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スノードロップ  作者: 白崎なな
第6章、自由と平和
44/46

44。月が綺麗ですね

ゆえとアイランが皇室の門をくぐり、2人が歩いてくるのが見えた。


その後ろをエイダンとエマが腕に鎖を繋がれた状態で歩いている。

その後ろを師がしんを抱えて、ゆっくりと着いてきている。




(え?アイラン??エイダンもエマも皇室にいたの?…この時間にの間に2人を捕まえていた?の?)




ゆえ?アイラン?なぜ?水本が敵じゃない。とは言っていたけど。

そ、それに。その2人はどこにいたの?」




「エイダンとエマは、アイランが捕まえた。……ここからは、しっかり話をしてくれるはず。」


そう言って、顎でクイッとアイランをさした。



「…ぎょく、君たちの話は賢祐けんゆうから十分すぎるほど話は聞いていた。だから……スノードロップのために僕も動きたいとそう思った。でも。自分のことを理解してくれていた唯一の兄さんを殺されて。


……頭に血が登って。あんなことをしたんだ。」



「……」



「…申し訳なかった。」



「そう。……っ。分かった。これから、私たちは、スノードロップを解散する。アルタイアに連れてこられた子達を解放して。

……それで、世界の子供達が戦争を知らない平和な世の中を作りたいの。…協力してくれる?」



「〜〜!!!!もちろんだ!僕にできることならなんでもしたい。本当に、すまなかった。これから、僕は君たちの歩もうとしている未来を…許されるなら歩んでいきたい。」




「何年かかるか、わからない。でも。私たちみたいに苦しむ子達を減らしたい。」


「本当に、優しいね。」



「…梓だって、優しいからここまで連れてきたんでしょ?」




「どうかな?全部梨那に丸投げしようかなって。」



ぎょく……」



「あぁ、アイラン?ひとつ伝えて起きたいんだけど。私の名前、ぎょくじゃない。」



「え?」



「ちなみに、ゆえしんも。」



「私の名前は、山内 梓。ぎょくは、高松 梨那。しんは、桃山 叶果きょうか


この名前も水本につけられて。過去の自分は死んだ。と言われてたの。本当の名前は名乗るなって。」



「そ、そうだったのか。」



「それで?この2人は?」




「父親を君たちの代わりに殺さないかと思って、ここまで乗り込んできた。

その道中でこの2人が船で逃げようと話をしていたのを見つけたから。……捕まえておいたんだ。」




「そう。……分かった。ありがとう。」



梨那は、喋れないように口も塞がれているエマとエイダンのさらに後ろにいる師のところへ足を進める。


(名前、それだけとってもいい思い出がないなんて。寂しい話だなぁ。)




腕にいる叶果きょうかの頭を撫でた。


「叶果、ようやく終わったよ。」



「…」


もちろん、返事はない。

(いつまでも泣いてられないよね。叶果。見守っててくれたかな?ありがとう。)



陽が地平線から頭をのぞいた。

新しい世界をつくろうと決意した梨那たちを後押ししてくれているようだった。



ーーーそれから、世界の平和のためにとそれぞれ別の道を切り開いていこうとなった。



華楽からくに、梓。

アルタイアに、梨那。

龍元りゅうげんに、師。




梓は帰国後すぐに、民を守るとされていたスノードロップに悲痛な過去を持つことを国民に説明をした。



『スノードロップは、親を水本に殺され戸籍を剥奪された幼い女の子達を寄せ集めた集団。なおかつ、殺しを命じられてきた。



…あまつさえ、人身売買をしてアルタイアへ奴隷として売られていました。』



それを聞いた華楽からく国民は、ひどく困惑した。秘密裏にことを暴いてきたので、あまりに急な話だったから。



それに対して梓は、その気持ちを汲み取り民に寄り添った。



『悲しい過去を知る私は、この国を変えていきたいんです。悲しむ子供を減らしたい。その願いを叶えたいんです。』



毎日のように梓は国民の前に出向き話をした。そのうち少しずつ、彼女の声に耳を傾けてくれる人が増えた。


大きな戦争で行き場を失った子供達に、孤児院をつくり子供達を愛した。

アルタイアにいた、奴隷として連れて行かれたスノードロップの子達とともに孤児院を運営していった。



彼女の優しさに触れて、華楽からく国民は彼女を国長に相応しい人だと。



『梓さんの目指す世の中は、きっと安泰だ。』



そうして、華楽からく国民のスノードロップを解放して政府の人間を除名する動きが強まった。




『誰かが悪い。と考えられがちですが。それは間違いです。この冷たい血に塗れた世界を作り出したのは、この世に生きるわたしたちなのです。


だから、今から未来を変えていきましょう!私たちの手で!』




そして、国民が梓を華楽からくでの初の女性国長にした。



『…梓。月が綺麗、ですね。』



『えっ、それは、そう言う意味ですか?』




『そういう意味っです。』




『あなたでも、緊張するんですか?声が裏返ってますよっ』




『……へ、返事を聞かせて欲しい、』




『今なら…月光に手が届くと思いますよ。』




『梓、嬉しいよ。』




『月がなんて…私のゆえにかけたんですか?』




『嫌だったなら、やり直しましょう…』



『嫌なんて、言ってませんよ?あなたからなら、その名前を呼ばれてもいいと思ってましたよ。……賢祐けんゆうさん?』





『あなたに、そうやって呼ばれると特別に感じますね。名前は、本当に大切ですね。』




『そうです。名前は大切なのです。……スノードロップの子達も皆が本当の名を名乗ることが許された。とても幸せなことです。』



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