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306 職員と出港

↑↓


※ 豪華客船出港より半日前 ※



午前の八時。


学園に着くと、既に駐車場に複数台のバスが止まっていた。


このバスで港まで行き、船に乗って『目的地』を目指すという話だ。


「あら、来たんですのね」

「来るつもりは無かったんですがね」


視線の先には、わらびさんとアマンさん。

わらびさんの方は『来ない』という事を一昨日話していたような気がするが……まぁ何か考えがあるのだろう。

なんとなくだが、『現地』で動くのであれば、彼女らについて行けば身の安全は保障される気がする。

逆に『危険地帯』に行くかもという両極端な可能性もあるが、それならそれで、だ。

しかし、それは彼女らの行き先が私と合えば、の話。

どちらにしろ、あの二人に着いて行くという選択は『場合によりけり』という事になる。


「貴方と一緒につるむ気はありませんよ」

「ノリが悪いですわね」


二人が『別行動』する可能性を忘れていた……。

まぁ、私がやる事は何も変わらない。


「あん? ……はぁ!? なんでお前来てんだよ!」

「……あんたこそ」


その声の主の登場に、私は然程驚かなかった。


「今すぐ帰れ!」

「それはこっちのセリフだよユキノ」


ユキノ。

ヤンキー風不思議少女。


「アンタ、変なのに巻き込まれたくないから来ない、とか言ってたでしょ」


「ああ? 言ったは言ったがこっちにも事情ってもんがあんだよ。オメーはただの観光気分だろ?」


「ふん、私にも事情があるんだよ。今更説得が通じると思うなよ?」

「ちっ……人を当てにするなよ」

「はなからこっちはユキノ居ない前提で計画立ててるわい」


言いながらキャリーバッグをゴロゴロ転がしバスに向かう私。



『詳細は後に』と。

あのエルフことプランが、一昨日、去り際に言っていた内容は、その日の午後の内に学園からのメールという形で学園生に伝えられた。

内容は簡素なもので、『手ぶらでもOK!』と、それのみ。

恐らくは、着替えやらアメニティやらも全てあちらで用意して貰えるのだろう。

スマホなどの充電器なども……まぁ持って行く意味は無い。

どうせ『使えない』し。


ならば、この私のキャリーケースには何が? となるが……まぁ、『護身グッズ』など色々だ。

護身グッズでどうこう対処出来る『住人』であれば苦労しないが。



それから、私達学園生が乗り込んだバスはすぐに出発。


参加者の学園生の数は、ざっと百人前後。

バスガイドは特におらず、皆、『あれをしよう』『これをしよう』と自由に会話していた。


私も一人、回るルートを最終確認。

ユキノの方だが、通路を挟んだ反対側の席で、ボーッと窓の外の景色を眺めている。

彼女は今、この『旅行』を強硬する私に何を思うか。

ユキノが、私を『一般人』として接しているのであれば都合が良い。

純粋に私の身を心配をしてくれているのだろう。


だが……私を『同類』や『同業者』として見ていた場合は?


最悪、『従業員』としてのユキノが、私を敵として『排除』、という選択を取られるかもしれない。

排除という言葉は物騒だが、ようは『拘束』や『退場』などの処置をとられるという意味だ。


『観光地』側から見て、客のどういった行動が『迷惑行為』と捉えられるか。

例えば、スタッフルームへの不法侵入やら、中での窃盗行為などがそれにあたると思われるが……私がやるとするなら『前者』だろう。


それらを警戒してのユキノからの監視の目は、正直厄介だ。

今の所、ユキノから受けているのは『嫌疑』という段階だろう。

『同類』かもという嫌疑。

だが、嫌疑の段階で、確信までは与えていない筈。

私はまだ尻尾は見せていない、と思う。

だから……ユキノの目がある内は、ただの学園生として、観光客を演じれば……警戒は解かれる(だろう)。


「う、ううーん、ここ行くの楽しみだな〜」


なんて、パンフレット片手にわざとらしく声を漏らす私。

チラリとユキノがこちらを見た気配は感じるが、果たして、どれほどの効果があるのか。



その後、バスは港に到着。


ゾロゾロと降車する私達学園生。

その足で、そのままフェリー乗り場へ。



そうして、約十数分後、何事もなく全生徒が乗船完了。

貸切らしく席の振り分けは特に無いので、自由に席に座る生徒達。

私は、敢えてユキノの隣に座った。


プウウウウン……


フェリーが出発する。



「ねぇ、豪華客席で行くルートもあるんだってよ。知ってた?」


パンフレットを見ながら、彼女に話し掛ける私。

少しギクシャク感はあるが、このまま会話無しで過ごすのは逆に不自然だ。

警戒心を解く為に、普通に接する。


「ああ? ……まぁ、話には聞いてたが、見た事はねぇよ。どこぞの下品な金持ち向けだろ」


「ふぅん。あのプランって人、意外とお金にがめついんだね」


「いや、多分そういうアレじゃあないと思うが……『あんなの』の狙いなんて凡人にゃ理解出来ねぇよ」


「まぁ、それは何となく分かるけど……」


……よし、普通に会話出来たな。

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