【第百三十六話】プロローグへと続く道
【配信メンバー】
・勇者セイレイ
・盗賊noise
・魔法使いホズミ
・魔物使い雨天 水萌
【ドローン操作】
・船出 道音(漆黒のドローン)
「……改めて思い返しても、とんでもない配信だったな」
ショッピングモールでの一連のイベントが終わり、座談会を繰り広げる俺達。
本当に、四天王戦とは思えないほどにわちゃわちゃとした配信だったものだ。
だが、当の四天王である空莉は満足そうに微笑んでいた。
「本当にありがとうね、皆!楽しかった!」
「お前が満足してるなら俺は何も言えねえよ」
思わず苦笑が漏れる。
恐らく、これで”四天王を倒した”という判定になるはずだ。
「……ってことは、次は魔王セージ……センセーと戦うのかな」
俺と同じ疑問を抱いたのか、ホズミは自らの意見を主張する。
「ついに、かあ。千戸先生……」
noiseは複雑そうに曇った表情を浮かべ、ぽつりと呟く。
それが、きっかけだったのかは分からない。
『まさか、ここまで到達するとはな。驚いたぞ』
「っ!?」
低く、大地を震わせるような声音がショッピングモール内に響く。
どこからともなく聞こえる声に、俺達は警戒の色を露わにした。
「どこだっ、センセー!?姿を現せっ!」
『今の我は、魔王セージだ……随分と成長したではないか、セイレイよ』
その言葉と共に、俺達から距離を置いた位置で空間が歪みを生む。
ガラス片のようにひび割れた空間から、センセー……魔王セージはゆっくりと姿を現した。全身を禍々しい鎧で覆われた、真紅のマントを揺らした魔王の姿として。
「……魔王。お前は……この世界において何なんだ」
完全に姿を現した魔王。俺は、まずこいつにそれを訪ねなければならないと思っていた。
すると、魔王はどこか遠い目をしながら俺の質問に答える。
「所詮、我も瀬川 沙羅にとっての舞台装置に過ぎないということだ。魔王として、Dead配信としてな」
「舞台装置……?」
話を聞いていたnoiseは、俺を押しのけて質問を投げかけた。
「千戸先生。質問いいですか」
「なんだ、一ノ瀬……と、今は教師と生徒という訳ではないのだが」
魔王は苦笑を漏らしながら、noiseの質問を待つ。
「どうして、千戸先生は瀬川 沙羅に協力するのですか。あなたは、一体世界をどうしたいのですか」
「どうしたい、か……簡単なことだ」
そこで言葉を切り、魔王は周囲をぐるりと見渡した。
車一台さえ残っていない屋外駐車場を見やりながら、話を続ける。
「我の望むがままの世界を作る。瀬川 沙羅の力を借りて……な」
「望むがままの世界?」
noiseは訝しげな表情を浮かべて魔王を睨む。だが、魔王はそれ以上答える気はないようだ。
「我も、世界に干渉するインフルエンサーの一人に過ぎない。プロローグに続く道を作るには、これしかないからな」
「……意味が分かりません」
「分からないように言っている。全てを破壊することが、全てを生む……それだけは言っておこう」
「破壊なんて、させない……!」
強く拳を握り、noiseは言葉を返す。
だが、肝心の魔王はそれ以上対話をするつもりはないのだろう。俺達に背を向けて、一方的に自分の言葉だけを告げる。
「次が、配信者同士の……最後の配信だ。我は、魔王城で待つ」
「あの、魔王城なんて見たことないです。一体何をボケているんですか?悪ふざけも程々にした方がいいですよっ」
雨天は首を傾げながら、魔王の言葉に疑問をぶつけた。
「焦るな、見ていろ」
魔王はそう答えると共に、指を鳴らす。
轟音が、鳴り響く。
空が、赤黒い暗雲に覆われる。
「っ!?」
「空が……!?」
「きゃっ!?」
「ひっ」
「わっ!」
俺達は突如として引き起こされる超常現象に、姿勢を低くして身構える。
「——っ!!」
その中で、秋狐は慌てた様子で高く飛翔。空から、ぐるりと景色を見下ろす。
やがて、彼女の視線は一点に注がれる。
「皆っ!!あれ!!私と同じ方向を見て!!」
秋狐は慌てた様子で指差した。
俺達は彼女の視線の先に合わせ、屋外駐車場の柵に手をかけて景色を見下ろす。
「……なんだ、あれ!?」
景色を飲み込む桜の木々を抉るようにして、ひとつの巨大な建物がせり上がっていくのが見えた。
中世を彷彿とさせる、荘厳たる城。だが、その外壁は漆黒に塗装されている為、どこか禍々しい印象を受ける。
それは、住宅街を抉る形で存在感を示す。
「魔王!これは一体何だ!!」
俺は背後に立つ魔王へと振り返り、怒鳴り声を浴びせた。だが、魔王は「くくっ」と歪んだ笑いを浮かべるのみで質問に答えようとしない。
「……全ては、プロローグの為に。我の意図を知りたくば、魔王城に来い」
「意味が分からねえよ……!」
「なに、いずれ分かる。ではな」
そう告げると同時に、魔王の全身を構築する物質が桜の花びらへと変化していく。
「っ、待てっ!」
慌てて俺は魔王に向けて手を伸ばすが、時すでに遅し。
そこにあるのは、ふわりと舞う桜の花弁の感触だけだ。魔王自身は俺達の視界から、完全に姿を消した。
「……セーちゃん……」
空莉は、不安げな表情を浮かべて俺に語り掛ける。
俺はじっと手に残る桜の花弁を見つめ、それから仲間達を改めて見渡した。
「……皆、力を合わせよう。こんな配信、こんな世界、こんな空の色……何もかもが間違えている」
禍々しく、黒と赤のコントラストを生む空。重苦しささえ感じるほどの空に覆われながら、俺は決意の言葉を胸にした。
「行くぞ、魔王城へ!センセーと話を付けに行くんだ!!」
To Be Continued……
まさかここまで書き進められるとは、と自分が一番驚いてる
小説歴半年の頃に書き始めてからよく続けてると思います
【開放スキル一覧】
セイレイ
青:五秒間跳躍力倍加
緑:自動回復
黄:雷纏
noise
青:影移動(光纏時のみ”光速”に変化)
緑:金色の盾
黄:光纏
赤:金色の矛
ホズミ
青:煙幕
緑:障壁展開
黄:身体能力強化
赤:形状変化
雨天 水萌
青:スタイルチェンジ
緑:純水の障壁
黄:水纏




