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元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第050話 はっ! これが経済!


 メアリーが作ってくれた昼食を食べると、アンジェラが洗い物をする。


「アンジェラ、アーヴィンのところに行くが、どうする?」


 店番もいるが、もう水筒も売り切れちゃったからな。


「行く」

「アンジェラちゃん、絶対についていくよねー。犬系女子」

「そりゃ走り回っているあんたよ」


 確かにメアリーの方が犬っぽいな。


 俺とメアリーは裏口から出ると、ラシェルのお出かけの準備をする。


「ラシェル、お散歩だよー。嬉しい? そっか、そっかー……こら! スカートを引っ張らないの!」


 ラシェルは早く行きたいらしい。


 ラシェルに馬具を取り付けると、メアリーが跨った。


「銅像はこれかな?」


 ラシェルに乗ったメアリーがショートソードを掲げ、ポーズを取る。


「冒険者ではないな」


 戦うお姫様って感じ。

 まあ、それがプリンセス・メアリーなんだろうけど。


「何やってんの?」


 洗い物を終えたアンジェラも出てきた。


「この町の中央に飾られる銅像らしいぞ」

「なんでそんなに銅像になりたいのかしら?」


 さあ?

 自分大好きだからじゃないかね?


「アンジェラちゃんも乗るー? 視界が高いよ?」

「嫌。馬なんかに乗ったらすごいきわどいところまで見えちゃうじゃないの」


 アンジェラはスリットが入ったローブだしな。


「そんなエロい格好してるからじゃん」

「あんたもでしょ」


 メアリーはスカートが膝上なので短い。


「いやー、自分で言うのもなんだけどさー、私は健康的で済むけど、アンジェラちゃんはエロいよ」


 まあ……


「これはファッションよ。そういう目で見てくる男が悪いの」


 いやー……どうだろ?


「だってさ」


 俺に振るな。


「エリックはいいの」

「アンジェラちゃんはそういうところだと思うなー……」


 メアリーの言わんとしていることはわかる。


「どうでもいいでしょ。それよりも行きましょう」


 俺達は裏道を抜け、通りに出ると、町の中央に向かう。


「ラシェルー、もう少し待っててねー。一緒に風になってあげるから」


 メアリーがそう言って、首筋を撫でると、ラシェルが嬉しそうに首を縦に振った。


「アーヴィンさんは何の話だと思う?」


 アンジェラが聞いてくる。


「一昨日の話か、注文かな……」

「コンロか……いける?」


 水筒の方がなー……


「コンロの方が儲けは良いんだよな」

「5000ミルドと5万ミルドだからね。材料費を考えてもコンロの方が良いのは確か」


 それに軍は大口だ。


「エリックさー、新たに従業員を雇わないの?」


 メアリーが聞いてくる。


「忙しいのは確かだが、あの店の規模なら2人で問題ない」


 今回のようなことがあれば忙しくなるが、基本的には暇な仕事だ。

 アンジェラとだべっているだけで1日が終わることも少なくないし。


「そうよ。私がいれば十分」

「アンジェラちゃん、そういうところだってば……」


 俺達は町の中央までやってくると、そのまま南下し、牧場までやってきた。

 牧場では草を食べている馬や乗馬訓練をしている兵士の姿が見える。


「じゃあ、メアリー、俺達はアーヴィンと話してくるからお前はラシェルを頼むな」

「りょ。先に帰ってて良いからね。ラシェルが満足するまで付き合うし、晩御飯の買い出しをしてから帰るから」

「わかった」

「よーし、ラシェ――ルゥー! こらー!」


 ラシェルは簡単に柵を飛び越え、牧場内を走っていった。


「すごいわね……私と同じくらいの高さの柵よ……」


 それを助走なしで軽々と飛んだ。


「おてんばだからなー」


 他の軍馬と比べても一回りも大きいし、走る速度も速い。

 その分、よく食べるが、ウチの自慢の名馬だ。


「メアリーもよく乗るわね」

「仲が良いんだ。きっと波長が合うんだろう」


 俺達は屯所まで行き、中に入る。

 今日はサムと会わなかったので良かったなと思いながら受付に向かった。


「アーヴィン」


 声をかけると、奥にいたアーヴィンがこちらにやってくる。


「よう、エリック。アンジェラちゃんは今日も可愛いね」

「セクハラー」

「最近、厳しいね……」


 アーヴィンが苦笑いを浮かべた。


「あっちは?」


 アンジェラが窓から見える牧場を見る。

 楽しそうに走るラシェルとそれに跨っているメアリーが見える。


「あの子も大きくなったさ。というか、すごくない? よくもまあ、あんな大きな馬を乗りこなせるよ。ウチの兵士より上手いんじゃない?」

「10年の付き合いだからな。あと、メアリーは軽いからだろ」


 馬に乗る分には軽い方が良い。


「それでもすごい。兵士に……いや、あの子は無理か」


 無理無理。


「アーヴィン、それよりも話って?」

「ああ。そうだな。そこの応接室で話そう」


 アーヴィンが右の方にある扉を見た。


「わかった」


 俺達は扉の方に行き、中に入る。

 部屋は応接用の対面式のソファーとローテーブルがあるくらいで10畳くらいの質素な部屋だった。


「豪華な調度品とかないのか?」


 抽象的なよくわからない絵とか幸せになれそうだけどなれない壺とか。


「軍や役所はこんなもんだ。住民の税金で働いてるからな」


 そういえば、大佐の部屋も質素だったな。


「アンジェラ、俺達が一生懸命働いて稼いだ金からアーヴィンは給料をもらってるんだぞ」

「私達の苦労で給料をもらっているのにセクハラか……」


 ひっどいね。


「その税金でお前らの店に魔道具を発注してるだろ。いいから座れ」


 俺とアンジェラが並んで座ると、対面にアーヴィンが座った。


お読み頂き、ありがとうございます。

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