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元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第047話 間違えない!


「ただいまー」


 仕事をしていると、メアリーが帰ってきた。

 元気だし、すたすたと歩いているところを見ると、本当にカトリーナに回復してもらったっぽい。


「おかえり。肉は買ってきたか?」

「うん。鶏肉ー。冷蔵庫に入れてくるねー」


 メアリーはそう言って、住居スペースの方に行ったが、すぐに戻ってきて、魔石の加工を再開する。


「メアリー、さっきヴィオラが来たぞ」

「お? ホント? 何て?」

「明後日までは森に立入禁止だとさ。ただ、ギルド自体は明日から再開するってよ」


 さっき聞いた話を説明する。

 なお、ランクアップのことは言わない。

 明日、ギルドから聞いた方がメアリーも喜ぶだろうし。


「おー、それは良かった。カトリーナとシャーリーと話して、明日は川の方を見に行こうってなったんだよ」


 西にある川だ。


「見に行くだけか?」

「様子見だね。行ったこと自体は何度かあるけど、冒険者目線でどんな感じなのかを確認する。その後に帰って今後の方針決めかな? だから明日は昼に帰ってくるから店を手伝うよ。カトリーナとシャーリーもそれぞれ店と教会を手伝うんだってさ」


 良い子達だ。


「そうか。じゃあ、頼む。仕事が多くてな」

「今日、残業しようよー。それでアンジェラちゃん、泊まっていってよ。昨日は帰っちゃったし」


 昨日はさすがに親御さんに元気な姿を見せないといけないので帰った。


「そうしようかな。エリック、いい?」


 断る理由はない。


「もちろんだ。今日は俺がフライドチキンをご馳走してやろう」


 俺も筋肉痛が治ったし。


「へー……良いわね」

「揚げすぎて焦げないようにね」


 お前と一緒にするな。


「わかってるよ。それとメアリー、昨日の緊急依頼の報酬だそうだ」


 メアリーに封筒を渡した。


「あ、お金もらえるんだね」


 メアリーが封筒の中を覗く。


「そりゃそうでしょ。まあ、安いわよ」

「おー! それでも10万ミルドもある! 過去一の稼ぎ!」


 まあ、冒険者になってひと月くらいだしな。


「良かったな」

「うん! 牛肉を買ってくれば良かったかなー?」


 フライドチキンだって言ってるだろ。

 昔は『世界でこれが一番美味しい』って食べてただろうに。


「好きなもんを買え。水筒やコンロが売れたら小遣いもやるわ」

「王都行きのために貯金にしよ。最高級レストランでディナーするんだ」


 頑張れ。


 俺達は仕事をしていき、水筒やコンロを作っていった。

 そして、この日はちょっとだけ残業をすると、19時くらいには閉め、フライドチキンを作る。


「手際が良いわね」


 アンジェラがキッチンに来て、覗いてきた。


「料理ができないわけじゃないからな」


 下手でも10年もやっているんだ。

 メアリーと暮らして困ったことの一つが料理だった。

 しかし、幸い、メアリーは上流階級のくせに好き嫌いがなく、何でも美味しい、美味しいと言って食べてくれた。

 そんな中でも一番好きだったのがフライドチキンなのだ。

 調子に乗って、連続で作りすぎた時もあり、太るからやめてと言われたのでたまにしか作ってない。


「付け合わせの野菜とかを作るわね」

「すまんが、頼む」


 それは頭になかった。


「私はー?」


 寂しがり屋のかまってちゃんもキッチンに来る。


「皿とかを用意してくれ」

「ほいほーい」


 俺達は手分けをして、夕食を準備すると、テーブルにつき、いつもよりは遅い夕食を食べる。


「美味しいわね」


 アンジェラがフライドチキンを一口食べ、微笑んだ。


「どうも。メアリー、どうだ?」

「へ? 何?」


 満面の笑みのメアリーが顔を上げるが、すでにフライドチキンが半分しかなかった。


「いや、いい。食ってろ」

「うん。美味しいね。太ったらエリックのせい」


 あれだけ動いてたら大丈夫だろうよ。


「確かに太ったらエリックのせいね」


 野菜食え、ちょー良い女。


 俺達は夕食を食べると、順番に風呂に入る。

 そして、いつものようにカードゲームを始めた2人を穏やかな気持ちで眺めながらこの日を終えた。


 翌日、朝起きてメアリーを起こすと、アンジェラが作ってくれた朝食を食べる。


「メアリー、カトリーナとシャーリーに水筒を持ってけ」

「んー? 宣伝?」

「いや、単純に世話になっているのだから渡せ。これから暑くなるし、水分補給は大事だ」


 熱中症は危ない。


「わかったー。じゃあ、店にあるのを持ってくねー」

「そうしろ」


 俺達は朝食を食べると、洗い物をし、開店準備をする。


「アンジェラ、今日から水筒を売ろうと思う」


 ストックは50近くある。


「良いと思う。じゃあ、外の看板は外しとくね」


 水筒は来週入荷予定と書いた看板のことだ。


「ああ。ついでに【準備中】を【営業中】に替えてくれ」

「りょ」


 アンジェラが外に出ると、冒険者服に着替えたメアリーが出てきた。


「よっしゃー。伝説の見学に行ってくるね!」


 何でもかんでも伝説を付ければいいってもんじゃないぞ。


「いってらっしゃい。水筒を忘れるなよ」


 忘れそうだからカウンターに置いておいた。


「あんがとー。れっつごー」

「いってらっしゃい」


 戻ってきたアンジェラが扉を開け、メアリーを通す。


「元気ねー」


 昨日はひょこひょこだったのにな。


「良いことだ」


 店を開いたので昨日と同様に水筒とコンロを作っていく。

 すると、30分ぐらいで扉が開き、客がやってきた。


「邪魔するよ」


 近所に住む気難しいおばさんだ。


「あ、おばちゃん、チョリース」


 ちょっと手が離せないのでアンジェラが応対する。


「チョリース」


 気難しいおばさんがチョリースって言ったぞ。


「どったの? 何かの修理?」

「水筒を買いに来たんだよ」


 早速か。


「赤と青あるけど、どうする?」

「じゃあ、青でお願い」

「はーい。5000ミルドね」


 おばさんが金を払い、水筒を受け取る。

 すると、こちらを見てきた。


「エリック、さっさと結婚しな。こんなに良い子がいるのに何してんだい?」


 アンジェラは味方が多いな……


「ほっとけ」

「ハァ……ウチの旦那も煮え切らなかったけど、こいつはそれ以上だね。アンジェラ、乗り換えな」

「あははー。おばちゃん、ウケるー」

「余計なこと言ったね……エリック、間違えるんじゃないよ」


 おばさんはそう言って、店を出ていった。


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チョリーッスって言う、過去に煮え切らない旦那をおとした気難しいオバサン……昔が伺えるな
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