表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

361/369

336 職員と湖上デート


圧倒的な存在感を放つ人、慧音さん。


直感だが、彼女の『異常性』は、この島の市場で買えるような『異常存在』を摂取したり身に付けたりして『発現』出来るものでは無い、気がする。

それだけで、彼女を量産出来るとは到底思えないから。



前にも言った気がするが、生物が『異常存在』になるパターンは二つ。


一つ目は、先天的に『異常性』を持って生まれる。

二つ目は、今回私が市場で見たような『異常存在』を用いたり、『異常存在』に侵された『環境』に長く住んで『身体が汚染』され、後天的に『異常性』を得る、など。

場合によっては、そうやって後天的に『異常存在』となった人間の産んだ子が、一つ目の『先天的異常性保有児』となったりするなど……


それらを踏まえて、私が思うのは。

慧音さんは、『生まれ持った側(先天的)』だろうという事。


それも、そんじょそこらの先天的なものじゃない。

恐らくは、ここの園長であるプランと同レベルの『生まれながらの格上の生物』。


まぁ、見てくれの能力『だけなら』、市場に売ってる『異常存在』を用いれば、慧音さんのような力を得られるかもしれない。


声、環境音、音楽……

音に関する『異常存在』は表の世界にも多く、音だけで、人や物は簡単に『壊せる』という事を私は知っている。


だが。

『組織』の『元職員』としての直感が告げている。


彼女の真の恐ろしさは、その『能力』とは別の所にある、と。



「買うもの買って、予定、無くなっちゃったねー。それとも、他にも予定あったり?」


上目遣いで訊ねて来る彼女に、タジタジになる私。

どうしてここまで、面白みのない私に絡んで来る?


「い、いや……」

「ん? なに? ジロジロこっち見ちゃって。僕がイケメン過ぎるから? (目元ピース)」

「え? ま、まぁ……そういう事で」


貴方は一体何者……?

そして。

なぜ私は、これほど彼女のことを知りたがっている?





キコキコキコ


「水が澄んでるから色んなお魚が見えるねー。釣り竿持ってくれば良かった」

「……変な大物が釣れて沈没されても困るし」

「ここのお魚はみんな美味しいよー」


キコキコキコ


そんな駆動音を鳴らしながら『湖上』を進む私達。


乗り物はアヒルさん……いや、【リヴァイアさんボート】だ。


フォルムはアヒルボートだが、首の部分は所謂ドラゴンのそれで、ボートの色は全体的に群青。


どうしてこうなったかと言うと……



兄探しという主目的や買い物という小目的も無くなり、ただフラフラ歩く私に、当然のように着いて来る慧音さん。

すると、いつの間にやら辿り着いていた大きな湖。

ここが『植物園』の中にある湖であれば、ぼんやり眺めている間に湖に引き摺り込んで来る生物も居ただろうが……幸い、ここは居住エリア……ある程度の安全は保証されている、だろう。

どうもこの湖も観光地の一つのようで、多くの人々がのんびり過ごしていた。

とは言え、一見普通の湖だが、場所が場所……警戒は解かない方がいいだろう。

ホテルを含め、この島で警戒を解いていい場所があるかは謎だが。

それから、

『あっ! ボートあるじゃんボート!』

という慧音さんの目ざとさもあって……


冒頭のボート漕ぎシーンに戻る。



キコキコキコ


「はー、おっせーおっせー。モーター付きボートでも借りれば良かった」

「こういうボートって、のんびり景色を楽しむもんじゃあ……?」


目的地を目指しているんなら分かるが……

まぁ、物珍しさで足漕ぎボートを選んだ結果、思った以上に体力を使うので途中から嫌になる、という気持ちならわからないでも無いが。


「魔法モーターボートってのがあってね。普通の電動ボートとは違って、速いし『水中にも潜れる』んだ」

「潜る……?」

「こう、潜水モードボタンを押すと、ボート全体がシャボン玉みたいな球体で包まれてね。海より深いこの湖を探索出来るってわけ」

「そ、それはちょっと気になるかも……」


キコキコ……キコ


慧音さんのペダルを漕ぐ足が止まる。

私もそれに合わせる。

飽きたか? まぁ飽きたとしても、戻る為に漕ぐ必要はあるんだが……


「うーん(伸び伸び)はぁ…………周りを見てみな山下ちゃん。バーベキュー、テント、釣り……みんなのんびり過ごしてるよね」

「え? あ、うん」

「ここはギガンテスレイクって言ってね。ずっと昔に、一つ目巨人ことギガンテスが尻餅をついた結果生まれたらしい。あれ、一つ目はサイクロプス? まぁいいや」

「し、尻餅だけでこの大きさの湖が……」


いったい、本体はどれほどの大きさなのか……。


「因みに、コレを作ったのは子供のギガンテスなんだってよ」

「こ、子供……子供でこれだけ大きいなら、大人は……? というか、それだけ大きいなら、観光名所のタワーみたくここからでもギガンテスの姿が確認出来るんじゃ……?」

「ああ、残念ながら見えないと思うよ。基本、この島じゃあ巨人族らは大きさをコントロールするのが義務になってるからね。確か、3メートル以内だったかな?」

「え……でも子供のギガンテスがどうこうって」

「うん、そう。存外、大きさのコントロールってのは難しいらしくってね。生まれた時から練習してその状態を日常にするみたいなんだけど、子供の時は泣いたり怒ったりゴネたりと、感情が昂るとコントロール出来なくなる事があるっぽくて。それで、デカくなってしまう時があるんだと」

「その時に生まれたのが、この湖……」

「そ」


居住エリアにいる化け物……『異常存在』は、力を完全にコントロール出来ている者だけが住める場所では無かったのか。


というか、力をコントロール出来る者は良いとして、その者が産んだ『子』は最初から居住エリアに住めるのか?


ううん……その辺のルールの境界が分からないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ