【雛祭り特別編】
「はい、来ましたねアンドナさん、この日が」
「……またバレンタイン時と同じパターン? 今日は何?」
「女の子の日、【桃の節句】です」
「雛祭りかぁ、春も近いねぇ。私の中では今は真夏だけど。はぁ……じゃ、ちらし寿司とか用意しなきゃだね」
「その前にアンドナさん、こちらをご覧下さい」
「うわ、雛壇もある……いつの間にこんな狭い部屋に……」
「僕んちから運んで貰いました。僕も女の子みたいだからとセレスと合わせて随分立派なものを素材から職人からと作って貰ったみたいよ。五月人形や鯉のぼりも立派だけど」
「愛されてるね」
「ママンも一緒にパーリィ盛り上がりたかったみたいだけど追い出しました」
「可哀想に…………ん? なんかこの雛壇、違和感ない?」
「気付きましたか。この『賑やかさ』に」
「……【クリスマスツリー】や【鏡餅】のミニチュア……【鬼】や【猫】の人形……随分カオスじゃない?」
「お内裏様とお雛様の頭には【サンタ帽】だぜ」
「怒られるよ! なんなのこのチャンポンはっ」
「考えたら僕ら、クリスマスも正月も節分も猫の日もしてないだろう? だからまとめてやろっかなって」
「私達そんな重要イベントしてないんだ……いや、節分と猫の日は重要度そこまでだけど」
「そんなわけで、はいコレ」
「……鬼の面? 付ければいいの? 豆投げ付けて来ないよね? (頭の横にはめる)」
「うん。じゃ、僕は猫耳付けるね(スポッ)」
「……可愛いけど、なんの集まりかわかんないねコレ」
「あっ! 三月一日って世間的には卒業式じゃん! どうしよう卒業式要素。色々卒業しちゃう? いや、それはもう『済んでる』か。なら3月9日でも歌う?」
「アレ実は結婚ソングだよ……別にいいでしょ卒業式要素は」
「オッケー。じゃ、話は戻って……今日はご飯も拘りましょう。こちらに色々とご用意しました」
「ちらし寿司、用意してたんだ。……ん? 他には【チキンピラフ】に【ローストビーフ】……【おもち】に【数の子】に【黒豆】ぇ? なにこれ?」
「そりゃこの海苔で巻くんだよ」
「変わり種恵方巻過ぎるでしょ……」
マキマキ マキマキ
「さっ、食べましょ。頂きまーす」
「シャンメリーとケーキもある……コレはクリスマスなのか雛祭りなのか」
「むしゃむしゃ、うんっ、美味しいねっ」
「ん……(もぐもぐ)……普通に食べられて面白味がない……」
「芸人じゃないんだから変なリアクション期待してないよ(パクッ)んっ、良い『刺激』っ」
「なにその緑の具。アボカド巻き? (パクッ)んん!? んーっ!」
「生わさび巻きだけど?」
「(お茶ゴクゴク)っはぁ! はぁ…………(キッ!)」
「涙目で睨まれても自業自得としか。でも生わさびだから美味しいでしょ?」
「味なんて分かんないよ……さり気なくトラップ置かないでよ」
食事も終わり。
「で、雛祭りってご飯食べて甘酒飲む以外なにするの?」
「さぁ……立派に成長した女の子を愛でればいいんじゃないかな」
「それは夜で良いとして」
「……」
「そいえば君、普通にここにいるけど(魔界にあるという)実家では祝って貰えないの?」
「なにを今更……流石にこの年になったら雛祭りはナイでしょ」
「まぁ女の子の為の、だしね。でも最近おばさんになっても〇〇女子って自称していいらしいよ」
「それは……まぁ、いいんじゃないかな、好きにすれば」
「なら僕らは『未来の』雛祭りについて今から話し合おう」
「未来の?」
「勿論、僕らの子供である女の子の為の、だよ」
「は? 私が産むのは男の子なんですけど」
「ああん? 何が楽しくてオスガキ育てなきゃなんだよ? 僕はロリっ子な君を愛でたいんだいっ」
「私だって何の汚れもないクリクリッとした小さな君を愛でたいのっ」
「ふんっ、君が何を望もうが関係ないねっ。世の中には便利な『産み分け法』ってのがあってだねっ。(ピー)中に(ピー)を短くすれば女の子が生まれる確率アップなんだぞっ」
「そんな迷信信じてっ。私は前に産婦人科医の先生の記事読んだからガチ情報だよっ。(ピー)を深く(ピー)して私を(ピー)させるんだよっ」
「言ってて恥ずかしくねぇのかこのサキュバス! ええいラチがあかん! こっち来い! 桃の節句じゃい!」
「最低な下ネタだけど受けて立つよ!」
本当の『雛祭り』が始まる……!




