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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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未知の階層の景色

 ダンジョンに入るなら、とりあえずお着替えが必要!

 三鷹ダンジョンのセレブ感あふれまくった更衣室に入る。


 しょぼいロッカーが並ぶそこらの管理所とは違って、ここは半個室状態で荷物置き場がやたらと広いし立派な椅子まである。そもそも更衣室が男女別なだけじゃなくて、いくつもあったのが謎。

 お金のかけ方がすごいのは、やっぱりお偉いさんも使うからなんだろうね。


 ぱぱっと脱いで、ぱぱっとお着替え完了!

 高価な感じの設備をすごいなーなんて思いながら、みんなを待っていると、そろそろよさそうな雰囲気だ。


「よっしゃよっしゃ。みんな着替え終わったよね。あれ、楓おばあちゃんは着替えないの?」


 和服のままで変わってない。ダンジョンには行かないのかな。


「これが私の戦闘服だ。特別に作らせたものでね」


 そう言って笑う姿がお茶目だわ。でもなるほどね。ツバキも普段着がダンジョン装備だし、それと同じなんだね。見た感じ高級感ある完全に普通の和服だ。動きにくそうな気はするけどね。


「ほーん、そんなの作れるんだ。すごいね」


 なかなか面白いけど、私はお着替えしたほうが気分を切り替えられるし、気合も入る気がする。いまのままでいいかな。


 セーラさんは豪華な白のドレスっぽい装備で、琴葉さんは赤い騎士っぽい装備だ。ふたりともかなりカッコいい。楓おばあちゃんの着物だけ浮いた感じはするけど、あれはあれで特別感はあるかな。

 そしてマドカは私と似た魔法学園の制服ルック。なんか安心するわ。


 みんな着替え終わって、ぞろぞろと移動。ダンジョンのある広い部屋にやってきた。


「天剣とフロレゾが行った検証では、スキル強化には階層の深さによる影響は見られないと報告されていましたが……いかがしますか?」

「第一階層で極めて有効な強化が確認された場合もあれば、第五十階層でほどほどの強化という報告もあったわね。つまりどの階層で強化しようと、おそらく関係ないということよね。楓様はどう思います?」

「他人の結果など、あてにならんさ。どうせやるなら、聖来と琴葉、お前たちの直感に従ってやればいい。それなら結果がどうなろうが後悔は少ないだろう? 私はお前たちが決めた場所で構わないよ。むしろこういうのは、葵とまどかに聞いたらどうだ?」


 私に聞かれてもよくわからんけどね。


「そうですね。ちなみに九条さんの時はどうだったの?」

「あたしの時は、スキルが強化されるなんて知りませんでしたから。たしか第五階層でスキルの変化に気づきました。その結果は非常に満足できるものでしたが」


 マドカはスキルリンクが強くなったんだよね。覚えてるわ。


「第五階層で……琴葉はどう思う?」

「九条さんの結果は参考になります。浅い階層でもよいのだと思いますが、個人的な希望はありません。セーラ様にお任せします」


 セーラさんはふたりに任されちゃった分、余計に悩んでいるっぽい。

 でもスキルの強化ってそれだけでっかい出来事だよね。やり直せないし。


「葵は? あなたはどこがいいと思う?」


 うおっと。それを私にも聞いちゃう? まあいいけど。

 もし私のスキルを強化できるチャンスがあったとしたら、答えは簡単だよ。


「どうせならいっちゃん奥でやったほうがよくない? なるべく強いモンスター相手にしてさ。このダンジョンの最深部って第三十階層だよね? 私ならそこにするわ」


 それならどんな結果になっても、納得できるよね。別に第一階層でもたぶん変わらんって話らしいけどさ。

 あと第三十階層を見てみたい。私がダンジョンにいればオッケーだから、一緒に深く潜る必要はないけど、どうせなら一緒に行きたいし。このメタル系モンスター出まくりダンジョンの一番奥が、どうなってんのか知りたいわ。


「あ、そうだよ。忘れてないと思うけど『ウルトラハードモード』だからね? セーラさんたちが知ってるいつものダンジョンとはさ、たぶんもう全然違うモンスターが出ると思うよ」


 セーラさんたちはめっちゃレベル高いから、大丈夫とは思う。

 なんせ私たちみたいなレベル20そこそこでも、第二十階層までは攻略できたダンジョンだし。


 ただ、普通のダンジョンに慣れた人に、私の『ウルトラハードモード』はちょっと厳しいとは思いたい。楽々やられちゃってもね、それはそれで納得いかないわ。


「わかっているつもりよ。それも含めて楽しみね」

「では第三十階層に行きますか? 通常この三鷹ダンジョンの最奥では、シルバーもしくは稀にゴールドの大鬼が出現します。葵さんのスキルでどのように変わるのか、私も楽しみです」

「久しぶりに面白いことにありつけそうだ」


 楓おばあちゃんまで含めて、わくわく感が伝わってくるね。協力した甲斐があるってもんだよ。

 そうしてみんなで第三十階層に移動した。



 お初の第三十階層!

 私たちのこれまでの最高は第二十五階層だし、このダンジョンでは第二十階層までしか進めてない。だからマドカと私は、ちょろっとスキップしてしまった。


 そんな第三十階層の景色は、なんもない荒れた大地って感じだね。ずっと遠くのほうにモンスターがちょろちょろ見えるけど、それ以外はマジでなんにもない。敵の数もかなり少ないね。これだと稼ぎスポットにはならないかも。


「もしかしてさ、ちょっと寒い? この階層って冬? 真冬の感じ?」


 寒々とした景色だけど、たぶんホントに気温も低いと思う。


「これってスキルの効果で低温や風から守ってもらえてますよね。どなたですか?」

「私だよ。ここの階層だけはとにかく寒くてね、そうした環境から身を護る術がないと、やっていけるもんじゃないよ」


 おー、なるほど。ツバキの『たしなみの結界』みたいなやつを、楓おばあちゃんが使ってくれてるんだ。ありがたや。


「セーラ様、明らかにモンスターの様子が普段とは違います」

「そうみたいね。これが『ウルトラハードモード』……ゴールドしか見当たらないわ。しかも、大鬼とは別物ね」


 遠くわかりにくいけど、あれはどう見ても鬼っぽいモンスターとは違う気がするわ。


「あのようなモンスターは見たことがありません」

「私もないわね。楓様はどうですか?」

「いや……あんなのは見たことも聞いたこともない。人型に大きな翼、剣に甲冑、おまけになんだあの頭上の輪っかは?」

「宙に浮いてすべるように移動しています。直感的に受ける印象としては、まるで天使ですね」


 うん、そんな感じするね。すごい天使っぽいわ。

 まあどんな見てくれだろうと所詮はモンスターだけど。


「天使型のモンスターなんて面白いわ。葵と九条さんは見たことあるの?」

「初めて見たよ。結構強そうな感じするね」


 メタル系は元からめっちゃ防御力高いのに、甲冑まで装備してるからね。それだけじゃなくて、変な能力も持ってそう。私の頼れるハンマーでも、簡単にはやれない気がする。


「楓様、視えますか?」

「遠いね。こっちに引っ張ってこれるか? あそこの岩の辺りまででいい」


 ちょろっと遠くに岩があって、たぶん100メートルとか? あそこまでモンスターを連れてこいってことだよね。

 なんの話だろうね。楓おばあちゃんがなんかやるみたいだけど。


「敵の強さはまだ予測もできないわ。気をつけて、琴葉。あれは第三十階層のモンスターと思ってはダメよ、ダンジョン秘奥の特殊モンスターだと思いなさい」

「はい、そのつもりで挑みます。まずは様子を見ながら、可能であれば岩まで連れて参ります」

「葵とまどかは手出し無用だ。いいね?」


 ほいほいっと。邪魔するつもりはないからね、私たちは見物してようね。

 この人たちは上級クラスをゲットした高レベルハンターだから、特に心配してないし。


 ふたりに言われた琴葉さんが、細っこい剣を手に持って走り出した。

 めちゃくちゃ速いわ。たぶん『春雷歩法』を使った沖ちゃんより速いわ。なんかスキルを使っているっぽいけど、さすがは上級クラスのハンターだね。


 琴葉さんもモンスターもたぶんめっちゃ強いよね。

 ちょっとどうなるか気になるわ。

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