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72 会長と生お着替え

話は少し戻って、


「朝風呂は僕が来るから身体を清めたのかな?」

「に、日課だからっ。それで、朝風呂がどうしたの?」

「丁度僕の部屋にお湯がトロトロになるローション風呂の素があってね。君と入りたくて」

「ま、まだ二人でお風呂に入った事もないのに気軽に言わないくれっ」

「そうだっけ? 毎日君と入ってるような気がするから混乱するよ」

「そ、存在しない記憶だから、それは」

「ねぇちゃんとふろにはいってねっちゅーしょーしたいんだよ」

「引っ掛け問題たいな欲求を吐かないでくれ……急な姉ちゃん呼びもゾワッとするから禁止ね」

「明日は朝風呂入る前に僕を呼べよ?」

「学園祭本番朝から疲れたくない……」

「疲れる事してぇのかよ」

「そ、掃除とかだよ。ヌルヌルだと後始末が大変そうだろ? 滑って危なそうだし」

「となると、掃除の心配のないラブホテルに二人で行く方が早いか……『やはり』この答えに収束するのだな……ラブホは全てを解決するっ」

「やはりってなにさ……そこに行きたいが為に朝風呂だのの話始めたの?」

「そんなつもりは無かったけど君がそこまで乗り気なら『君とも』行きたいね」

「ともってなにさっ。行かないからねっ」

「んだよ、ラブホって人気デートスポットらしいのに人気ないな……あ、でも女の子って素直じゃ無いからな」

「君ほど女心理解出来てない(する気もない)子はそういないよ……」

「そりゃあ僕の中にはスケベ心しかないからね」

「言い切っちゃったよ……少しは隠すよう努力……は無理か」

「ばっか、男の原動力はスケベ心だぞ。もしソレが現時点でパッとこの世から消えたら、一時間後には地べたに無数の男達が干からびたミミズのように転がってるであろう」

「なんで伝承風に……言わんとしてる事は分かるけど……」

「僕にスケベ心がなきゃカヌレにただ優しいだけの男になるぞ」

「素晴らしい事しかないじゃないか……」

「あ。でも子供が生まれて親になったら『親心』に目覚めてスケベ心落ち着くかもよ?」

「……一瞬『その方法もアリかな?』って検討しちゃったよ」

「まぁ僕は子供たくさん欲しい派だから、実際は親心もスケベ心も同時に増していくんですけどね」

「悪化しないでよ……」


その後……

「サボってゴロゴロしてようぜ」というお決まりの台詞を寝転がりながら提案するも、「ほら着替えてっ」とスルー&巧みに寝巻きを脱がされ……

『カヌレの部屋に置かれた(ストックされた)僕の体操着』を着せられ、立たされ、玄関まで連れられ……


「もー。僕の扱い手馴れ過ぎじゃない? 介護されてるみたいで色気が無いよっ」

「今更だろう。君がもっとシャキっとしてくれるんなら、お望みの(お色気)展開が待っているかもだよ」

「んー……別にシャキとしなくってもお色気展開には持ち込めるからなぁ」

「い、いつまでもされるがままだと甘く見るなよ……」

「ほぉん。僕はいつでもウェルカムだが?」

「き、君が待ち構えてる時に仕掛けるわけないだろっ。ほらっ、行った行った」

「やっぱりヘタレだ」


僕は扉に手を掛けて チュ ……「んぁ?」


ホッペに柔らかな感触。

小鳥についばまれたような、風が撫でたような、意識しなければ気付かぬであろう『戯れ』。

僕はホッペに手を添えながら、すぐ横の顔を赤くしたカヌレを見る。


「ふ、ふんっ、お返しだよっ」

「いつの?」

「自分で考えなさいっ」

「(まるでわらびちゃんみたいなツンデレって突っ込みたいのは抑えて)んふふ……しかし、最近は色々と慣れて来た頃合いではあったけど、これはこれで子供みたいにピュアな感じがしていいね」

「誰が子供みたいだって!? ゆ、勇気出したのに馬鹿にしてっ」

「してないよ。ところで、緊張して照準がぶれたのかな? 君が狙ってたのは(唇を指差して)ココだよね?」

「ちょ、調子に乗るなっ(スタスタ)」

「あらら……先行っちゃった。(ボソッ)でもそんな不器用な君も可愛いよ」


「聞こえてるからっ!」


地獄耳だなぁ。


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