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245 会長と若い果実

カヌレとの近場温泉地小旅行一日目は、何事も無く終わった。

んで、深夜になり、僕は一人、旅館の温泉へと向かった。

のんびり、湯に浸かろうとしていたわけだが……男湯で、何故か、ママンの部下で五月蝿いお姉さんことプロメさんと再会。

グツグツとジャグジー状態に温泉の湯で、手作り煮豚(ジップロック入り)を作っていたようで…………



ガブリッ、プロメさんは取り出した煮豚を丸かじりして、


「(ムシャムシャ)今更だけど! 若は一人旅!?」


「こんな近場で旅するかい。彼女とのお泊まりデートさ」

「ああ! シフォンさんとこの『北の姫』とか!」

「姫?」

「え! 知らなかった!? シフォンさんって『北の』魔界の王もしてるでしょ、今!!」

「聞いた事あったような、無いような? まー、実は(姉妹が)姫だろうが何だろうが、僕の態度は変わらないぜ?」

「若は誰にでも態度変えないからなぁ!!」

「よぉし、じゃあ風呂上がるか」

「はやくない!?」

「元々長湯派じゃないし」


ガバッ

不意に、プロメさんが僕に抱き着く。

ムニュンッ と、懐かしい肉感。


「最後に久し振りに抱かせて貰うよ!!」


「なんだい急にウザ絡みして来て」

「大っきくなったのを確認! 昔はこうして温泉で私ら『四精霊しせいれい』にチヤホヤされるの大好きだったでしょや! 若はおっぱい星人だから!!」

「ふっ、それも青かった時の話さ。今はこんな製造日不明な熟れた果実よりも『若くて新鮮な果実』を味わえてるからね」

「時の流れは残酷だ!!」

「もう満足したろ?」


ジャポン!

僕は出てぶるると体の飛沫を飛ばす。


「じゃーねープロメさん。多分『またどこかで』会うだろうけど」


「そーだねー! たまには『島』に帰って来なよ! いや! 昨日来てたよね! 顔出しなよ!!」


「や、『またどこかで』ってのは『いつかまた』とかそんな曖昧な意味じゃなく、近い内にプロメさんが『重要人物』として僕らの旅行に『介入』するだろうなって意味だよ。(この章で)意味もなくプロメさんが登場するわけもないしね」


「よく分からんけどまた近いうちに会うって事ね! りょ! でも知っての通り基本『島』に居るから『呼ばれない限り』会え無いよ!!」



僕は脱衣所に戻って身体を拭き、浴衣に着替え直す。


それから、若い果実カヌレの待つ部屋へと戻った。

カヌレの眠る布団に入り込むと、


「んー……? トイレ行ってたー? って、なんか、身体熱くない……?」


「お風呂入って来たからね」

「そういう体温じゃないような……」



そうして、次の日。

朝食とチェックアウトを済ませた僕達は、まだ温泉地をぶらついていた。


「おかしい……殺人事件の一つもおこりゃあしねぇ」


「ハハッ、流石に神様も天丼(同じ展開)はしないみたいだね」

「ぶー、一人で(サキュバス式栄養補給で)お肌プリプリにしやがって」

「どうやらここ数日、君は変な事に立て続けに巻き込まれてるから反動が来たみたいだね。私の時に『当たり』が来て良かったよ」

「僕とのスリリングなイベントをハズレ扱いすなっ」

「私はのんびりしたいんだから大外れだよ」


んふふー、と鼻歌まで漏らすゴキゲンなカヌレ。


「もしや、僕の精気と一緒にドタバタパワー(イベントを起こす力)まで奪ったかっ、返せっ(プニプニっ)」


「訳のわからん事をっ。ほ、ホッペを突くなっ」


現在、僕らはこの温泉地の観光名所の一つである『滝』に向かっていた。

このまま、何事も無く連休の最後の日が終わってしまうのか?


「変な事考えてないでね? このまま穏やかに過ごすのが私の望みなんだから」


「それフリ?」

「今まで一度でも私が『迷惑ごとが好き』って言った事あったかい? 問題事を望んでる君じゃないんだぞ」

「得てしてカップルは困難を乗り越えて絆を深めて行くもんなんだ」

「わざと困難を解決せず楽しんでる奴が何を言ってるんだ。困難やんて無いに越した事無いだろう? ……なんて言ってたらほんとに来そうだな。やめやめっ」


そんな話をしていたからだろうか。

ふと、僕は【それ】を見つける。


「 【アレ】はなんだろう?」


「……何を見つけたの? 待って、言及しないで。嫌な予感するからスルーしてくれないか?」

「いや、そんなビビるもんじゃ無いぜ。ただの【落とし物】だよ」


落ちていたのは封筒だ。

どこにでもある茶封筒。


「誰かが落としたのか、捨てたのか。どちらにしろ良くないねー、温泉街の景観を悪くするよ。どうする? 生徒会長」


「……まぁ、ゴミなら拾って所定の場所に捨てるべきだけど、一つ気にし出したらキリがないからね。それに、拾得物を勝手に捨てても色々面倒臭い事になりかねない。悪いがスルーするよ」

「そうだねー」

「やけにアッサリだな。『地球環境がー』とか、『自然に悪影響がー』とか言わないのかい?」

「環境の変化や地殻変動一つでワーキャー言う人間ごときが自然に与えられる影響なんて微々たるものさ。自然ってのはどんな環境にも順応する。ゴミだって元の素材は自然の一部だったんだ。何も影響は無いよ」

「また話を壮大にして……」

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