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296 職員と双子のヒーロー

根っからのお嬢様でもない私が、この山百合学園に通うようになった理由は……

まぁ、成り行きだ。



私はさっき、『組織』にいた際の記憶は消され、女子高生の日常に放り込まれたと言ったが……

私は元々『職員』をしながらここの学生をしていたのだ。

別に、この学園の生徒の『記憶を改変』して私が『在籍していた』という記憶に入れ替えたわけではない。

それも技術的には可能だけど……。


因みに、この学園の運営母体は『組織』だ。


私は『組織』に、高校入学前にスカウトされ、この学園での『女子高生』という身分を得た。


お金も貰えて学費もタダ。

乗らない理由は無かった。


『組織』がこの学園で何をしようとしているのかは、私も知らない。

全てを知るのは『V6(最高幹部)』のみ。


何かの試験場にでもしようとしているのか、この学園やら土地自体が『異常存在』なのか……


今の所、この地が大きな動きを見せた、という記録は知らない。

解雇された今となってはもう関係ないんだろうが。



「ユキノはバイトしないの?」


お弁当を共にする友人に訊ねると、


「私は……『やってた』が辞めた。いや、今は『別の仕事』をやらされてる最中だな」

「やらされてるって、借金でもあるの? お嬢様なのに」

「『金払って終わる関係』ならどんだけ楽だったか……あと、私もお嬢様じゃねぇよ」

「私みたいな無個性女よりヤンキーお嬢様の方がリアル感あるよ」

「なんだよそのジャンルは」


モグモグ…………むぐっ。


そういえば、飲み物を買い忘れていた。

いくら自身が唾液分泌量の多い若者とはいえ、飲み物無しにこのスタミナ弁当はキツい。


「(そこの自販機で)茶ぁ買ってくるね」


「ああ。その間に私は……」

「うん?」

「いや、こっちの話だ」


いつも意味深な事を言う子だなぁ。



ガコンッ

ピピピピピ…… ピピッ


「またハズレかぁ」


この屋外テラスの当たりルーレット付き自販機、当たった試しが無いなぁ。

なんでお嬢様学校にこんな自販機があるのか? お嬢様がジュースの当たりに一喜一憂するか? と思わないでもないけど……遊び心的な?


カチャ

冷えた緑茶を受け取り口から取り出し、スタスタと席に戻ると、


「だから、お前は知ってたんだろ?」


ん?

ユキノ、電話をしてる?

身内に……では無いな、あの険しい顔は。


「あ? 『その件は知らない?』 ……ちっ、役に立たねぇな。あん? 『いつ行くの?』って? 自分で調べろっ、てか来んなよっ」


ピッ


「ったく…………ん? おう、戻ってたのか」

「うん」


私は席に座る。

パキリ

お茶のキャップ開け、ゴクゴク。


「ふぅ……だいぶ荒れてたね?」

「あ? おう、ちょっと『確認』してただけで……」


ユキノは恨めしそうにスマホに顔を向けていたが、ふと、私を見て。


「お前…………『アイツ』の事、覚えてるか?」


「主語がフワッとし過ぎだろ」


「ほら……いつだったか学園に来た変質者を、生徒会長と一緒に追っ払ったっていう『部外者』だよ。私はその場にいなかったから知らんが」


「ああ、【箱庭】様?」



箱庭様。


さっき(朝の会の時)も少し触れたが、少し前、学園に武装した連中が飛び込んで来た事件があった。


恐らく『組織』関係の……『組織』に敵対する団体の襲撃。

お嬢様方を人質に、『異常存在』など、何かを要求しようとしたのだろう。


あの時も丁度、朝会の最中で……

体育館に響くお嬢様方の悲鳴。

だが、その悲鳴はすぐにおさまる。


代わりに聞こえて来たのは、

『ギャー!!』

という、襲撃犯らの悲鳴。



『テロってガチにあるんだね! イメトレしてた甲斐があったぜ!』


『厄介ごと体質のアンタが呼び寄せたようなもん。こんな学園までアンタに付き合わなきゃ良かった』



『銀髪の二人の女子』が飛び出し、素手のまま、武装集団らをばったばったと薙ぎ倒していく。


それから一歩遅れて、生徒会長もそれに加わった。


武装集団の何人かの手には、『異常存在』である物品を持っていて。


恐らくはソレらは、『相手を洗脳』したり『動きを止める』効果のモノだったのだろう。


しかし、たまたまか、狙ってか、その銀髪の二人は最初にそいつらを薙ぎ倒し、物品を奪って無力化。


だからこそ、生徒会長も安全(?)に対処出来た部分もある。


騒動が落ち着いた後、周囲の興味は銀髪の二人に注がれた。


襲撃の恐怖より、ヒーローへの興味が優ったのだ。


目立つ髪色と、その顔の良さと、隠しきれない神秘性。

皆の反応からして、明らかに在校生では無い。

そのヒーロー達は、名も告げずすぐに去る、なんて事もなく、少しの間、学園に滞在し続けた。


二人がそっくりなのは双子だから、制服は知人に借りた、来た目的はカフェを利用したかった、などなど……


自身らの学校をサボってこの学園に来たらしいが、なんとも自由なヒーロー達だった。


それはそれとして、善悪関わらず素直に通してしまう学園のセキュリティの低さには嘆くしかない。



「(その)箱庭様がどうしたの?」


「【アレ】は、今日来たセポネのガキだ」

「……なるほど」


言われた言葉を反芻するも、特に驚きは感じない。

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