表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢です。ヒロインがチート過ぎて嫌がらせができません!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/49

9話:結ばれない二人

 体育祭の一週間前から始まった放課後の二人三脚の練習。

 セシリオは、リレーの方の練習は早朝にやっているようで、朝から放課後まで大忙しだった。そこで思い出すのが前世での自分の部活のこと。中学の頃はバスケットボール部で、よく蜂蜜漬けのレモンを持参し、みんなで食べていた。


 ということで屋敷のパティシエに作ってもらい、早朝のリレーの練習中のセシリオに差し入れると……。


「ありがとう、キャンデル伯爵令嬢! これはみんなで食べていいのかな?」

「はい。沢山あるのでみんなでどうぞ」

「嬉しいな。……頑張るよ!」


 とても喜んでもらえた。


 こうして二人三脚の練習も順調で、迎えた体育祭当日。

 秋晴れで青空が広がり、気温も暑すぎず、寒すぎずで丁度いい。


 私が出場するのは二人三脚だけではない。


 女子100メートル競走、玉入れ、綱引き、そして二人三脚だった。


 ちなみにこの体育祭もゲームでは……。


『玉入れでは悪役令嬢エマが、あなた目掛けて球を投げつけてきます。でも玉入れは男女混合競技。彼があなたを守ってくれるので、一安心。それに競技の後、彼はエマにきつく注意をしてくれるので、彼女の嫌がらせはしばらく収まりました。⇒続きを読む』


 つまり玉入れでも私は、エマに嫌がらせをすることになるのだけど……。


「では制限時間は五分。鐘の音と共にスタートです!」


 玉入れは一年生の競技で、一学年3クラスで勝利を目指す。

 鐘の音と共に、バスケットに向け、皆、一斉に玉を投げる。


 私もバスケットを狙うつもりなのだけど、手はアナの方へ向かってしまう。

 つまりシナリオの強制力で、アナを攻撃するように玉を投げていたのだけど……。


 アナは私が投げた玉を、見事にキャッチする。

 しかも。


「キャンデル伯爵令嬢、ナイス・パス! もっと投げてもらっていいですよ!」


 そんなことを言うのだ。

 傍から見ると、こぼれ玉を私が拾い、それをアナにパス。

 キャッチした玉をアナはバスケットに投げ入れた。

 見事な連係プレーをしているように思える。


 ただ、私のパスは容赦ない。

 アナがバスケットに玉を投げ入れている最中も、玉を彼女に向けて投げている。

 ではその玉はアナに当たるのか?

 当たらない。アナのそばにいるジャレッドがブロックしているのだ。

 時にキャッチしそこねて、ジャレッドの顔や体に玉が当たり、その時は物凄い形相で睨まれた。でもシナリオの強制力で動いている私は、気にせず玉を投げ続ける。


 こうして無限に続くと思われたが、五分の終了の鐘が鳴った。


 結果。


 私達のクラス、A組の勝利だった。

 勝因は――。


「キャンデル伯爵令嬢とディアス男爵令嬢の連携が、完璧だった。特にディアス男爵令嬢は百発百中かと思う腕前。とにかくこの二人のおかげで勝てた!」


 クラスメイトのこの分析に、私は苦笑するしかない。

 アナが恐ろしい程運動神経がいいおかげで、今回もまた、嫌がらせは不成立だった。ただ、玉を投げつけるというシナリオの流れには沿っている。かつジャレッドもアナを守るというシナリオの動きをできていた。


「キャンデル伯爵令嬢、ありがとうございます!」


 アナが当たり前のようにハイタッチを求めたので、応じてしまったが……。

 ヒロインと悪役令嬢なのに。

 ハイタッチなんてしている場合なのかしら?


「キャンデル伯爵令嬢、大活躍だったね」


 碧眼を細め、笑顔のセシリオが労をねぎらってくれる。

 これは……素直に嬉しい。


 セシリオと並んで座り、二年生の借り物競争を眺めていると、尋ねられる。


「玉拾いを率先して行い、ディアス男爵令嬢にパスして花をもたせる。彼女は君の婚約者とほぼ一日中一緒にいるというのに。それも許容している。どうしてそんな風にできるんだい? 寛容なその心は、まるで聖母のようだ」


 これにはうーん、違うんですよ、セシリオと思わずにいられない。

 まずアナとの連携。

 連携などではなく、その真逆なのだ。

 私はシナリオの強制力で、攻撃をしていたのだ。ジャレッドとアナが一緒にいるのを容認しているのは……。していない。ゲームのシナリオ上では。だからこそアナへ嫌がらせをするのだ。その一方で私自身はどう思っているのか。


 諦めだ。


 婚約してすぐジャレッドは、明確に政略結婚であると指摘し、私を愛していないと宣言している。それにジャレッドとアナのゴールインこそが、この乙女ゲームの世界が望んでいることと分かっているから……。


 最大は私が別にジャレッドに好意がない……という点もあるだろう。


 この辺りの事情、素直に打ち明けてもいいのだろうか?


 いいだろう。


 だってどうせシナリオの強制力が働くのだから。


「イートン令息との婚約は、政略結婚のためです。それはお互いに分かり切っていること。そしてイートン令息は、入学式でディアス男爵令嬢と知り合い、その時から好意を持っているのです。でも我が家との縁談話が浮上してしまって……。この婚約は、そう簡単に破棄できるものではありません。家同士で結ばれたものですから。どんなに仲良くしても結ばれない二人なら、せめて今だけはと許容している感じでしょうか」


 乙女ゲームのことを言えないため、こんな言い方になってしまったが。

 セシリオは私の言葉を聞いて、なんだか苦笑いをして「なるほど」と呟いた。


 そこで歓声がひと際大きくなった。

 借り物競争で女装した男子が、慣れないパンプスで走る姿に、爆笑が起きていた。


「結ばれない二人、か」


 セシリオが何か呟いたが、それは声援にかき消され、私の耳に届くことはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ