表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふもふ姿で逃亡中の戦姫様、ダンジョンでストレス発散しているところを配信されてバズってしまう  作者: 緋色の雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/36

エピソード 4ー3 手加減が出来る子と出来ない子

 翌日の放課後。

 紗雪と結愛は私とこゆきを連れてダンジョンへ向かった。今回の目的はこゆきの能力テストなので、向かったのはボア種が出るダンジョンの中層だ。


「えっと……それじゃ、こゆき、貴女の力、見せてくれる?」

「きゅい!」


 可愛らしく鳴いて、結愛の腕の中から地面に飛び降りた。そんなこゆきに向かって、分かっているわねと視線を向けると、彼女は分かっているわよとばかりに頷いた。

 そして現れるブラウンボア――は、狐火で消し炭になった。

 ……うん、知ってた。


「わんっ!(手加減しろって言ったでしょ!)」


 ツッコミを入れるけれど、こゆきは上手いこと手加減したでしょと言いたげな顔だ。たぶん、自分がどれだけ規格外のことをやっているか自覚がない。

 ……まあ、彼女は深淵のボスだから、これでも手加減してるつもりなんだろうけどねと、そんなことを考えながら、恐る恐る結愛と紗雪の反応を確認する。


「すごい、こゆきすごーい!」


 まだダンジョンのことをよく知らない結愛は無邪気にはしゃいでいる。でも、中層の魔物を消し炭にするのがどれくらいすごいのかをちゃんと知っている紗雪は目を見張っていた。


「これは、また。さすがユリアの呼び出した子というか、なんというか……」


 待って。

 私の関係者だから加減を知らない、みたいな言い方されるとショックなんだけど。

 え? 私、最近はそれなりに加減してるわよね……?


「――こゆき」


 紗雪が呼ぶと、こゆきはすぐに駆け寄ってきた。それから九尾を揺らしながら、「きゅい?」と鳴いて紗雪を見上げる。

 紗雪はしゃがんでこゆきの頭を撫でる。


「あのね、もっと手加減できる? こゆきが強いのは分かったけど、あまり強いと目立っちゃうの。だから、ギリギリ倒せた、くらいが理想なんだけど……」

「きゅい!」


 任せてと言いたげに頷いて、こゆきは再びまえに。

 そして現れたブラウンボアに狐火を放った。ここまではさっきと同じ。だけど、さきほどのように相手を消し炭にすることなく、ギリギリの感じで倒した。


「わー、こゆきは器用だね。ユリアは何回言ってもやり過ぎちゃうから、こゆきも手加減は難しいだろうなって思ってたからびっくりだよ」

「わふっ!?」


 え、待って。私って、紗雪からそういう目で見られてるの? そんな、嘘よ……とふらついて、その場にぽてりと転がった。


「……あれ? ユリア、どうかしたの?」

「くぅん……」


 紗雪に抱き上げられるけど、私はなんでもないわよと一鳴きした。


「ん~? まあ、いっか。こゆきの力も確認できたし、ひとまず上層にもどりましょ」



 ――という訳で、私達は上層に戻ってきた。

 そこで紗雪が配信用のカメラを取り出す。


「お姉ちゃん、配信するの?」

「せっかくダンジョンに来たし、可愛い妹がダンジョン配信者にデビューしたって紹介しようかなって思って。もちろん、嫌ならやめておくけど?」

「嫌じゃないよ。それに、お姉ちゃんの妹って、もうバレちゃってるし」

「それじゃ、妹として紹介するのでいいよね? ……あ、ちなみに、私はどういう感じで受け答えすればいいの? 結愛はあのメスガキちゃんスタイルで行くんだよね?」


 紗雪が何気なく問い掛けると、結愛は「~~~っ」と悶えた。


「もうもうもうっ、お姉ちゃんの前では普通に配信するよ!」

「……そうなの? そういう本性というか、裏側、見せちゃって大丈夫?」

「どうせ配信切り忘れでバレてるよ!」


 ……たしかに。

 というか、結愛はここまで計算してたのかな?

 とか思ってたら、紗雪に抱き上げられた。


「ユリア、ありがとうね」

「……わふ?」

「私に内緒でダンジョンに入った結愛の護衛をしてくれたでしょ? それに、こゆきを召喚もしてくれたことも感謝してるよ。だから、ありがと。そして、これからもよろしくね」

「わん!」


 私が答えると、紗雪はそのまま私を抱っこした。

 そうして空いている手で配信を開始する。


「真っ白な世界に彩りを! ダンジョン配信系実況者の紗雪だよ!」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ