだから!余裕余裕!」
俺が止めるまもなく、勢いよくセリは一番難易度の高いコースを二人分買ってしまった。
あっ…かなり高い買い物なのに、もう買っちゃったの?せめてもうちょっと悩まない?
…うーん、セリに全て任せてプランを決めたのは失敗だったかもなぁ…
まあ、仕方ないか。高い出費だったが、もう買ってしまったのだから、全力で楽しむか!
◆
難易度スーパーハードの脱出ゲームに入った俺達。
そもそもクリアさせる気が無いようなあまりに難しい謎解き、シビアな制限時間、悪意にまみれた悪辣な罠、失敗したら即ゲームオーバーな緊張感MAXのアスレチック、度肝を抜くような大掛かりな仕掛けの数々…
普通の人ならば、こんなの絶対にクリア出来ないだろう。ただ…
「なんか、あっさりクリアできたな!俺ら凄くね!?」
「僕達二人が揃ったら最強だからね!」
イエーイ!
ハイタッチをして喜び合う俺たち。
実際この脱出ゲームの難易度は馬鹿みたいに高かったが、ラッキーなことに、俺達ととても相性が良かったのだ。
この脱出ゲームはとっさの判断力や思考の柔軟性、高い身体能力などがクリアには必須だ。
お互いに補い合うように、それらの能力を高いレベルで持ち合わせていたのだ。
身体能力やゴリ押しが必要な時は俺が頑張り、俺に足りない判断力や思考の柔軟性が必要な時はセリが頑張った。セリはこう見えて、かなり頭が良いからな。
俺だけでも、セリだけでも、ここはクリア出来なかっただろう。
はっはっは!俺達のコンビネーションは最高だ!
「じゃあ、この賞金を軍資金にして、カジノで遊ぼう!」
「いいね!」
クリアしてテンションのブチ上がっている俺達は、意気揚々とカジノへ向かう。
……まあでも、そろそろ冷静にならないと。
さっきの脱出ゲームでは、人との駆け引き自体はなかった。ただただ俺達の絆と、能力のゴリ押しでクリアしただけだからな。
「ふふふ、流れに乗っている今の俺達なら、カジノごとき余裕だろ!な、セリ!」
頭では冷静になろうとしているのだが、どうもうまくいかない。たぶん、ずっと漂っているこのお香や、この都市のギラギラとした雰囲気のせいだ。
「そうだね!沢山稼いで帰ろうね!あ、ほら。そんなこと言ってるうちに、元々いく予定だったカジノについたよ!入ろう!」
目の前にはデカデカと光り輝くカジノの看板。
店内からは、ノリの良いアップテンポなBGMと、薄っすらと人の叫び声も聞こえてくる。
この都市には本当に多種多様で数々のカジノ店があるのだが、俺達が選んだのはこの店、”カジノ・ゼロ”。
なるべく安全で治安が良く、様々なゲームが楽しめる場所という店を吟味して選んだ結果、ここにしたのだ。
俺達は莫大な金を賭けたギャンブルや、命すらひりつくような危険なギャンブルなどを求めてここに来ているわけではないからな。
セリはどうかわからないが、少なくとも俺は、安全第一で、楽しく、程々に駆け引きが出来るだけで十分だ。
「いらっしゃいませ!ようこそカジノ・ゼロへ!観光のお客様ですね?では、このカジノで大勝ちして、人生を変えちゃいましょう!沢山のゲームがあるので、是非楽しんでいってくださいね!」
出迎えてくれたのは、スーツをしっかりと着こなした若いイケメンスタッフ。
表情や言葉の使い方から、本当に俺達をとても歓迎しているのが読み取れる。
爽やかな笑顔で俺達は丁寧に施設の説明を受け、お金をカジノ用チップに変更。
軽く二人でカジノ内を歩き、店内を見渡しながら、少し雑談を交わす。
「なんか、この店カジノ店のわりに、俺達を騙そうとする”悪意”みたいなものが全然感じ取れないな。ほら?そこのスタッフさんなんて、勝った人をそれはまあ嬉しそうに祝福してるし。どうもこの店、全体的に明るい雰囲気だ」
店内のポップなBGM、沢山のダンサーたちによるアップテンポなダンス、ゲームなどの派手でドキドキする演出、カードやルーレットを操作する美男美女ディーラー達の見事な話術など。
これがこの店の方針なのか、どこもかしこも雰囲気が明るい。真剣勝負をしている時特有の、重くて張り詰めた空気などは、この場には薄い。皆で、パーティーゲームをしている時のような、和やかな雰囲気だ。
もちろん、たまに勝負に真剣になりすぎてみっともなく叫ぶ客や、負けすぎて裏へと連れて行かれる客、明るい雰囲気で「少しなら借金も出来ますよ?」という誘いなど、怖い一面が多少見え隠れするのも事実だ。
まあでも、そんなことはこの都市なら日常茶飯事だ。この危険な都市のカジノということを考えると、実際この店は他店よりかなり安全だろう。
「それにしても、この店はセクシーなイケメンだけでなく、セクシーな美女も多いなあ」
この宇宙の男性は露出の多い女性を嫌う傾向があるので、こんな場所は珍しい。
ほほう……ええのう、ええのう!
つい、視線が美女の胸の谷間などに吸い寄せられてしまう。
あっ、ごめんてセリ。蔑んだ目で見ないで!手をつねらないで!これは男としての本能的な行動だから、仕方ないんだよ!
そんなふうにじゃれ合いながら、軽くこの店内を一周した。
「ここのスタッフの自信満々で楽しそうな態度や雰囲気…あの雰囲気が出せるってことは、よっぽど負ける気がないんだろうね。きっと、自分たちの駆け引きの実力に相当自信があるんだと思う」
一周回ってセリが導き出した結論は、そのようなものだ。
なるほどね。この楽しげな空気の裏には、確固たる自信があるというわけだ。
きっと、あの明るい雰囲気に流され、ただ楽しく遊ぶだけでは、この店では勝てない仕組みになっているのだろう。
「……なんかさ、視線を感じないか?」
「うん。ヒノキもようやく気づいたみたいだね。バレないようにとても巧妙にだけど、この店に入ったときから、僕達はずっと観察されてたんだよ。きっと、僕達の特徴をプロファイリングしてるんと思う。表向きはあくまでフレンドリーだけど、勝負には一切手は抜かない。これは油断ならないね」
マジか。俺がセクシー美女の胸の谷間を見ていたとかが、しっかり観察されていたってわけか。
俺には女性に弱いという、わかりやすくて明確な弱点がある。
この感じだと、俺一人だとその弱点をつかれて、あっという間にすっからかんになっていただろうな。
よし!その対策として、セリと絶対に離れないでおこう!
「まあでも、ビビっていても仕方がない!せっかくカジノに来たからには、あんまりごちゃごちゃ考えすぎず、全力で楽しもうか!」
次回予告:あれ?セリ…どこ?




