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278 会長とSA(サービスエリア)

魔界でのゴタゴタが終わり、今はエピローグ。

レンタカーを借り、カヌレの運転で『目的地』を目指す。



ブウウウゥゥゥゥン


「おー、走ってる走ってるー。普通に車だー」


「普通に車だね」

「同世代の子の運転でドライブとか、なんか新鮮だねぇ」

「私も、人を隣に乗せるのは初めてだよ」

「初めてが僕とか光栄だねぇ。しっかし、ワタワタもせず随分運転慣れてんねぇ。生徒会長だってのにワルだなー」

「元々、人前では品行方正でも、良い子してたつもりは無いからね」


ブゥゥゥンンンン


「にしても、(窓から見える)街並みはホントに日本だねぇ。別世界って気がしないなぁ」


「ああ。私達の種族(淫魔)が当時ツルギさんに拉致られて、そのまま日本に染まった結果だよ。この自動車だって、キチンとトヨ◯とかのメーカーに勤めて技術を吸収したから作れたわけだ」


「そこは魔法で技術なりモノなりをコピー&ペーストするとかしないんか?」

「地道な知識やノウハウも大事だよ。魔法が苦手な子でも受け継げるからね」

「そんなもんかねー。全部魔法の力で解決出来そうな気がするのにねー」

「魔力の源である世界樹……そんなドリーが、気紛れでこの世界から消えてしまえば、誰も何も出来なくなってしまうだろう?」

「そんな事ある?」

「君が今日気紛れで何をしたかもう忘れた?」


なにをしたっけな?


「そんなわけで、この車は今『魔力』で動いてるわけだけど、いざとなれば『電力』でも動くよう設計してある」


「おー、これ魔法自動車マジカルカーなんか。いっそ魔力を第三のエネルギーとして人間界に逆輸入しようぜっ」

「魔力の存在を世界に公表した所で混乱が広がるだけだよ。使える者が限られてるし、それによって新たな争いの種が生まれる」

「魔法使いが乱獲されるのを危惧してんのかい? 魔力持ちなら現代兵器にも負けないと思うけどなぁ」


「そりゃあ負けないさ。でも、多くの死傷者を出す事はデメリットでしかない。この世界は、強者のみでは回らない。君の大好きな野生の世界と同じさ」


「微生物もミミズも昆虫も、消えたら森が消えるレベルだもんねぇ」

「それを皆分かってるから、人間界の各地に居る強者はひっそり暮らしてるんだよ」

「魔法自体は便利なのになー。男女の身体能力差だってなくなるのに」


「皆が皆、正しく使ってくれるんならね。それでも、悲しいかな、魔法が浸透しようと『平等』は実現不可だよ。どの世界でもね。この魔界ですら種族云々なんて言ってるんだ」


「んー、じゃあつまり、人間界あっちじゃ魔法を使える人だけがこの便利さを享受していいと?」

「目立たない限りなら極論はね。実際、この魔法の車を人間界でこっそり使ってる人は『君の身の回りにも』居るし……」

「んふふー、なら仕方ないなー。どう使おっかなー」

「……まぁ、『その件』についてはあっちに戻ったら話そうね」


ブゥゥゥンンンン

カチ カチ カチ

ピッ(ETC)

ゥゥン


「ん? なんか高速っぽい道路に入った?」


「うん。入るよ」

SAサービスエリアある?」

「あるよ」

「なら寄ってー。比較的大きめなとこ」

「まぁ、いいけど、お腹空いた?」

「そんなとこー」


お? よく見たら、車にナビも搭載いてたんだな。


「ナビいじってテレビに切り替えていい?」


「高速入ったし別に良いよ」

「どんなテレビやってるかなー(ピッピ)」


サァ! コチラノ オタカラ 【ユウシャノケン】ノ カンテイカカクハ!?


(ピッ)


ワー オイシソウナ 【ヒノトリノタマゴプリン】 デスネー


(ピッ)


アスノテンキハ クモリ トキドキ ドクノアメ デシテ


「んー、気になる情報が多いねー。出て来るタレント? さんも人間じゃないし。(表示されてる)時間見ると、今はカフェタイムな時間帯かぁ。だからか、やってるTVものんびりしたローカル旅番組的なの多いねぇ」


「そこは日本と変わらないかなぁ」

「因みに、魔界と日本って時差とかあるの?」

「あー、ほぼ無いかなぁ」

「なら時間は気にしないでいいか。そういや、なんか目がチカチカするなと思ってたけど……こっち(北の魔界)は、空が時間相応に『明るい』ね?」

「確かにね。昔は、南と同じく暗かったらしいけど、母さんら淫魔連中が『色々やって』暗雲を晴らしたって話だよ」

「魔界らしからぬ明るさだなぁ」


お昼前に温泉街からこの魔界に召喚されて、色々あって終わったのがこの時間かぁ。

長かったようで短いイベントだったなぁ。


ピッピッ


ナビ画面に戻すと、丁度、『この先、五百メートル先、目的地【血の池SA】です』と音声が。


「ここに入るよー」


カチ カチ カチ


カヌレは車を左折させ、SAに侵入。

すぐに、広い駐車場が見えてくる。


「おー、高速バスとかも見えるねー。本当に人間界と変わらん」


「んー、施設に近いとこ、空いてるかなぁ」

「別に少し歩いてもいいぜ」

「そう? ならそこに駐車めるか」


ウウウゥゥゥゥン…… キィ

ガチャ バタンッ


「ふぅ……あー疲れたー(身体伸び伸び関節コキコキ)」


「車に乗ってまだ一時間も走ってないぞ? てか君はただ座ってただけ……」

「意外と運転手は疲れない法則、あると思います」

「あるかなぁ……せめて君に運転経験あるんなら少しは説得力あるけど」

「さぁて」


テクテク キョロキョロ テクテク


「ガソスタならぬ魔力スタンドに、ドッグランみたいな広いスペースに、屋台みたいな売店に、人間界より建物も入り口も数倍でかい(明らかに人外の利用を想定した)トイレの建物……どこから回ればいいのやら」


「トイレは候補から外していいんじゃないかな?」

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