表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定!】薬師ヒナタは癒したい~ブラック医術ギルドを追放されたポーション師は商業ギルドで才能を開花させる~  作者: みんと
第二章 総合ギルド 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/130

第86話 リカバリー


「ガイディーンさん!」


僕はガイアックの家に勢いよく上がり込む。


はやくガイディーンさんを助けたい。


「ヒナタさん……本当にやるんですか……?」


「俺も、気乗りしないな……」


「そうですよ! 自分も、ガイアックのことはいまだに……!」


ザコッグさんとキラさんヘルダーさんが怪訝な顔で僕を見やる。


僕は医師免許がないから、三人にも同行してもらった。ヘルダーさんは助手として。


もちろんウィンディも一緒だ。彼女も助手としてついて来てもらった。


ガイディーンさんの病状はかなり悪いと聞いていたからね……。


念には念を入れて、万全を期したい。


「ザコッグさんにとってもキラさんにとっても、ヘルダーさんにとっても……ガイアックのことは許せないでしょうね……。でも、それじゃあどうしろというんです? ガイディーンさんを見殺しにするんですか? そんなこと、僕にはできません。手の届く範囲は、手を差し伸べるって、そう決めたんです」


「ヒナタさん……。ガイアックにさえ手を差し伸べるなんて……」


「僕はガイアックの頼みがあったから、ここに来たんじゃありません。自分の意思で、ガイディーンさんを救いたくて、救うんです」


「ヒナタさん。そうですね! 俺もそうヒナタさんを見習って、そう思うことにします!」


よかった、ザコッグさんたちも納得できたみたいだね。


これで心置きなく、手術に移れる。


邪魔になるといけないから、ガイアックには家の外で待機してもらっている。


もしもの場合にも……備えてね……。


ガイアックも気が気じゃないだろうけど、そこは我慢してもらわなきゃね。


「でも……なんで医術ギルドの処置で、回復しなかったんでしょうねぇ……?」


「それは、調べてみないとわからないですね……」


僕はさっそく万能鑑定(オールアプリ―ザル)でガイディーンさんを診察する。



●ガイディーン・シルバ


 54歳

 体調:不良

 職業:医師

 病状詳細――■■■不明■■■



「これは……!?」


「どうしたんです、ヒナタさん!?」


僕はこの病状に、見覚えがある。


そう、ないはずがないんだ……。



「――僕の妹と、おんなじ病気だ……」



「ええ!?」


ガイアックは、加齢とストレスによるものだと思ってたみたいだけど……。


これはどう考えても、それだけじゃない。加齢とストレスだけで、ここまで体調は悪化しないはずだ。


困ったな……ヒナギクはまだ若くて元気だったから、かなり時間的猶予があったけど……。


ガイディーンさんの場合は、思ったより進行が早い。


これは、参った……。年齢が高いことと、度重なるストレスが、病気の進行にさらに拍車をかけているんだね……。


「医術ギルドの連中は……診断を見誤ったってことか?」


「そうなりますね。でも仕方ない。僕の知る限りでも、今のところ(ヒナギク)以外にこの病気になった人を知らないし……。未知の病気なんだ。まだ病名もない、ね。それを誤診するなんて、あたりまえですよ」


「たしか……ヒナタさんの妹さんって……ヒナタさんのおかげで治ったんですよね? どうやったんですか? その時のようにすれば、ガイディーンさんもきっとよくなるはず!」


「う……残念ですがザコッグさん……。その方法は……もう、使えないんです」


「ええ!? そりゃまたどうして!」


「詳しくは話せないないんだけど……。それには僕のスキルも関係していて……。とにかく! 八方ふさがりですよ……」


「そんな……もう時間がないのに……」


正直、僕も自分を過信していた気はする。


たくさんのことを成し遂げて、自信はついてきた。


でも、決して慢心してはいけないんだ。僕らは……。


「なんとかしてみます……!」


「何とかって……!? 手の打ちようがないんじゃないんですか!?」


「ええ。正気の沙汰ならそうでしょうね……。ですが、ぶっ飛んだ方法なら、まだ手はありますよ」


「ヒナタさん……! なにもそこまでやる必要は……!?」


「何を言ってるんですかザコッグさん。僕たちは、人を救う(・・・・)立場にあるんです。患者さんがいれば、それが誰であろうと、目の前の人に全力を尽くす。それがたとえ……不可能な状況にあってもね!」


「っく……ヒナタさん! 俺、感動しました! なんでもします! なんでも言ってください!」


「ザコッグさん……! はい! がんばりましょう!」


僕は、なんとしても救わなくちゃいけないんだ!


ヒナギクと同じ病気で苦しむ人を、この世からなくすんだ!


「先輩……まさか……とんでもないことを考えてるんじゃないっスか?」


「大丈夫だよウィンディ。心配しないで、無理はしないから」


「うう……心配しかないっス……」


「それに――秘策があるんだ」





ヒナギクを救うときはあれほど消耗したヒナタ……。


そんな危険な方法は、二度と使わないと誓ったはずだ。


いったいガイディーンをどう救おうというのだろうか……!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 人として見た場合は復讐が先に来るのが当たり前だけど、救う者として見た場合は等しいになるんだよね。
2022/05/15 10:48 退会済み
管理
[気になる点] 不治の病?…じゃあ愚鈍の奴を責めることは出来ないのか…いやいや!愚鈍のあの性格や!…何かしらザマァと言う名の天罰が落ちるど! …例の不治の病か…この町で二件発見されたから、この町の名…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ