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【ホワイトデー特別編】

「はー……ふぅ……それで、今日は何の日でしょうか、わらびちゃん」

「え? な、なんの話です?」

「何の日でしょうか」

「ふ、普通の日、では?」


「普通の日に君は『裸』で僕の隣にいるのか?」


「え!? あ! な、なんでっ」

「そりゃあ『サウナ』の中だからね」

「……た、タオルは、巻いて、ますね。いや、全く安心出来る要素ではありませんが……」

「数分前の記憶も無いのかい?」

「そ、そのようですね……暑っ……はぁ。どういう経緯で、私達はサウナに一緒に?」

「まず、今日は『ホワイトデー』だ」

「は、はい? ……まぁ、はい」


「で、なんやかんやあって今僕らは『ラブホ』にいる」


「何ですかなんやかんやってっ!」

「ここは電波も通じないクソ田舎。帰れなくなった所に突如現れたラブホ」

「つ、都合が良過ぎますね……」

「(今後ある)ラブホ回の幕間だよ」

「な、なるほど……」

「まさか僕への愛情すら忘れてしまったのかい? あれほどラブラブでここに入るのも乗り気だったのに」

「そ、それは……そちらの感情に関しては、とりあえず保留に……」

「オッケー。さ、それより本題。今日はホワイトデーだ。君にバレンタインのお返しをするよ」

「さ、サウナの中でですか?」

「やり忘れた三月七日の『サウナの日』も兼ねてるからね」

「ま、マイナー過ぎませんか……? というか、ラブホテルにサウナ……?」

「わりと多いよ。大抵ここみたいに二人がやっと入れるくらい狭いけど」

「……そ、そも、バレンタイン自体の記憶もないので、お返しをいただくのも……」

「まぁまぁ、貰えるもんは貰っとけ。さて、わらびちゃん。ホワイトデーのお返しの定番と言えば?」

「え? く、クッキーやホワイトチョコ、マシュマロ、ですかね」

「正解っ。用意しましたっ」

「あ、暑さで殆どがドロドロです……」

「チョコを指ですくって……(ネトリ)はい、あーん」

「えっ? た、食べるんです?」

「有り難くお返し頂けぇ!」

「(ズボッ)んぐ!? んん! (ちゅぽん)プヒァ! ……はぁ! はぁ!」

「美味しい?」

「……はぁはぁ……ぬ、ぬるいです」

「でしょうね。さ、次はマシュマロー」

「え、遠慮してはいけませんか……?」

「きさまっ、ホワイトデーを愚弄するかっ! 不◯家と飴業界が広めた日本独自(海外でも広まりつつある)の文化をっ」

「な、何の豆知識ですかっ……ふぅ(汗拭い)」

「んー、お互いほぼ裸なのに、随分と落ち着いてるね?」

「そ、それは……なぜでしょうね?」

「さーて(ギュッ)ぬるぬるー」

「きゅ、急に抱き着くなんてっ……! あ、汗かいてますんでっ」

「だから(汗でテカテカな肌を触れ合わせてヌルヌル感楽しむ為に)抱き着いてんだよ」


ぬるぬるー ぬるぬるー


「……ふぅ、満足。さて、喉乾かない?」

「と、唐突な……それは、まぁ(ピトッ)つめたっ」

「ここに名前の通りな【冷やし飴】のビンがあります」

「飴……それもホワイトデーのお返し、ですか?」

「どうぞ」

「ふ、普通に渡されるのも怖いのですが……クンクン」

「へんなもんは入れてないよー。第一入れるなら無味無臭のだ」

「……た、確かに、ウカノさんは小細工などしないでしょうね。(こくっこくっ)……はぁ。生姜の風味……飲みますか?」

「僕は君の口の端から溢れて胸の谷間スポットに溜まったヤツでいいよ」

「ふ、普通にこちらを飲んで下さいっ」

「か、間接キスになるよ!?」

「わ、わざとらしい動揺を……」

「(コクコク)んー、久し振りに飲んだなぁ(ダババ)」

「い、一杯溢してますよっ」

「うータオルタオル。あ、君の借りるね(ポフン)」

「む、胸のタオルに顔を……!」

「ふぅ……そろそろ出ようか。水シャワーでサウナ後の体を整えよう(クラリ)おっと」

「(ガシッ)っと……だ、大丈夫ですか?」

「テヘヘ、興奮し過ぎて立ち眩みしちゃった」

「で、出ましょうか(ハラリ)」

「わらびちゃん、タオル落ちて丸見えだよ?」

「……こ、コレぐらい普通に見せ合える仲なのでしょう? 今は」

「(ボソリ)今更ホントの事言えんよなぁ」

「な、何か??」

「いんやぁ?」

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