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スノードロップ  作者: 白崎なな
第5章、戦争
39/46

39。どうやって

ぎょくゆえは、皇室のノアの執務室から出ようとした。

そのとき、天井が揺れた。



パラパラッーー


(ん??なに??なんか、降ってきた?)



天井の壁を突き破って人が降ってくる。

それと同時にバンッと大きな音が外でした。

狼煙が上がる音だった。


大きな音と光を伴うものを選んでおり、どこからでもその狼煙に気づくことができるようになっていた。


しかし、その狼煙よりも目の前の人物の衝撃にぎょくゆえは、目を奪われた。


「え?なぜ、あなたがここに?」

「どうやってここに来たの?」



ぎょくゆえの言葉が重なった。



上から降ってきたのは、アイランだった。

アイランは被っていた2人の言葉をしっかり聞き取っていた。


「なぜ?どうやって?って?

今まで男だとバレずにやってこれた人間が、別の人になりきってアルタイアに戻ってくるなんて……至極、簡単だとは思わないか?」




「あ……ゆえ、私は翠娘娘すいにゃんにゃんのところは行く。ここはよろしく。」




「それなら、畑国長はたらくにおさも一緒に行ってください。ここは、私ひとりで十分ですから。」



「ちょっと待て待て。勝手に話を進めるなよ。僕が用があるのは、ぎょくだ。………まぁ、向こうにいる水本さんもだろうが。」




「水本……それなら尚更、私が行く必要がある。」



「スノードロップの子達は、水本のことを誰しもが許せない。って思ってる。だからこそ…よろしくね。ぎょく




「うん。また、あとで。」



ぎょくは、急いで部屋を出て鳳凰木の森を目指した。

目に溜まった涙を拭って。



(私は、ぎょく。まだ、梨那りなには戻ってはいけない。もう少し。この戦争が、終わればきっと、明るい未来が待ってる、そうだよね?

ーーー叶果きょうか、お願い。見守ってて。)



狼煙が上がったら、指示がなくても軍を二手に別れてその場に留まるものと森林へ向かうものにすること。としていたのでおそらく、華楽からく軍の誰かはいるだろうと思われた。



走りながらも、深く呼吸をとってすぐに戦える準備をする。

何度も心の中で、"私はぎょく"と念仏のように唱えた。



先ほどのしんが撃たれるスローモーションで見えたあのシーンがフラッシュバックしてしまうから。


ゆえに背中を押され、自分で自分を律しなければ、もう一度こうして立ち上がることはできなかった。




しんの想いも私たちが成し遂げ、繋いでいきましょう。」


やっとここで口をひらいたはたがそう言った。

ぎょくに向けている言葉のようだが、はた本人に言い聞かせるようなそんな雰囲気を感じる。




「…はい。畑国長はたくにおさは、翠娘娘すいにゃにゃんのことを…お願いします。」



鳳凰木の森林目前となったが、何も音が聞こえない。

おかしい。嫌な汗が流れた。




(水本……この森の中のどこにいるの?)




「…嫌なぐらいの静かさですね。はやく、中に入りましょうか。翠娘娘すいにゃんにゃんが心配です。」



「……そうですね。」




木々で覆われているので、視界が悪い。

そして相手は木々の隙間に隠れることができるので、仕掛けられたらこちらが不利な状況だった。




ーードーーンッ


突如として、森林の先から音が聞こえた。

パチパチと何かが燃える音も聞こえてくる。



(まずい。船が燃えているかもしれない。)



「畑国ぉ……さ……?」



珠かんざしが揺れシャララッと音をして振り向き、後ろにいるはずのはたを確認した。

後ろには誰もいなかった。



「ジジッーーこちらぎょく畑国長はたくにおさ?聞こえますか?」



(さっきまでもやりとりが一切できなかった。

繋がるかわからないけど、話してみるだけやってみよう。)


『……………』


案の定、返答はない。

ぎょくは船のある方へ足を進めた。




翠娘娘すいにゃんにゃんどうか、ご無事で!)


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