147 会長とマリー・カヌレントワネット
カヌレと動物園デート中な僕。
巨大モルモットことラクタとのじゃれあいという寄り道も終え、デート再開。
僕は移動手段として、車ぐらいデカいラクタによじ登り、トコトコ進ませる。
「カヌレも乗るー?」
「遠慮しとくよ……」
「モ◯カーみたいに中に車みたいな運転スペースがあったら良かったんだけど……あっ、変幻自在ならそれも可能なんじゃ? ラクタちゃん、今度一緒にモル◯ー見るから参考にしなっ」
「キュ?」
「流石にそれで公道は走らないでくれよ……?」
「ウマが走るのはセーフなんだぜ? でも確かに、中型モル免許持ってないからなぁ」
「その免許の存在は知らないけど、他のドライバーが二度見して事故りそうだからやめろって話」
トコトコトコ
「しっかし、これで君の今日の仕事は終わりかな? 後は思う存分デート出来るな?」
「いや、事後処理とか色々あるから……誰かさんのせいでその処理も増えたし……」
「しゃーねー、それも手伝ってやるか」
「処理してる間に絶対次々厄介事増やすでしょ……」
「それを繰り返せばずっと一緒に居られる……?」
「恐ろしい事言わないで……」
「あら。来ましたわね」
おや、アマンちゃんだ。
彼女の場違いなピンク髪がサラリと動物園の獣くさい風で揺れる。
腕を組む堂々とした姿は凛としていた。
今の撮影現場はここ(ペンギンエリア)か。
「待っていましたわよ」
「そうなん? てか、さっきより服が着崩れてるけど、濡れ場撮影でもした?」
「普通それ訊く……? だから許可下りるわけないって」
「ええ。こっそり済ませてしまいました」
「なに撮ってんの……絶対お蔵入りにしろよそれ」
「あ、こちらは紆余曲折あって仲良くなったラクタちゃんね。少し大きめだけど気にしないで」
「キュ!」
「こんにちはラクタさん。遠目で見ていましたわよ、先程の二人の遣り取りを」
「見られてたかー。まぁアレは面接だけどもねー。……おや? そいえば、君の相棒ちゃんは?」
「それが、さきほどから姿が見えなくなりまして。具体的には、貴方達がドタバタし始めた辺りからです。お陰で、相棒を使ったトリックのシーンは後回しになったのですわ」
「ふぅむ……もしや……?」
僕を乗せるラクタに視線をやると、言わんとしてる事を理解したか、「キュッ」と肯いた。
僕はラクタに指を向け、
「こんなんなっちゃった……」
「ほぅ。つまり、わたくしの相棒はラクタさんと一つになった、と?」
「元々ラクタの中の一匹だったから、同一モル物と言える」
「人類◯完計画みたいですわね」
「あっ、そうだ。ラクタちゃーん、一匹だけ取り出せるー? 彼女の相棒だった子」
「キュ? キュッ!」
ポンッ と。
自身の脇腹辺りから、一匹のモルモットを放出するラクタちゃん。
そのモルはすぐにテテテとアマンちゃんによじ登り、掌に収まる。
「まぁっ。この毛並みや微妙に他と違う三毛柄……この子は、確かにわたくしの相棒ですわ」
「プラナリアみたいだね。分かれてもそれぞれの個体になれるってとこが。プラナリアとの違いは『融合』も出来る点かな。分かれてた時の記憶の共有も、顔を合わせた時や融合時に出来るっぽいし」
「全であり個、なのですわね。ハ◯レンやナ◯トを思い出します」
「アマン、結構漫画読んでるんだ……」
「可能性の塊だよね。いずれは
『分裂する』→『分かれた子達がそれぞれ力をつける』→『分裂する』
を繰り返す事で、バイバインならぬモルモルンな感じの無限増殖も理論上可能なわけだ。世界の食糧問題も解決するよ」
「キュッ!?」
「流石にモルモット食は流行らないから……」
「なにィ?」
食糧危機を甘く見てるカヌレはやはりお嬢様だ。
いつでもケーキを食えると思ってやがる。
「庶民はパンが無ければケーキを食べろってか、エー? マリー・カヌレントワネットがよぉ(本人が言ったかどうか諸説あり)」
「語呂悪いな……いま何を考えてたか大体想像つくよ……」
「あっ、言い忘れていましたが、先程のラクタさんとの遣り取りは、バッチリ撮影済みですわよ。『映画のオリジナルシーンに使える』と監督も意気込んでました」
「んー」
これはいいの? とアマンちゃんに親指を向けると、小さくカヌレは頷いて、
「まぁ、関係者だし、映画ならいくらでもCGだのなんだの言えるし……けど、ミステリー作品的に、UMAの登場は世界観壊れない?」
「ゴスロリビッチ探偵には超能力も出るし、いんでね?」
「ええ。薬でビッチの相棒のモナオーが大きくなった、という事にしましょう」
「便利だなー薬設定。そのモナオーを虐めてるように見えた僕はどんなキャスティング(役)?」
「なんか強い一般通行人でいいのでは?」
「薬でデカくなったモナオーに襲い掛かる謎の一般人……意味が分からなくていいね。肖像権の使用を許す」
「普通の作品なら原作ファンが激昂しそうなクソ映画になりそう……」




