第034話 ありゃりゃ
目が覚めると、リビングに向かう。
すると、良い匂いがした。
「おはよう」
キッチンにいるアンジェラが挨拶をしてくる。
「ああ。おはよう。早いな」
「まあねー。朝ご飯作ってるから顔を洗って、メアリーを起こしてきて」
「わかった」
言われたとおりに洗面台で顔を洗うと、メアリーの部屋に行く。
すると、いつものように腹を出して、ぐーすかと間抜け面で寝ているウチの可愛い娘がいた。
「メアリー、起きろ。朝だぞ」
「……朝はどうして来るんだろうね?」
メアリーが寝ぼけた顔で寝ぼけたことを聞いてくる。
「太陽が昇るからだろう」
「眠いよ」
「俺もだよ。起きろ。アンジェラが朝飯を作ってるぞ」
「良い嫁だ。ふわーあ」
メアリーが起きたので一緒にリビングに戻った。
そして、メアリーが顔を洗うと、朝食ができたので3人で食べる。
「晴れたわね」
「そうだな」
窓の外はキラキラと光る朝日と『私のご飯は?』って顔をしているラシェルが見える。
「ラシェル、ごめんよぅ。後で人参、あげっから」
メアリーはそう言って朝食をばくばくと食べていった。
そして、朝食を終えると、メアリーがラシェルの世話をし、アンジェラが洗い物を始めたので準備をし、店の掃除を始める。
しばらくすると、アンジェラも出てきたので一緒に掃除をし、店を開いた。
「水筒は残り何個だ?」
「10個ね。材料が届くのが早くて明後日かな?」
雨が降ってたし、明後日は無理だな。
「3日後か、4日後って考えておこう」
「そうね。そこから作り始めたら1日で10個くらいは作れない?」
そんなもんかな?
水筒は持ち運び用コンロとは違い、時間がかかるものじゃないのだ。
「よし、そんなところだな。頑張ろう」
「ええ」
俺達が計画を練り、気合を入れると、冒険者服に着替えたメアリーが出てきた。
「いえい! 伝説が追いかけてくるぜぃ!」
メアリーがポーズを決める。
「気を付けて行けよー。まだぬかるんだりしているからコケて泣いて帰るなよ」
「子供じゃないから泣かない!」
コケないって言って欲しいね。
「まあ、カトリーナにも言っとけ」
枝が引っかかって大惨事だったらしいし。
「そだね。じゃあ、行ってくる!」
メアリーが元気に出かけていったので仕事を始める。
すると、早速、お客さんが来た。
「よう、エリック」
あ、八百屋の親父だ。
「どうした、八百屋。また時計の修理か」
「いや、例の水筒をくれ」
あー、本当に客か。
「赤と青があるが?」
「どっちでもいいが、しいて言うなら青だな」
「じゃあ、これ。5000ミルドな」
「あいよ」
八百屋が金を払い、水筒を持って帰る。
すると、その後も続々と客が来てしまったため、1時間も経たずに水筒が売り切れてしまった。
さらには売り切れた後にも客がどんどんと来て、その度に謝っていく。
「アンジェラ、看板を作って、外にかけとくわ」
「それがいいかも。仕事になんない」
木の板に水筒が売り切れたことと次の入荷が1週間後であることを書き、店の外に立てかけた。
「あー、売れたな」
店に戻ると、椅子に座って一息つく。
「マジでね。やっぱり部品や魔石を大量に仕入れてて正解っしょ」
まったくだ。
「しかし、そうなると、また忙しくなるぞ」
「儲けになるんだから良いことじゃん。改築費用になるじゃんか」
確かにな。
「また頼むわ」
「アンジェラちゃんにお任せー」
ギャル卒したんじゃなかったのか?
「頼りにしてるよ。それに……ん?」
「アーヴィンさんだねぇ……」
店の外にはアーヴィンがおり、看板を見ている。
そして、見終えたのか、店に入ってきた。
「よう。エリック。アンジェラちゃんは今日もセクシーだね」
「おはよう」
「セクハラー」
セクハラが挨拶みたいだ。
「褒めたんだぜ」
「はいはい。そんで何か用? 水筒は売り切れで-す」
アンジェラがだるい系ギャルになった。
「水筒って何だ? なんかまた発明したのか?」
アーヴィンが首を傾げる。
「持ち運び用コンロを作った後に思いついた新商品だ。保温できるから氷も溶けないし、スープも温かいままという魔法の水筒だな」
「へー、それはすごいな。くれ」
「だからないっての。キースが帰ってこないと材料がないから作れないんだ」
看板を見ただろ。
「じゃあ、また来るわ」
「あいよ。お疲れ」
「用件はそれじゃないんだ」
でしょうね。
「何だ?」
「まずは森の火事の件だ」
お、アーヴィンの方から教えてくれるのか。
「消えたか?」
「ああ。無事に鎮火を確認した」
「それは良かった」
これで安心だな。
「かなり奥の方だったのが幸いだったんだが、実は結構、燃えたんだよ」
「そうなのか?」
「ああ。原因はまだ不明だ」
これから調査か。
「じゃあ、もう俺達の出動はないわけか?」
「ああ。ないし、森も普通に入れるぞ」
それは良かった。
「これで安心だな」
「実はもう1つ用事がある」
ん?
その微妙な顔は何だ?
「依頼か?」
「ある意味な。昨日から王都から新聞記者が来ているのは知っているか?」
スージーか。
「ウチにも来たぞ。山火事の取材に来たのに空振りだってな」
「ああ。それだけならまだいいのだが、フルフェイス・マスクマンとかいう謎の冒険者を聞き回っている」
あー……
「俺とアンジェラも聞かれたな」
「そのせいでウチの大佐が知ってしまったんだよ。平和なウチの町に怪しい人間がいるってな」
大佐ってこの町のトップだな。
嫌な予感……
「それで?」
「審査するから連れてこいって言ってる」
やっぱり……
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。
よろしくお願いします!




