125 サキュバスとハーレムものの正解例
朝から知り合いの喫茶店でモーニングと洒落込む僕とアンドナ。
彼女と人目も憚らずイチャついてたわけだが……
「こらこらー、他の客はもうみんな帰ったぞー」
おっと、いつの間に閉店時間に。
客はポツンと僕らだけだ。
ドンッと僕らのテーブルにおぼんを置くモビー(モブガールB)ちゃん。
そこには、焼き魚(鯵の開き)や卵焼きの明太子とじ、おしんこに味噌汁や白米という和御膳。
「お、マスターから『友達に持っていけぇ!』っていうサービスかな?」
「だったら人数分持って来るよ。一人分とかどんな嫌がらせだい。コレは私の朝食っ。ほら、アンドナちゃん、席詰めて詰めて」
「う、うん(ズリズリ)」
「なんだなんだ? この席で賄い食うつもりかー? まだ客が寛いでるでしょうがっ」
「営業時間過ぎたらもう客じゃないんだよっ」
「成る程、僕らは不法侵入者扱いで立場が弱いというわけか。一本取られたね。弁護士を呼んでくれっ」
「君お抱えの弁護士とか怖すぎるから訴えないよ。気にせず会話続けて続けてー。いただきまーす」
「あれー? そいえば主人公君は? 賄いもバイト代も無しに追い出した?」
「(モグモグ)私はそれで良いと思うけどその扱いは親父が許さないからねー。あっちの席で食べてると思うよー」
見ると、ポツン、奥の方の席で食事をしてる主人公君を発見。
ボッチでカアイソウカアイソウ。
「で、なんの話だっけ。子供の名前の話?」
「それは一つ前の話題じゃないかな……名前の話はしてないけど」
「まぁ私が食事中だろうが話題に考慮してくれるわけないわな、分かってた(モグモグ)」
「じゃあ昨夜の反省会しようか。前にも言ったけど、海外のカップル間じゃあポピュラーな確認作業だ」
「ここじゃあやめて……」
「ホント容赦ねぇな? まぁ覚悟はしてた(パリポリ)」
「学園祭から帰った僕を君はまるで『自分の物』と主張するように激しく貪ってきたけど、あの時の心情を知りたくってね。作者の気持ちってやつだよ」
「国語の授業かな? (モニュモニュ)」
「話すわけないでしょっ。ほ、ほら、話戻してっ、アプリでデートがどうとかって話は?」
「ああ、やってたのはデートの話か」
僕はポンッと手を叩き、
「ふむ。アプリでデート先を決める、までは話したよね? しかし、本題はここからだ」
「そこまで深刻な顔してする話かな……?」
「ここだけ切り抜くと普通のカップルの会話なんだがなぁ(ムシャムシャ)」
「デートする相手もアプリでランダムに決めます」
「…………はぁ(カチャリ)」
「片手間にコーヒーを飲むな。真面目な話だよ?」
「わりとどうでもいい話だったねぇ(モグモグ)」
適当な反応をする女性陣。
「むかっ。僕が昨晩睡眠時間一時間ほど削って考えたのになんだそのリアクションはっ」
「寝付けなくて暇だったの?」
「学園祭明けのテンションで寝付けなかったんだろうね(味噌汁ズズズッ)」
「人の行動を分析するなやいっ。まぁ、聞けって。整理しとくけどさ……まず、僕には今、三人のヒロインがいるじゃん?」
「ああ、まぁ、うん」
「断言されるといっそ清々しいねぇ(漬物パリポリ)」
「けれど、僕は一人なわけだ。ハーレムモノは好きだけど、あの器用な主人公らみたく一度に相手は出来ない。てかよく、みんなで一緒にデートする回あるけど狂気の沙汰だぜアレは。漫画やアニメとして見てる側からすれば面白いけど」
「そういう常識はあるんだね……」
「……(焼き魚パクパク)」
「例えばヒロインが五人いる作品で遊園地に行く回があるとするじゃん?」
僕は手をパーにして出して、
「ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランド、ショボいゲーセン、お化け屋敷……まぁ遊園地によってスプラッシュマウ◯テンだのタワー・オブ・◯ラーだの中身は様々だけど、各ヒロインと一つずつ、若しくは全員で楽しむとするぢゃん?」
肯くアンドナ。
「で、終わった後にふと思うわけよ。『これ、二人きりで来てたらもっと満喫出来たろうなぁ』ってさ」
「…………それは、まぁ」
「友達同士で来たんならそれでもいいさ、好きにみんなでキャッキャと回ればいい。でも、これはデートだ。そこで食後のお茶啜ってるモビーちゃんにはこんな状況に心当たり、あるんじゃないかい?」
「(ズズッ)……急に流れ弾やめてくれない? 私がなんだってのさ」
「結構つるんで遊ぶんだろう? ゲー研の部長だとか義妹だとか、主人公君のヒロインズと……!」
「なんでウチらの事情詳しいの…………遊ぶけど、普通に楽しんでるよ? 君、複数人で遊ぶ楽しさを知らないな?」
「そういう意見も否定はしないさ。恋のライバルらと牽制し合いながらのデート……考えるだけでご飯が進むね。今の時間はパンしか食えないんで残念だよ」
「もう(営業時間外だから)パンも出さねぇよっ。て、てか私をヒロインだのって前提やめてっ」
モビーちゃんはぷりぷりと怒りつつ、空になった朝食のお盆を持って厨房の方へ戻って行く。
さりげなく、チラチラと主人公君の反応を伺いながら。
鈍感系主人公君は賄いに夢中で全く気付いてないけど。




