作戦会議!ギャンブル都市とは?
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ある日のこと。
「ねぇ?行きたいところがあるんだけど…二人っきりでデートしない?」
セリが俺に密着してお願いしてくる。
柔らかな胸の感触、セリの濃くて甘い匂い、覗き込むように見てくる上目づかい。
きっと、俺の今の表情はチーズのようにとろけきっているだろう。
うおおおお!セリが可愛すぎる!!!可愛すぎるぞおおお!!!!
わっしょい!わっしょい!
脳内の大量の俺が、神輿を担いで大騒ぎしだした。
もちろん、そんな状態の俺が答える答えは一つ。
「良いぞ!!!!」
◆
「はい。回想終わり!ということがあり、明日セリと旅行へ行ってきます!あれな?ジュニアを使ったバーチャル旅行な?旅行へ行く場所はその観光地の意向で特殊な配信しかできないから、二日ほど配信休みます!」
>もはや配信開始のときの挨拶すらしなくなったのか…
>今日も楽しみ
>突然の回想に視聴者も困惑
>急に決まったのな
>どこ行くの?
「どこへ行くかと言うと…っと、その前に自己紹介するか。すっかり忘れてたわ。どうもー。強運勝負師ムキムキイケメンのヒノキです」
>あ、忘れてたのねwww
>お前は挨拶も出来ないのか?
>その適当な挨拶、癖になってきた
「で、どこへ行くかと言うとだ。ギャンブル都市のネペンテラスに行ってくる予定だ!」
>え?マジ?大丈夫なの?
>破産しない?
>男が言っても楽しめるの?歓楽街でも有名なイメージあるけど…
>あなたがあそこで正しく遊べる気がしないんだけど
>あの怖い街へ行くのか…
>二人だけで行くの?
「まあ、正直不安だ!俺のことだから、あっさり破滅しそうで怖い!だから、明日の対策を練るぞ!」
>よく自分のことを分かってて偉い
>天国でもあり、地獄でもある街。ネペンテラス
>別名がタブーを犯す場所って言われてるくらいだしねぇ…
>世界一チョロい男が行って、無事に帰ってこられるのか?
>ネペンテラスってどんな所?
「そうだな。有名な観光地だけど、知らない人もいるよな。ネペンテラスの説明から入ろうか」
明日行く場所、ネペンテラスについて。
説明の前に、まずはその場所につけられた沢山の別名から紹介しよう。
堕落を促す場所。つかの間の天国。勝者の都市。蟻地獄。全員が敵の都市。悪魔が宿る観光地。金が降り注ぐ都市。堕落する場所。タブーを犯す都市。イカれているのが普通。まともが異端。などなど…
こんなふうに様々な呼び名があるのは、ネペンテラスが人気で、魅力のある観光地だからだ。
ただ、その魅力は別名から察することができるように、少々危険な魅力なのだが…
この都市には危険とわかっていても観光客が何度も訪れてしまう、得も知れない魅力があるのだ。
「その都市の最大の特徴。それは、何をするのにもギャンブルが関わっている、ということだ!」
ちょっとした買い物ですらギャンブルに勝たないと買えなかったり、そもそも明確にハズレの商品があったりなど、それが普通の都市。
店員との駆け引きがうまくいけば、自分が買い物を買ったのにもかかわらず、買い物が終わると自分のお金が増えていた、なんていう逆転現象すら、そこではよくあることらしい。
その都市の住人はギャンブルに命を賭けていて、いつ何時でも観光客というカモの存在を待ちわびているらしい。
だから、観光客は一瞬たりとも隙を見せてはいけない。住人との駆け引きを楽しみつつ、破滅させられないように立ち回ることが、この都市の正しい楽しみ方だ。
というようなことを視聴者に説明する。
「俺が知ってるのはこれくらいだな。行ったことある人は体験談とか、俺の知らないネペンテラスの情報とか、色々教えてくれ!」
>あの街、常時アドレナリンが出る御香みたいなのが焚いてあるから、感情をコントロールするのが難しいんだよね
>町並みはどこへ行ってもギンギラギンで面白いよ。全体的に動きのあるライトが多い印象
>町並みでは、演出として常にお札が降り注いでる、やべえ都市
>本物の男も多く住んでるらしいよ。借金まみれの地雷男ばっからしいけど
>基本的にどこへ行っても夜中は騒がしい
>女をカモにするために、住人は男装した男ばっかりで、ある意味目にいい都市
>普通に男根のシンボルがデカデカと置いてあったの笑ったわwww
>あの惑星、夜が長くて朝が短く設定されているからね。感覚が狂わないように気をつけてね
知っている情報もあれば、知らなかった情報もある。
男の見た目の人が多いというのは知らなかったので、俺達も男の見た目にアバターを設定しておこう。女性の姿で行くと、浮くかもしれないからな。
あと、その情報を聞いて、少し合点がいった事がある。
先日、俺がトリカに旅行に行ってくると話した時、ギャンブル都市ネペンテラスへ行くと言った瞬間から、トリカが苦虫を噛むような反応をしたのだ。
そのときはなんでそんな表情を浮かべたのか理由が分からなかったが、男が多いのならその反応も納得がいく。
だって、トリカは基本的に男が嫌いだからな。男を見ることすら嫌だとよく言っている。
正確には、クソ男を見るのすら嫌いと言うほうが正しいが、基本的に男なんてクソみたいなやつしか表に出てこないので、男が嫌いと言ってしまっても差し支えないだろう。
トリカも俺達が行く場所によっては、無理やり時間を作って、俺達の旅行に強引に付いてくる気があったのかもしれない。二人っきりで旅行に行くことを、凄く羨ましがっていたからね。
けれど、行く場所が場所なので、無理する気が失せたのだろう。
「ねえ?駆け引きのコツとかなんかないの?」
>ねぇよんなもん!ちな、私は破滅しそうになったぜ!
>家に帰るまで油断しないこと。例え大勝ちしても、帰り際にすっからかんにされることもあるからね
>何でもかんでも賭けに乗ったら駄目。危なそうだと感じたら逃げるのも大事
>私はたまたま勝てたけど、運が良かっただけな気がする
>意外と必要なのが相手をしっかり蹴落とす覚悟。泣き落としに負けるようでは駄目
>貧民に落ちてしまう!って喚き散らすのよくある手法だから、気を付けて
「そうか、あそこの住民って確か明確にランク分けしてるんだったよな。貧民とか平民とか富豪とかだっけ?なかなか残酷なシステムだよな」
>平民は貧民に落ちないように必死だからね
>ランクが上の人には絶対服従らしい。怖すぎる
>観光客でも大貧民に落ちたら、帰ることすら出来なくなるから気をつけて
>貧民達による蹴落とし合いのショーが、富豪達の賭けの対象になってたりするんだよな
そう。そのギャンブル都市は、観光客ですらその都市に入った瞬間から、そのランク分けのシステムに強制的に参加させられる。
改めて思うが、聞いているだけで怖い都市だ。無事に帰れるのか?俺?
「あと、なんか気をつけることある?」
>絶対に借金をしないこと。負けても借金さえしなければなんとかなる
>飲み物が基本的に酒しか無いから、チップを使ってアルコールはしっかり解除しておくこと
>どんなに勧められてもタブーだけは犯さないことかな
>裏〇〇とか、裏と名前がついているものには絶対に近づいちゃあ駄目!
>借金まみれになると、ネペンテラスに居住させられて、タブーを犯させられて、働かせまくったりされるから、気をつけて!
>観光として行って、借金して帰ってこれないなんてこともあるあるだからな
視聴者が言っているタブーとは、宇宙三大合法タブーのことだ。これは、あまり常識を習ってこなかった俺ですら知っているくらい、この宇宙では有名なものだ。
具体的なその三つとは、ショートスリープ、技術習得措置、未来予測。
ショートスリープは、脳内のチップを必要以上に稼働させ、無理やり短時間の睡眠でも、十分に回復できるようになるスキル。
技術習得措置は、脳内のチップの安全機能をいじり、設定から直接脳の書き換えが出来るようになるスキル。これを使えば今まで一切出来なかった技術なども、一瞬で習得することか出来る。
未来予測は、脳のチップの機能を拡張し、超高度な計算をする機能を開放することで、非常に高い確率で未来を予測できるようになるというスキルだ。
どれも、生活する上では一見とても便利そうに見える。
しかし実は、これらは人間にあまりいい影響を与えないのだ。
これらを使うと、脳に超軽度なダメージを負ってしまうことがわかっている。
ただ、たまに使う程度なら自然に回復する程度のダメージなので、実質的には問題はない。
だから、宇宙三大”合法”タブーなのである。
これらがタブー扱いされて有名なのには、それなりの理由がある。
人間は一度手に入れた便利な能力を使わずにはいられない。一度便利なスキルを身につけてしまうと、どうしたって何度も使ってしまうのだ。
そして、これがタブーとされている理由はそれだけではない。
タブーを犯した人間は、幸せになれないということが、しっかり研究結果として出てしまっているのだ。どうも、タブーを犯した人間は、小さな幸せでは物足りなくなり、幸せのハードルがどんどん高くなってしまうらしい。
「…なるほどなあ。沢山のアドバイスありがとう!色々参考にしつつ、セリとのデートを全力で楽しんくるな!」
>そう。結局楽しんだもん勝ち
>危ないけど、凄く楽しい都市ではあるからね
>駆け引きが苦手だろうが得意だろうが、なんだかんだ破産さえしなけりゃ楽しめるはずだ
明日のセリとの旅行デート。楽しむぞ!
次回予告:ダンディなおっさんから色仕掛けを受けるヒノキ




