【母の日特別編】
「と、言うわけで我々は〇オンモールにやって来たのだった」
「……うん? 今日は普通の導入だね。買い物?」
「さてアンドナさん、本日は何の日でしょう?」
「質問を無視……まぁいいけど。んー、周りのこの春っぽい装いや空気……何となく『桃の節句』とか『子供の日』は過ぎた気がするから……今いる場所や周りに貼られてるカーネーションのポスター等も考慮して、母の日?」
「むぅ! 残念! アイスの日とかクレープの日ですぅ!」
「何でムッとしたの? 当てられたからでしょ?」
「好き……」
「ッ!? な、なにっ、急にっ」
「告白の日でもあります」
「そ、そうなんだ……じゃ、じゃ私も、何か言わなきゃだね……?」
「はい、正解は母の日でしたー。てなわけで、日頃感謝してるおかあ様にプレゼントを送ろうと思います」
「コイツ……まぁ、そういうのは大事だと思うよ。しかし君が母親に感謝の気持ちを送るだなんて、成長したね」
「(ヒロイン姉妹の母こと)シフォンさん、何あげれば喜ぶかなー」
「……実母、プランさんのは?」
「じつ、ぼ? ぷら、ん? どこかで聞いた単語……う、頭がっ」
「どんだけ嫌なの……」
「頭痛が痛い話は置いといて、君はどうするの? 母親は魔界の女王でしょ?」
「色々設定盛られまくってる……別に、そこは適当にやっとくよ。今日は君の用事でしょ? 兎に角、よその母親より実母の先に選びなさい」
「二週目のRPGくらいやる気でねぇな……追加シナリオでも別エンドでもあればねぇ」
「ほら、そこに丁度母の日コーナーがあるよ」
「そだねー。おっ、このブルブル震える棒状のマッサージ機とかどうかな?」
「なんでこんなのあるの……い、いや、普通にマッサージ目的だよね?」
「『母を女にしてやろう』ってキャッチコピーはどういう意味だろう?」
「ホントに書いてある……えーっと、ホラッ、他に服とか化粧品売ってるし、『いつも頑張ってるお母さんに一人の女性に戻って貰って気分転換して貰おう』って意味だよっ」
「成る程ね。それより他には性グッズないかな? すぐヤる気になる媚薬とか」
「性グッズって言わないでっ」
「いや、別に良いっしょや。気を遣ってその日は子供が友人の家に泊まりに行くとかして夫婦水入らずにしてやる……それもプレゼントでしょ」
「生々しいプレゼントやめてよ……普通両親のそういうの想像したくなくない?」
「実の所、なんとなく歳の離れた妹が急に欲しくなってね。子供の日に(脳内で)幼女を眺めてたからだと」
「人によっては事案だよそれ……妹ならもういるでしょ」
「セレスはただの『鏡』みたいなもんだよ。既に高校生のガキ二人いるママンだけど、まだイケるっしょ」
「母の日は君の欲しいのが手に入る日じゃないんだよ……?」
「君の言いたい事は分かるよ。確かに、君とベイビーをこさえた方が早い、てのはね。でも実子と妹じゃベクトルがなぁ?」
「この子一人で会話進めてる……」
「あー、でも『僕の父さん』は多忙だから都合良く帰って来ないよねー。時間をプレゼント作戦は無理かー」
「ウカ」
「おや、噂をすればセレスじゃないか、こんなとこで奇遇だね。君もママンへのプレゼントを選びに?」
「ここに来ればウカが居るって母さんが」
「僕のスマホに勝手に子供監視アプリとか入れられてないよね……? で、なんか用?」
「さっき父さんが家に帰って来た。今日はそっちに泊まらせろ」
「人に頼む態度じゃねぇなぁ。まぁいいけど。って、パパンが? ヨシ! 妹ゲット!」
「まだ諦めて無かったの……?」
「違う。欲しいのは姉」
「それは物理的に不可能じゃ……この兄妹、ホント考えてる事同じだね……」
「そーいえばセレス、その袋に沢山入ってる駄菓子は?」
「さっきゲーセンで貰った。お菓子クレーンの上手い金髪のJ D(女子大生)に」
「ま? 僕も会いたい!」
「もういない」
「ちぇー。あ、そうだ。母の日のプレゼントさ、小ちゃい頃に二人のお小遣いでお菓子買ってあげたら凄い喜んでたでしょ? またそれでよくない?」
「確かに」
「子供だから許されたんだと思うよ……まぁ何でも喜んでくれるだろうけど、せめてもっと残るモノにしなよ」
「んー、面倒いなぁ……じゃあ無難にハンカチとか?」
「パンチが足りない」
「だよねー」
「パンチいらなくない……?」
「因みに明日はメイドの日らしいぜ?」
「メイド服……ノリノリで着そう。面白味がない」
「メイド服をつまらない扱いしないでよ……本職に失礼過ぎる……」
「もーそこのミニチュア食品サンプルのリアルナポリタン髪飾り二つ渡そうぜ。僕らのプレゼントなら絶対使うよ。ナポリタンで束ねたツインテール姿はさぞや面白いだろうさ」
「私は焼き鳥サンプルがいい」
「二人はもっと母親を労おうよっ。もうっ、埒があかないから真面目に選ぶよっ。二人ともついて来てっ」
「「えーー」」




