表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/58

第035話 やばーん


「フルフェイス・マスクマンねぇ……俺に聞く?」

「そういうのいいから。お前じゃなかったら誰なんだよって話だ」

「旅をする謎のダークヒーローだろ」

「そういう設定か? まずもってなんだが、アンジェラちゃんがそんな怪しい奴と一緒に行動するわけないだろ」


 しないだろうな……

 まあ、アーヴィンならバレてもいいや。


「その任意同行は断れんか?」

「もちろん、断ることはできる。冒険者登録をしている冒険者だし、身分は冒険者ギルドが保証してくれる」

「じゃあ、断る」

「こっちは軍だぞ。お前も軍属だったんだからわかるだろ」


 わかるな。

 軍は強硬策に出ようと思えばいつでもできるのだ。

 軍は民を守ることが仕事だから理由はいくらでも作れる。


「可愛い娘を見守ってるだけだぞ」

「他にも方法はあるだろ、バカ」


 思いついたのがそれだったんだよ。


「行けばいいのか?」

「ああ。話を聞いて、問題ないとわかればすぐに釈放だ。別に悪いことをしているわけでもないし、ちょっと話して終わりだよ」


 まあ、変な格好の人間ってだけだからな。


「ったく、新聞記者め」

「自業自得だろ。ぱぱっと行って、ぱぱっと帰れ。お前も仕事があるだろ」


 いや、本当に。


「アンジェラ、店番を頼むわ」

「りょーかい。次の仕事があるんだから2、3日で帰ってきてね」

「1時間で帰るっての」


 そんなに勾留されてたまるか。


「ほら、エリック、着替えてこい。さっさと行くぞ」


 アーヴィンが急かしてきた。


「すぐだよ。見ておけ」


 そう言って、腕輪のスイッチを押す。

 すると、すぐに視界が狭まった。

 あーっという間に正義のダークヒーローの登場だ。


「は?」

「ふっふっふ。私を呼んだのは君かな? アーヴィン君?」

「めっちゃノリノリだし……アンジェラちゃん、これがエリック? 声も違うようだけど?」


 アーヴィンがアンジェラに確認する。


「違うんじゃない? 私、知らね」


 アンジェラが興味なさそうに仕事を再開した。


「嫁さんが呆れてるじゃねーか……エリック、それ、どうなってんだ?」

「エリック? 私はフルフェイス・マスクマンだ」


 エリックって言うな。


「はいはい。フルフェイスさん、なんで一瞬にして変わったんだ? 声も変わってるし」

「そういう魔道具だ」

「あ、そう。ホント、変なものばかり作るな、お前」


 変なものって言うな。

 変身セットで売り出せば子供に大人気間違いなしだぞ。


「魔道具作りが好きなんだよ」

「そりゃ天職だな。行くぞ」

「ああ」


 俺とアーヴィンは店を出ると、軍の施設に向かうために歩いていく。

 軍は南にあるため、この前行った時と同様に町の中央の人が多いところを歩くが、やはり周りの目が気になる。


「お前、めっちゃヒソヒソされてんな」

「アーヴィン君かもしれないだろ」

「なんで俺がヒソヒソされるんだよ。真っ当に生きてるわ」


 セクハラ野郎のくせに。


「まあ、気にするな。私は気にしない」

「なんで?」

「顔が見えないし、私はフルフェイス・マスクマンだからだ」

「その兜を取れよ。明日から有名人だ」


 絶対に嫌だわ。


 俺達は周りから奇異の目で見られながらも歩いていき、軍の施設にやってくると、屯所に入る。


「ちょっと待ってろ」


 アーヴィンがそう言って、受付の中に入り、奥の部屋に入っていった。

 なお、受付内には事務をしている男女半々くらいの兵士達がいるが、全員がこちらを見ている。


「……何者だ?」


 ふと、声がしたので振り向くと若い男が怪訝な表情でこちらを見ていた。

 こいつはアンジェラと同い歳のサムだ。


「私かな?」

「あ、ああ……怪しいにもほどがあるぞ」


 失礼な。


「私はフルフェイス・マスクマンというただの冒険者だ」

「フルフェイス……町を不安にさせている噂の男か。確かに怪しいな」


 職務中にウチのアンジェラをナンパした怪しい兵士に言われたくないわ。


「ふっ、兵士たる者、相手を見た目で判断してはいかんぞ」

「……逮捕するぞ」


 イラついたかな?

 若い。

 実に若い。

 あの冒険者の悪ガキ共よりも若い。


「やめておけ。君には無理だ」


 そう言うと、サムが腰の剣に手を伸ばした。


「それを抜くのは構わんが、時と場所を選ぶことをおすすめしよう」


 これはちょっとした挑発だ。

 普通は流せる。

 しかし、こいつは……


「逮捕する」


 サムはそう言って、剣を強く握った


「よしなさい」

「なっ!」


 サムが驚く。

 それもそのはずであり、俺が一瞬にして距離を潰し、剣が抜けないように柄を抑えたからだ。


「くっ……きさま――」

「何をしておるかっ!?」


 怒鳴り声が響いた。

 すると、いつもへらへらしているアーヴィンが怒った顔でこちらに向かってくる。


「教官! 不審な男が不審の動きをしたので捕らえようとしただけです!」


 サムがなんか言ってる。


「そうなのか?」


 アーヴィンが確認してくる。


「私は何もしておらんよ。そちらの新兵が話しかけてきて、急に剣を握ったから抑えただけだ」

「何を――ッ!」


 サムが反論しようとしたが、アーヴィンが手を向けて制した。

 そして、事務をしていた兵士達を見る。

 すると、1人の若い女性兵士が頷いた。


「ハァ……サム、訓練に戻れ」


 アーヴィンがため息をつき、出るように促す。


「教官!」

「サム、二度は言わない。このフルフェイス・マスクマンは大佐に呼ばれており、急いでいるのだ。大佐を待たせるわけにはいかない」

「た、大佐……! くっ、失礼します」


 サムは姿勢を正して敬礼すると、屯所から出ていった。


「ふむ、行こうか」

「ああ」


 俺達は受付内入り、奥の部屋に向かう。


「……お前、あいつを挑発しただろ」


 アーヴィンが歩きながら小声で聞いてきた。


「……ちょっとな」

「……だろうな。じゃなきゃ、真面目なサムがあんなことするもんか。なんでそういうことをするかねー? お前、本当は目立ちたいの?」


 目立ちたくないって答えてもこの格好では説得力がない。


「……あいつはアンジェラと同い年で知り合いらしいんだが、この前、俺の前で食事に誘ってたんだよ」

「……じゃあ、仕方がないな。俺なら殴って、殺されないだけマシと思えって言うわ」


 今度、お前がアンジェラにセクハラしたら殴っていいのか?


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

【予約受付中】
~書籍~
~3/27発売予定~
覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

【現在連載中の作品】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
フルフェイスマスクマン変身セットもお買い上げしてもらおうぜ。今ならライトセーバーセットでお得に1セット200万!
外堀が完全に埋まってますねえ 真面目なやつがからかわれるのは なろうのお約束( )
アーヴィン気の置けない仲間すぎる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ