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元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第1章

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第042話 お父さん


 俺達は仕事を終えたので転移で店に帰ってきた。


「あー、疲れた」

「さすがにな……」

「10分で片付けるって言ったのはどこの誰かな?」


 俺達は店の床にへたり込む。


「まさか逃げるとは思わなかったんだから仕方がないだろう」


 半分くらい倒したらオーク達が四方に逃げ出したのだ。

 オークを倒さないと問題が解決しないので俺達は森の中を走り回って、倒していったのだ。

 おかげで1時間以上もかかったし、足腰がヤバい。


「まあ、なんとかなったじゃないか。神父様、ありがとうございます。神父様がいなかったらヤバかったですよ」


 それは確かにそうだ。


「よい。町のためだ。それとカトリーナだね」


 放任主義っぽい神父様も娘は心配か。

 いや、そりゃそうか。


「これでもう大丈夫だろうか?」

「ああ。しかし、軍の奴らは何をしてたんだ?」


 お前がその軍の奴だろ。


「何かあったんだろう。半分いないということだし、指揮系統が上手くいかなかったってところだね」


 こんな時に遠征演習なんか行くなよ……とは思わない。

 持ち運び用コンロが売れたから。


「神父様、帰りますか」

「そうだね。エリック、今日は助かった。特に帰りの転移」


 森から歩いて帰りたくなかったらしい。


「エリック? 私はフルフェイス・マスクマンだよ」


 間違うなっての。


「そうだったね……アホみたいだが、君の気持ちは少しわかった。暗躍するのも良いものだ」

「あ、わかります。人知れず町を救う正義のヒーローですね」


 2人もようやくわかってくれたか。


「君達の分の新しい衣装を用意しよ……」


 2人はすっと立ち上がると、そのまま店を出ていった。


「帰ったし……ハァ」


 腕輪のスイッチを押し、元の姿に戻ると、風呂場に行き、シャワーを浴びた。

 そして、リビングで2人の帰りを待つ。


 22時くらいになると、疲れた顔をした2人が帰ってきた。


「ただいま! 英雄が帰ったぞ!」


 いや、メアリーは元気だった。


「おかえり。アンジェラも」

「ええ……」


 アンジェラはテーブルにつき、ぐったりする。


「アーヴィンに聞いたが、魔物を倒しに森に行ったんだって?」


 ということにする。


「そだよー。いっぱいいたけど、倒した」

「軍は?」

「魔物を倒すために森に入ったんだけど、そのせいで上手く伝令が回らなかったんだって。それで深追いしすぎて遅れたって謝ってた」


 神父さんの言う通りか。


「そうか。お疲れさん。メアリー、風呂に入ってこい」

「そうするー。あ、アンジェラちゃん、先に入る?」

「いいえ、あなたが入りなさい」

「じゃあ、ぱぱっと入るねー」


 メアリーが風呂場に向かった。


「あいつ、元気だな」

「あの元気はどこから来るのかしら? あの子、まったく休んでなかったし、ずっと動いてたわよ」


 そりゃすごい。


「ケガもなさそうだし、良かったわ。もちろん、お前もな」

「そうね。そっちはどうだったの?」

「それについてはすまん。本当はもっと早く終わる予定だったんだが、長引いてしまった」


 こっちが早く終わればアンジェラ達もここまで苦労しなかった。

 オークさえいなくなれば魔物達の混乱も治まり、森に帰るからだ。


「何があったの?」

「数が想像以上に多かったことと半分くらい倒したら逃げ出したんだよ。それで俺とアーヴィンと神父さんで狩りだ」


 非常に大変だった。


「なるほどね。エリック達が強すぎたからか……でもまあ、こっちは何とかなかったわ。メアリーは本当にすごいわよ。強いし、何よりもあの元気でそこにいるだけで皆の士気が上がるもの。あれは天性のものね」


 貴族だし、人の上に立つ器なのかもしれない。

 でも、バカに育ててしまったな……


「そうか……まあ、何にせよ、無事に終わって良かった」


 立ち上がり、アンジェラのもとに行くと、肩に手を置く。

 すると、アンジェラがその手を取り、立ち上がった。


「守ってくれた?」

「本当はオークを倒したら帰るつもりだった。でも、ピンチそうだったから他の魔物も倒したんだ」


 冒険者に任せようと思っていたのだ。

 ただ、ちょっと皆の疲れが濃かったので手を出した。


「そう……明日、ケーキを作るわ」

「大変だけど、仕事の方を頑張ろうぜ」

「そうね」


 アンジェラがそっと身体を寄せてきた。


「――着替え、着替えー……うわー……」


 風呂場からメアリーが出てきて、嫌そうな顔でこちらを見てくる。


「違うぞ?」

「部屋でやれよ……」


 メアリーは冷たい目で自分の部屋に戻ると、着替えを持って、風呂場に戻った。


「刺激が強すぎたかしら?」

「いや、見たくないものを見たんだろう」


 親のそれって嫌だろうし。

 ましてや、相手が姉貴分ならなおさら。


「子供ね。まあいいわ。今日は泊まる予定だったけど、帰る。さすがに親も心配してるでしょうし、問題なかったって報告するわ」


 それが良いかもしれないな。


「送っていこう」

「大丈夫よ。町も今、ちょっと騒がしくなってて、外に出てる人も多いしね。じゃあ、明日」


 アンジェラはそう言って、裏口の方に向かう。


「ああ。疲れがきつかったら明日は休んでいいぞ」

「問題ないわよ。お風呂に入ってちゃんと寝れば大丈夫。おやすみ」


 アンジェラはそう言って、家に帰ってしまった。

 すると、風呂場の扉が開き、メアリーが顔を出す。


「あれ? 始まんない?」


 思春期かよ。


「早く風呂入って寝ろ」


 ったく……大人になったと思っていたが、まだ子供だな。

 ハァ……メアリーを安心して送り出せる日が来るんだろうか……


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
次回から中年レンジャー戦隊フルフェイスマンが爆誕ですね〜www
壁に耳あり、風呂場の扉にメアリー。
思春期よな。 言動ガキっぽいけど。
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