320 会長とリザードマン系女子の需要
「よぉし、植物園の入り口に到着だっ。子ドラちゃん(馬車ならぬ竜車)おつかー。まだまだ働かせるけどなっ」
「グアッ」
「植物園? 森にしか見えないけど?」
「まぁパンフ通りではあるけど……普通の植物園はもっとこう、花がたくさんあるイメージだなぁ」
「人(?)の手が入ってて整備されてるから植物園扱いでいいのっ」
「まぁ、自然公園って名称の方が近いかもね……」
さて……今日の植物園は静かなものだ。
前、ここに来た時(人魚島編)は騒がしかったけど。
ふむ……
僕らが来るより先に、誰かが『静かにさせた』か?
僕が前回ここに来て、『挨拶』で静かにさせた時みたいに?
まぁいいや。
そうそう、人魚ちゃん。
ふわりとさっき、自然に思い出した。
彼女に限らず、多くの知り合いが今ここに居るけど、今回みんなに会えるかしら?
「こんな早朝だってのに、森の中は暗い感じだね……」
「観光地という割には、中には照明なんてなさそうだし、遭難したら…………って、アレ? 『朝』?」
今更『気付いた』ような反応をするモブガールズ。
「やば! 考えたら今って朝じゃん!」
「た、確かに……今日の学校始まるまでに戻るって話じゃなかった? ま、まぁここには生徒会長様もいるから、遅刻しても言い訳は効くけど……」
「そんな忖度するか」
「まー別に、学校くらい一日二日一週間サボっても良いと思うけどね」
「サボるのは個人の自由だけど卒業が危ぶまれても何の忖度も出来ないぞ。中卒なんて言われたく無いだろ?」
「と、兎に角っ、今の時間は…………あ、あれ? スマホの時計……壊れた?」
「日付はバグってて……時計も『動いてない』?」
「まー『そういう事』だから安心してー(スマホポチポチ)」
「どういう事!?」
「ま、まさか……文字通り『時間が止まってる』……?」
「そーそー(トゥルルル プッ)あ、もしー? 僕僕ー。うん、さっき着いたー。うんうん。でね、僕らが帰る時、『島の外の時間は昨日の夜辺り』に調整してもらいたいんだけどー。うん、はい、よろしくー(ピッ)……で、なんだっけ?」
「重要な事実確認を適当に聞き流してる!」
「え、えっと……つまり……この島は時間が止まってるから、現実に戻っても『入島した時間のまま』って事……? カヌレは知ってたの?」
「まぁ……うん。因みに、島の時間が止まってる、って解釈は厳密には『少し違う』んだけど」
「よぉし、『管理者』に(島を出た時の時間を)調整して貰ったから、これで島で遊び終わった後に慌てて地元に帰る必要は無くなったなっ。行くぞおまいらっ」
「いくら王子様だからって、君は好き勝手が過ぎるぞ。入島した時間が早朝なら、海を渡って帰っても余裕で学校に間に合うだろ?」
「一度帰って寝たいやん? なー二人とも?」
「それはまぁ、ね?」
「確かに、終わった頃には全身筋肉痛になってそうだし……いや、その場合、寧ろ帰って寝たら、次の日起きられなくなるんじゃ?」
「ま、疲労が気になるんなら『疲労がポンっと無くなる薬』がここにはあるからオススメだよ」
「それは飲んでも大丈夫なやつ!?」
「副作用がやばそうだな!」
「グアッ!」
「お? うむ、そうだね子ドラちゃん、いつまでも立ち話してちゃあアレだ。じゃ、出発さいかーい」
ゴロゴロ ゴロゴロ (竜車の音)
森の中は……ふぅむ、やはり静か。
生き物たちが繰り広げる食うか食われるかの『野生』がここの目玉だってのに、気配も感じられないほど大人しくしてるだなんて……気配だけに気配りがなってないな、客に対する詐欺もいいところだ。
「全く、植物園に来たんじゃねぇんだぞ」
「ここ植物園じゃなかったっけ?」
「わわっ? 見てアレ! なんか虹色に光る花とか、ガラスの樹? とかある! 普通に楽しいよ?」
「僕はもっと血生臭いのを見せたいのっ」
「それは君が今見たいものだろ」
ゴロゴロ ゴロゴロ
「でもさー、時間が進まないなんて、それなんて『精神と◯の部屋』?」
「じゃあウチらここにいる限り不老不死ってこと? やばっ」
「そんな都合のいいものじゃないぞ」とカヌレ。
「いや、不老不死が都合の良いという意味では無く、時間はしっかりと『進んでいる』んだ。進まないのは『世界』だけ。動植物……つまり、『生物の時間』はしっかりと進んでいる」
「そういう意味じゃあ、確かに『◯神と時の部屋』だねぇ。だから、長く居すぎると『逆浦島』になっちまうぜ?」
「逆浦島って……」
「ええと……外の時代はそのままなのに自分だけ『老けちゃう』みたいな……?」
「それはやばいよ! ガキンチョの頃なら『早く大人になりたい』なんて思ってたけど、急にグラマラス美女になって学校に行ったら浮いちゃうよ!」
「出る頃にはムチムチのパツンパツンになって制服着られなくなってるよっ」
「お前ら何年いるつもりだ……」
「女性の身体の成長ってほぼ高校で打ち止めじゃねぇのー?」
「いや、30付近までは成長はあるらしいよ、男女問わずね」
「言うて緩やかに、でしょ? 身長も二、三センチ伸びる程度の。あ、そうだ。亀とかの爬虫類とか魚ってその性質上成長限界無いやん? 君ら、それらの遺伝子を注入する気はない?」
「やだよ! 肌が緑になったりしそうだし!」
「生臭くなりそうなのはちょっと……」
「ウロコのあるトカゲ娘とか一部には需要あるのに……ちょっとトカゲ尻尾生やさない? 自切した時に痛いのか? とか気になるんだ」
「だからヤダって!」
「話の趣旨が変わってる……」
「カヌレ……?」
「(悪魔尻尾でやらせようとする魂胆で)こっちを見るな」




