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知ってしまった事


 俺の直感だろうか。それとも、この前中間考査結果で鷹司さんの事を言った時に驚いた佳織さんの反応が気になっての事か分からないが、その日のうちに彼女に連絡を取った。


『佳織です』

『葛城です。今話できますか?』

『はい』

『実は鷹司理香子さんの件で』

『えっ?!』

 なんで祐也さんが鷹司さんの事を?


『実は…』

 俺は、鷹司さんが今日俺にして来たことを話した。


『そうですか。裕也さん、申し訳ないですが、当分、その鷹司さんという方が祐也さんにして来た事を伝えて頂けませんか?』

『それは構わないですけど、鷹司さんの事何か知っているんですか?』

『はい、でもそれは今ではなく、今度の土曜日お会いした時にしましょう』

『分かりました』

『祐也さん、今日はご連絡ありがとうございます』

『あっ、いえ。じゃあ、また明日』

『はい、また明日』

 

 鷹司理香子。一体どいうつもりなんでしょう。今更、あの家がなにを出来る訳でもないでしょうに。一応、この事お父様に伝えておいた方が良さそうですね。


 

 次の日は金曜日。俺は塾が無かったけど、来週末は体育祭だ。上野を誘って、少し準備運動をしないか誘った。急に体を全開にするのは良くない。

「ああ、全然構わないよ。俺も葛城に声を掛けようと思っていたんだ。小山内も誘うけどいいだろう」

「もちろんだ」


 俺達がそんな話をしていると

「あの、私も一緒では駄目ですか?」

「鷹司さん?」


「上野、どうする?」

「俺は全然構わないけど。小山内にも聞いてみる。ちょっと待って」


 上野が小山内の所に行って話しをすると驚いた顔をしている。その後上野が戻って来て

「構わないってさ」

「そうか、じゃあ、校庭に行くか」


 上野と一緒にジャージ姿に着替えている間、

「なあ、葛城。お前鷹司さんとなんか関係あるのか?一昨日位から彼女やたらお前に話しかけるよな」

「全く関係ないし、彼女の事は何も知らない。何で声を掛けてくるのかも分からない。話しかけるなら、俺よりもっと相応しい人が居ると思うんだけど」

「そうだよなぁ。女子だったら理解できるんだけどな」

「俺もそう思う」


 そんな事を言いながら着替え終わると約束した場所に小山内と鷹司さんが居る。所々で同じジャージの恰好をした生徒がいた。一周二百メートルのトラックは体育祭に向けて解放されているので、みんな一生懸命だ。同じクラスの奴も練習している。


「先ず準備運動からだな」

「ああ」


 簡単に一人で柔軟体操をした後、上野と俺、小山内と鷹司さんとで二人一組で柔軟体操した。


「痛い。引っ張り過ぎ」

「葛城、普段勉強ばかりだから。おらっ、もっと」

「痛てーっ。今度はお前の番だ」

「葛城、手やわらに」

「痛てーっ」

「まだだ」


 一人が足の延ばして後ろから背中を押すとか、エビそりをするとか。他に両手をお互いに組んで横に引っ張るとかする。

 他にも足を開いて横に手と一緒に傾けるとかだ。普段していないから痛くて堪らない。ふと横を見ると鷹司さんは随分体が柔らかい様だ。でも…。揺れる、揺れる。この人ブラしているの?ってくらい。


 上野も呆れて見ていると

「二人とも何処見ているの?」

「「あっ、いや」」


 ハモってしまった。だって仕方ないだろう。


 ふふ、少し緩いものを付けて来ました。しっかりと見てくれましたね。


 一時間位、しっかりと柔軟した。先ずこれをしないと。それから俺達はダッシュの練習を代わりずつ五本位して、昨日やったバトンパスの練習もした。

来週は他の練習と一緒に合同でしないと。


 一通り終わるともう午後四時半。

「そろそろ帰るか」

「ああ」


 上野と着替え終わって別れた。駅まで誘ったけど、用事が有るらしい。だからそのまま駅まで一人で帰ると後ろから声を掛けられた。


「葛城君」

振返ると鷹司さんだ。直ぐに横に並んだ。


「お一人ですか?」

「ええ」

「もしお時間有れば、この後喫茶店でも寄っていきませんか。色々教えて頂きたくて」

「そういう事はしませんので帰ります」

「ですけど…」

「寄りません。帰ります」

 佳織さんがいる。とてもじゃないが、この人と帰りに寄るなんて気にならない。



 葛城君が一人で改札に入って行った。思いのほか、固辞された。私に魅力がないとは思えない。では他の理由は…。まさか藤原佳織が…。でも四月から見ていてもあの人の影は見えないけど。

 

 

 俺は家に帰った後、自分の部屋に入ってから佳織さんに連絡を入れて、今日の話をした。


『そうですか。面倒ですね。でも祐也さんが、その方の誘いに乗らなくて良かった』

『当たり前です。佳織さんが居るのにあの人と会う訳には行きません』

『えっ?!』

『あっ!』


『嬉しいです。裕也さんが私をその様に思っていて下さっていたなんて。。普段会っている時、もっとその思いを私に出して頂いても良いのですけど』

『いや、今言ったのは…』

 参ったな。俺の頭の中で、少なくても佳織さんと付き合っているという既成事実が滲み込んで来ている。


『明日、お会いするのを楽しみにしています。裕也さんお部屋に行って宜しいですか?』

『いや、それはまだちょっと』

『では私の部屋で』

『それも、まだ』

『良いでは無いですか。既に来られている訳ですし』

 どうしようかな。この前行った時とは違っている。この前は佳織のお父さんへの挨拶を兼ねてだ。でも今度は彼女の部屋に行く事が目的になる。


『それともこの前の二人で行った別荘でも宜しいですよ。一泊しますか』

『流石にそれは』

『では、祐也さんお部屋という事で。その時に鷹司さんの事もお話しましょう』

『鷹司さんの事?』

『はい、では明日の午前十時には伺います。では』

『あっ、ちょっと』


 不味いなぁ。俺の部屋狭いし。でも鷹司さんの事も気になる。お母さんに聞いてみるか。知っているのかな?


――――― 

話途中ですが、次話に続きます。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひフォローとご評価★★★★★を頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします。




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