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89 会長(?)とエ◯ゲ

除霊後、そんなこんなでやって来た場所は……『PCゲーム研究部』。


「……ここで間違いないの?」

「ないよ。信頼出来る情報筋ビントロングがあってね」

「料理を出してるって割には、この昼(かき入れ)時に静かだけど……扉に張ってる紙にも『自作ゲーム公開中』としか書いてないし」

「生徒会長なのに全ての出し物を把握してないのかい?」

「まぁ……言い訳させて貰うなら、最近は『バタバタ』してたからね……」

「ま、入れば分かるよ(ガラガラ)ウィーッス」


扉を引くと、部員らしき二人の生徒がこちらを振り返る。

男女の部員だ。

怠そうに机に突っ伏していた女生徒の方は僕らを見るなり「おやっ!」とキラリ、瞳を輝かせて、


「見たまえ助手君! 噂をすれば件の二人組がやって来たぞ!」

「ええ……本当に来た……」

「見なよわらびちゃん、歓迎されてるよ」

「これは歓迎なのかな……まだ招かれざる客扱いが良かったよ」

「ようこそゲー研へ! ささっ、お二人ともこちらに座ってくれっ。ほら助手君っ、お客様の席に座ってはダメだよっ」

「部長もっすよ……」


二人が座っていたパイプ椅子に座ると、少しヌルりと生温い。

軽く室内を見回す。

僕らの目の前の丸テーブル、その上にはPCが一台、部屋の隅には小さな水場シンクと卓上コンロ、ポットとミニ冷蔵庫。

まるで一人暮らしのワンルームだな。

……ん? あの【紙箱】は……。


「これは【ショコ◯】?」

「むっ! 君はこの名作を知っているのかい!?」

「有名だからね。黒(髪のメインヒロイン)、いいよね……」

「ああ。いいよね……」

「となると……やはり【パルフ◯】もあるか。それに【こんにゃく】も」

「うんうんっ。それらは『戯◯◯子三部作』と言われる名作だからね。たまに触りたくなるんだよっ」

「同じライターの【◯ワルバ2】も当然あるか……僕はサブヒロイン三人も嫌いじゃないぜ」

「上司、いいよね……」

「ええ……こんな変人な部長と一瞬で打ち解けるなんて……噂の『中庭の妖精』、やはり恐ろしいっす……」

「あー、ウカノ君。一体何の話をしているんです? 女の子がジャケットの……ゲームの箱? で、いいんですよね」

「うん、『美少女ゲーム』。ギャルゲーだよ」

「はぁ、ギャルゲーですか(パッケージクルッ)……ッ!? こ、これ! は、裸ですよ!」

「お約束みてーなウブな反応しやがって。そりゃあ恋人同士なんだからスるでしょ。ねぇ部長?」

「全くだよっ! ハッハッハッ」

「この未成年どもが……堂々とし過ぎでしょう」

「それより部長、ここでは美味しい料理も出してると、とある情報筋に教えて貰ったんだが?」

「ほう、流石は同志、耳が早い。知っているのは一部だけの筈なのだがね。(スッ)これがメニュー表だよ」

「わぁい、裏メニューみたーい」

「何で隠してるんですか……」


ふむふむ……オムライスやコロッケ、ホットサンドやオニギリ卵焼き唐揚げセット、今やブームの去ったタピオカドリンク系などなどか。

わらびちゃんに身体を寄せてメニューを見えるようにして、


「君はなンにする?」

「……出て来るのは普通のやつですよね? なら、ホットサンド、で」

「じゃあ僕はオムライスとコロッケで」

「なら私はオニギリセットかな」

「何さり気なく部長も食べようとしてるんすか……」

「ほら助手君っ、作った作った!」

「はぁ……二〇分くらいかかりますからね?」


ため息を吐きつつ、助手君と呼ばれる男子生徒はコンロの方へ向かう。

部長と呼ばれた女生徒は、どこからかもう一つのパイプ椅子を引き摺って来て僕の側に座り、スッと脚を組んだ。

改めて見れば、良いスタイルをしている部長だ。

(贔屓目に見て僕の女達ほどでは無いが)容貌は整い、背丈もあり、出るとこは出ていて、脚も長い。

秀才そうなそのオーラは、ゲーム研究部という肩書きとは無縁に思えてしまう。

ギューッ 僕の(別の女を)ねっとり吟味するような視線に何かを感じ取った隣の彼女に脇腹を抓られた。

可愛い奴め。


「可愛い奴め」

「うるさいですね……」

「どうあがいても君が連れて来た女の子にプロポーションでは敵わないよ」

「まーね。部長もなかなか良いセンいってンだけどね」

「な、何の話をしてるんですかっ、もうっ」

「ふふ、では改めて自己紹介。私は普段ここ、ゲー研で部長をしている者だ。そしてあっちの彼は趣味で凡ゆる技術を習得している有能な助手君。料理の出来も期待して貰っていいよ」

「ふぅん。そんな細々と活動してそうなゲー研も、真面目に学園祭に参加、か」

「うむ。『美少女ゲーム喫茶』だよ」

「割と直球なネーミングだ……ねぇ? なんで生徒会は承認したんだろうねぇ?」

「さ、さぁ……私はカヌレではありませんし、大体の権限は実行委員でしょうから」

「あのモブガールズか。確かにOK出しそ」

「さて。料理が出来るまでの間、私達が作った恋愛ゲームでもやらないかい?」

「やるー」

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