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【書籍化決定!】薬師ヒナタは癒したい~ブラック医術ギルドを追放されたポーション師は商業ギルドで才能を開花させる~  作者: みんと
第三章 王国・首都 編

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第95話 刺客


僕は医大の試験を受けるために、ライラさんと王都にやってきたんだけど……。


どうやら手違いでホテルは一室しかとれてなかったみたいだね……。


夜になり、ホテルの寝室には僕とライラさんだけだ。


緊張するし、気まずい……。どうすればいいんだ、こういうとき……。


「ヒナタくん……お話があります……」


「ひゃ、ひゃいっ!」


ライラさんが僕に近づいてくる。生地が薄めの寝間着だから、そんなに近づかれると目のやり場がない。


「私とヒナタくんが知り合って……そろそろ結構な時間がたちます」


「そ、そうですね……。いろいろありました」


「はい。それに、ヒナギクちゃんの病気も良くなって、そろそろ言うべきだと思ったんです」


「な、なにをですか?」


ライラさん、いつになく真剣な表情だ……。


もしかして、大学に行っちゃうから僕をクビにするとか……!?


それはさすがに困る……!


いやいや、さすがにそんなわけはないよ……ね?





【side:ライラ】


私は決死の覚悟で、ヒナタくんに迫ります。


この日のために、綿密に計画を立ててきました……!


旅行先でなら、ヒナタくんの鈍感さも多少はマシになるかと思いましたが……。


それでも、今日言うしかありません!


このままだとヒナタくんは王都へ行ってしまうし……そうなれば、私との接点はどんどんなくなっていき……あげくには疎遠になりかねません。


それだけは避けたいです。


王都の医大に通ったりなんかしたら、悪い虫が寄ってくるに違いありませんしね!


「ヒナタくん……!」


「は、はい……!」


私はどんどんヒナタくんに詰め寄ります。もうヒナタくんの後ろにはベッドしかありません。


このまま押し倒しちゃいましょうか……。


――えい!


「わ……! ちょっと、ライラさん!?」


私の顔と、ヒナタくんの顔が、息がかかるくらいに接近します。


はぁ……はぁ……。


はやくこの気持ちを伝えなければ……!


今こそ言うのです! 私! ライラ・レオンハート!


――ヒナタくんと婚約して、いっしょにギルドを大きくしていきたい! ……って!


「あのですね……ヒナタくん……!」


「だ、だからなんなんですか、ライラさん!」


そのときでした――。


――ガシャーン!


大きな音と共に、窓ガラスが割れて、なにか黒い塊が部屋に転がり込んできました。


「ライラさん……! あぶない!」


ヒナタくんがそう叫びます。


「――え?」


――ザク……。


――ドクドクドク……。





【side:ヒナタ】


――ガシャーン!


大きな音と共に、窓ガラスが割れて、何者かが部屋に侵入してきた。


ライラさんの話は気になるけど、今はそれどころじゃない!


黒い人影は、一直線に僕たちへ向かってくる。


「ライラさん……! あぶない!」


僕は咄嗟に、身体の上に覆いかぶさっているライラさんを、放り投げる。


「――え?」


もちろんそれで怪我をしてしまったら本末転倒だ。


なるべく優しくライラさんを僕から退かす。


「うおおおおおおおおおお!」


僕は身をていして、謎の人影に立ちはだかる。


刺すならライラさんではなく、この僕をだ!


――ザク……。


――ドクドクドク……。


「……かはっ!」


僕はお腹を刺されたのか……? 息ができない……。


吐血してしまう。ホテルの綺麗な純白のシーツが、一瞬にして真っ赤に染まる。


「きゃああああああああああ! ひ、ヒナタくん!? いやああああああ!」


ごめん、ライラさん……。僕はバカだから、こうするしかできないんだ……!





【side:カエデ】


私は隠密暗殺部隊5597所属、カエデ・ロベルタス。シノビと呼ばれる隠密暗殺者だ。


今回の任務は、スカーレット・グランヴェスカー直々に下された、失敗できない仕事。


私はタイミングを見計らって、ホテルの一室へと侵入する。


(ふふふ……ヒナタ・ラリアークめ。女といちゃついているのが悪いのだ! 隙を見せたな! まさに、絶好のタイミング!)


窓ガラスを割り、地面に転がり込んで受け身をとる。


そして向かうはベッドの上のヒナタ・ラリアーク。


上に乗っかっている女もろとも、葬ってやるわ!


――ザク……。


「……かはっ!」


よし! 成功した! 女はヒナタの機転で難を逃れたが、それは別にどうでもいい……。


ヒナタ・ラリアークさえ仕留めれば、あとはこっちのもんだ。


「やった……!」


私は確かな手ごたえを感じていた。仕留めた! これは確実に仕留めたぞ!


そう思い、剣を抜き、立ち去ろうとした時だった……!


「あれ……抜けない……」


ヒナタ・ラリアークの身体に刺さった剣が抜けないのだ。


やつの身体にそれほどの筋肉が……? いや、そんなはず……。



「――活性(ブースト)



は……? 今、ヒナタ・ラリアークは何と言った……?


ヤツの持つ黒龍の(ブラック)ペンダントは破壊されたはずでは!?



「――活性(ブースト)


「――活性(ブースト)


「――活性(ブースト)


「――活性(ブースト)


「――活性(ブースト)



ヒナタ・ラリアークがそう唱えるたびに、ヤツの肉体に力が増していくのがわかる。


まさか、肉体の強度を活性化させたとでも言うのか!?


それに、傷口もほぼふさがっているように見える……!


コイツ……化物だ……。


私は恐怖のあまり、漏らしそうになる。これでは暗殺者失格だ……。


まさかコイツがこんな力を隠していただなんて……!


「君……自分が何をやったか、わかっているよね?」


ヒナタ・ラリアークは、温和な笑顔のまま、こちらへと近寄ってくる。


それが余計に恐怖心をあおる。


「……っひ! ゆ、許して…………」


「は? 僕を刺しておいて、それはないんじゃないかな……? それに、ライラさんを危険なめにあわせた。その罪は重いよ?」


「ひぃっ……!」


私はその場で失神した。


願わくば、失禁はしていないことを祈ろう……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒナタ~!無事で良かった!だ! [気になる点] チンチクリン女は、失禁してて、あだ名が失禁女になりますように!!!…てか命乞いするって…馬鹿にも程がある!…こりゃあ情報もペラペラ喋る人間で…
[一言] 暗殺者にしてはメンタル弱
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