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88 会長(?)とニンニクマシマシ


子ウサギちゃんを助けた後にオカ研に行ったらなんか男子生徒が発狂し出して『怖っ』てなったので退散する僕達。


「いやー、予想してた展開だったけど、結果的にオカ研からしたら盛り上がったからいいんじゃない?」

「よくないだろ……ワタワタしてたでしょ」

「あの男子生徒、もしかして件のバスケ部の?」

「ああ……つまり、『そういう事』だな」

「そっかぁ。じゃ、次は科学部の『お化け屋敷』に行こっかぁ」

「飽きるの早過ぎでしょ……てかホラー成分はもう十分だよ」


「さ、先ほどの、説明をして貰えますか?」


「おっ、(カヌレの姿の)わらびちゃん、お疲れー」

「と、というか、なんですかその袴姿は……? 巡回中、『袴姿の妖精がうろついてる』だのと耳に入って来たので嫌な予感はしてましたが……」

「それより、さっき買ったバナナシェイク飲む?」

「……(チュー)」

「(間接キスだけど迷わず)飲むのか。チラチラ(カヌレの反応を伺う)」

「……早く状況説明すれば?」

「僕の中ではもう終わったイベントなのに。面倒いなぁ」


カヌレは少し不機嫌に唇を尖らせてて自分で説明する気もなさそうなので、仕方なく僕がかくかくしかじかと先ほどの出来事をわらびちゃんに。


「……は、はぁ。つまり、あのバスケ部だとかいう彼は、『呪い返し』を食らったわけですね」

「タイミング的に、ね。インガオホーってやつさ」

「『人を呪わば穴二つ』……呪術の基本だろうに、彼は反撃を予想出来て無かったんだろう。先ほども、数多くの悪霊が彼の周りを囲ってたね」

「家が神社なんでしょ? なら解呪は任せて平気そーだね」

「ど、どうでしょう。呪いの知識をかじった程度の方々に、あのレベルの呪いを解けるのかどうか」

「ま、しばらく反省させりゃいいんだよ。自分のやった行いの重さを、さ」

「……君も色んな所に恨み買ってそうだけど、呪われても全て自動オートで弾くほどの力を普段から纏ってるのがね……君が反省する機会は無さそうだ」

「殆どが逆恨みじゃあなくって?」

「……い、痛い目を見た事が無いとこんな人間に育つのですね……」

「失敬な。僕だって『実家の方』じゃ何度も『敗北を経験』してるぜ? 痛い目だとか挫折だとかは感じた事ないけど」


ザワザワ チラチラ


「おっと? やっぱり廊下で固まってると目立つねぇ。移動しよっか」

「主に袴姿の子のせいだけどね」



それから、


『わ、私は行きますね』とカヌレの姿をしたわらびちゃんがその場を去った後、

「ちょっとトイレに」

とカヌレも去ろうとする。


「僕も連れション付き合おう」

「なんでだよ。女子みたいなノリでついて来ようとしないでよ。てか、つ、連れシ、とか言うな」

「どうせ僕が行っても騒がれないよ」

「そうだろうけどそういう問題じゃ無いよ根本的にっ。てか君のその姿は普通に目立つからっ」


プンプンと肩を揺らしながらカヌレは女子トイレへと消えていった。

仕方ない、男らしく静かに待ってやるか。

……何気なしに窓に目をやると、僕の姿がうつっていた。

んー、ウケは良いけどこの袴姿も飽きたな。

どっかでコスチェン出来んかな? 次は民族衣装系が良いな。

ドイツのディアンドルとか中国のチャイナとか。

しかしマイナー過ぎるかな、ディアンドルは。


「ナー(とことこ)」

「おっ、ビントロングちゃんはこの辺の警備か、お疲れー。んん、流石クマジャコウネコと呼ばれるだけはあるね、クマみたいな黒い体毛がモフモフだぁ」

「ヌー(ごろごろ)」

「お腹なんて見せちゃって、平和過ぎて暇そうだねぇ。少しはイザコザあってもいいよねー(お腹なでなで)あっ、そうだ。君、民族衣装コスとか出来る出し物に心当たりあるー?」

「ノー……ノッ(ぴっとパンフレットのとある場所を指差す)」

「ほう、成る程、『そんな場所』で。その部の出し物は……ふむ、料理も提供していると……ある意味盲点だったよ。ありがとね」


キャー ナニアレー カワイー パシャパシャ


「あん? おらぁ! 見せ物じゃねぇぞ! 写真撮ってんじゃねぇ!」「フー!」


キャー オコッター カワイー パシャパシャ


「……少し離れた隙に何をやってるんです?」

「お? ……、……ふむ」


髪を結び直しながら戻って来た彼女。


「待ってて、今ビントロングちゃんと一緒に野次馬のスマホ粉々にするから」

「馬鹿な事してないで行きますよ(グイッ)」

「あー(ズルズル)」


手を引っ張られ無理矢理ビントロングちゃんと離れ離れに。

離れて行く僕を黙って見つめる潤んだ瞳が切ない。

まぁまた会いに行けばいいから、それはそれとして。


「お昼前だし、お腹減ってない?」

「まぁ……何か摘んでもいいかもね」

「『働いた後』だ、ガッツリ系?」

「いいんじゃないかな。でもニンニク入りとかはダメよ?」

「ニンニクって言うほど匂うかな? 気になるならルイボスティーとかミントガムでも口の中にブチ込んどきゃいいのに」

「……家ならまだしも、学生が周りにこんなにいる状況で、昼からニンニク食べるほど女捨ててないから。学祭は夜まであるんだよ?」

「学園いちニンニク臭いカップルとして話題になろうぜ?」

「やだよそんな目立ち方」

「まぁ実はそこまでニンニク食べたい気分じゃないんだよね」

「今の会話完全に時間の無駄じゃないか……」

「無駄な会話なんて僕らに存在しないよ。ここはトロトロオムライスと洒落込もうぜ」

「そんなメニュー出してるとこあった? 料理研……簡単なモノなら一年のメイド喫茶、とかかな……?」


そんなこんなでやって来た場所は……『PCゲーム研究部』。


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