なろう作者へのリワード還元が始まることで短編有利時代が終わる?
2025年10月7日に小説家になろう運営から発表がありました。
以前から導入予定であることを発表していた、なろうチアーズプログラムという制度の開始発表です。
1 なろうチアーズプログラムとは
なろうチアーズプログラムという、要はカクヨムのリワードみたいな作者への利益還元システムが始まるようです。
PVや作品の更新状況に応じてチアスコアという、カクヨムのアドスコアの様なものが貯まり、一定ポイント数で換金ができるみたいで、まぁカクヨムのリワードと同じような感じですね。
2 チアスコアは何で決まる?
では、そのチアスコアは何で決まるかというと、公式サイトの文言を抜粋すると以下の通りです。
『収益化が有効になった作品には作品ページにプログラム用の広告が設置され、閲覧数が蓄積されます。プログラム用広告の閲覧数や更新状況等を元にチアスコアが付与されます。』
要は、PVと作品の更新状況が加味されてスコアが算定されるようです。
PVは、そのままの意味でしょう。
広告がある部分まで読み切らないとPVとしてカウントされない等の条件が追加されて、現行のPVとはイコールにはならないでしょうが、作品を読んだPVと比例関係になるのは間違いないと思われます。
更新状況というのは、作品に新規エピソードを定期的に更新投稿しているかという意味かと思われます。
つまりは、累計ランキング上位で、毎日のPV数がえげつない名作やアニメ化作品であっても、なろう上での更新が全然行われていなければ、スコアは低めに算定されると思われます。
(まぁ圧倒的PV数で羨むようなリワードが入ってくるのかもしれませんが、その辺は運営側の算定式次第でしょう)
3 チアスコアが貯まりやすいのはどういう作品?
①日間総合ランキング上位の“連載”作品
瞬間風速で間違いなく強いのは、今読まれている作品でしょう。
何と言っても、有望な新作がドンドン出てくるのが小説投稿サイトとしての生命線。
PVも更新頻度もどちらも高いので、スコア計算上は一番優遇されると思われます。
②着実な定期更新で長期連載をしている作品
PVというのは、話数が多い作品ほど多くなります。
そして定期更新していて一定程度の固定読者を確保できている作品は、日間総合ランキング上位勢には及ばなくとも、安定したスコアを確保できると思われます。
③短編より連載作品
短編はチアスコア上は明確に不利でしょう。
現在の日間総合ランキング上位の短編作品を覗いてみても、ポイントに比してPV自体はそこまでだったりします。
なぜなら短編は読む人が多くても、基本的には1人1PVしか稼げないので、PVを稼ぐ上では効率が悪いからです。
仮に日間総合の順位が一緒であれば、エピソード数が複数ある連載作品の方が当然ながらPV数は圧倒的に多くなります。
単純に読んでいる人×エピソード数がPV数になるわけですからね。
4 短編有利が終わる
このチアーズプログラムが出来て、すぐには短編有利の状況は変わらないと思います。
ですが、徐々に連載作品を作者たちは積極的に投稿するようになるでしょう。
何より、人気作品やファンを多く抱えている人気作者ほど、やる価値があります。
人気作者たちは、すでにポイントやランキング上位を獲得して、名誉部分の承認欲求は充たされています。
なら、次はリアルマネーという新たな数字の指標でのバトルを求めるのは自然な流れです。
一昔前のアマチュア創作界にはびこっていた、創作活動で金銭を得ることへの忌避感なんて今では無いに等しいですから、収益化プログラムに申し込むハードルだって低いですし。
5 運営のねらいは?
①PV数を稼ぎたい
サイトの規模をはかる指数はなんと言っても、PV数です。
『サイト内のポイントが何万ポイントで~』は外部では通用しない数字です。
PV数が凄いサイトだからこそ、そこに出稿するネット広告の単価も上がるわけですから、PV数を上げるための試みは、サイトとしては正義です。
サイト全体のPV数が上がれば、書き手としてもより多くの人に読まれるわけですから、ありがたいことでしかないですし、有望な書き手が集まれば読む人も嬉しい訳で、PVを稼ぐことは三方両得です。
②有力な書き手の流出を防ぎたい
最近は、既に投稿者への利益還元をしているサイトに先行投稿しているという作品も増えました。
人気作ほど、こういった投稿の仕方を見かけます。
この傾向が進むと、小説家になろうに投稿すること自体がPVの分散になって損だと考えて、サイトの重複投稿をすることまで辞めてしまう作者も出てきかねません。
投稿者への収益化制度の導入が遅れたニコニコ動画がどうなったかという点からも、歴史が証明していますから、これに歯止めをかけるための導入となります。
果たして、今の導入タイミングで間に合ったのか否かは、今後の結果次第でしょう。
6 最後に
これは、小説家になろうの転換期になる施策だと思われます。
この、なろうチアーズプログラムが浸透したら、なろうのトップページに載る作品の陣容は大きく変わっているかもしれません。
でも、それは書き手側の労に報いる制度による変化なんですから、仕方がないかなと思います。
『新しいルールにいち早く順応したものが勝つ』
これもまた、このサイトの歴史が証明していることです。
さて、私が書き連ねた未来予想が当たるのか、それとも変わらないのか、全然違う形になるのか。
はたまた、配られるリワードが少なすぎて炎上するのか。(笑)
運営にプレッシャーを与えつつ今後に注目したいです。
<了>




