63 ぶらり食べ歩き
生徒らに囲まれながら去って行く生徒会長。
「おー? ウカノ君、ひとりー?」「その様子じゃカヌレに振られたなー?」
「ああん? 誰だ僕に失礼な口を吐くのは? いや、このワンセット感あるモブボイスは……」
「認識酷くない!?」「否定は出来ないけどさ……」
振り返る先に居たのは案の定な二人組。
ソロで行動出来ないのかしらん。
「モブはモブでも安心して。漸く、二人が他のモブらと混同しなくなって来た所だから」
「顔認識出来なかったの!?」「ま、まぁ、登場回数だけは多いからね……」
「数少ない学校で会話する人達でもあるし」
「急に悲しい事言わないでよ……」「いや、当の本人は気にして無いんだろうけどもさ」
「二人は暇そうだね。みんなこうして働いてるってのに」
「君に言われるとは思わなかったよ!」「ほ、ほらウカちゃん、私達が巻いてるこの腕章を見てよっ」
「んー? 『学園祭実行委員会』ぃー?」
「そう!」「だから忙しいんだよっ」
「んな事言って屋台の味見とかクラスの出し物の先行体験とか権限を振り回してるんだろ?」
「「ギクッッ」」
「暇だし僕も付き合おうかな」
「ま、まぁいいけど……」「いいのかな……?」
その後は、ぐるりと校内を偵察する僕達。
屋台のカレーを試食したり、りんご飴をペロペロしたり、映画同好会の意識高い映像作品を視聴したり……
「ふぅ……やっぱり、映画にポップコーンは合わないね。途中でシケるし」
「ばかすか食べておいて不満を漏らすのか……」「でも『最後まで見る』のを条件にポップコーンを無料で配るのは映画同好会も考えたね。原価は安いし」
「アドバイスとしては他にチュロスやホットドッグとかのバリエーションが欲しいね」
「強欲過ぎる……」「ウプ……流石にお腹一杯……夕飯要らないかも」
「育ち盛りがだらしないなぁ。女の子はムチムチ太ってた方がモテるぜ?」
「あのナチュラルボーンドスケベボディなサキュバス姉妹と一緒にしないでよ……」「普通の女の子は食べた分だけ腹が出るんだよ……」
「ポッコリお腹も好きなのに。試しに少しポッチャリになってみな? 人生初のナンパを味わえるぜ?」
「は、初って決めつけるなやい!」「さ、された事くらいあるわい!」
「折角の学園祭だ。可愛いコスしたら場の浮ついた空気も味方して声掛けられると思うぜ?」
「コスとかフィールドのバフ効果なきゃナンパされない前提やめい!」「と、というか、私達はナンパを禁止する立場だから!」
「禁止? 風紀が乱れる的な意味で? 私怨で?」
「前者だよ! どんだけみじめなのウチら!」「同校生ならまだしも余所の人にナンパされるの怖がる女の子も居るからね……招待制も対策としてはイマイチだし……何か良い案ないかな?」
「しゃあねぇなぁ、カヌレの為にひと肌脱いでやるか。当日は僕の『友人ら』を校内の至る所に配置するよ」
「友人……?」「君、校内で女の子以外と話してるの見た事無いけど……?」
「任せてくれれば不埒な輩はすぐに友人らが『八つ裂き』にするか『噛み殺して』くれるよ」
「アニマルかい!」「せ、せめて番犬程度に威圧してくれるならいい、のかな……?」
ふと。
「あのっ……当日の屋台の相談をっ……」「舞台のセッティングをについて!」「個人的なお話が!」
おやおや?
急にワラワラと詰め寄ってくる別のモブーズ。
「おおっと。いっぺんに言われても困るよー」「たはは、忙しいなー」
チラチラ、僕を見て『ふふん』とドヤ(顔)る二人。
モテてるアピール。
それは分かったけど イラッ☆ としたし『場違い』だとも思ったので、僕はその場を去る事にした。
てかもう丁度放課後だったんで帰る。
『寄り道』しよっかな。




