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天明のシンパシー  作者: 砂石 一獄
⑧大都会編
252/322

【第百二十一話(1)】縁(前編)

【配信メンバー】

・盗賊noise

・魔法使いホズミ

・戦士クウリ

・僧侶ディル

・遊び人アラン

【ドローン操作】

・秋狐(白のドローン)

[え]

[こいつが]

[嘘だろ]


 コメント欄は加速する。


[こいつが居なかったら、魔災は起きなかった]

[返せ]

[俺達、魔災を起こした張本人が作ったアプリを触ってんのかよ]


 コメント欄が荒れていく。


[ふざけんな。もう触るかよこんなクソアプリ]

[全部お前のお膳立てかよ]

[返してください。私の娘、両親を。今すぐに]

[最悪だ。最悪、もうマジで終わってる]


 知らされる真相に連なり、視聴者の怒りが言葉を介して伝わる。

 当然、私達だってそうだ。

「全部、あなたのせいだったんですか」

 だが、瀬川 沙羅は困ったような薄ら笑いを浮かべるのみだった。


「くくっ、隠し通したかったんだがな。バレてしまっては意味がない」

「——っ!」

 怒りに身を任せ、私は素早く槍を構えて駆け出そうとした。

︎︎ だが、そんな私達を差し置いて、カメラの前に現れるのは一人の少女。

「……瀬川 沙羅さん、こんにちは。こうして会うのは初めて、ですねっ」

「おや。いつかの四天王じゃないか、どうも。元気にしていたかい?」

「おかげさまで」

 雨天 水萌だ。レインコートを風にはためかせながら、彼女はじっと瀬川 沙羅を見据える。

「あの、どうしてこんなことするんですか。力を存分に使いまくった私が言うのもなんですけど、世界を滅茶苦茶にして楽しいですか」

 首を傾げ、純粋な疑問をぶつける。

 瀬川 沙羅はその質問に対し「んー」と物思いに耽るように唸っていたが、しばらくしてひとつ頷いた。

「どうせ得た力なら、存分に振るってみたくないかい?」

「……あなたは……っ!」

 彼女の返事を聞いた雨天の表情が険しくなる。

 そして、何の躊躇もなく叫んだ。

「皆さん、ごめんなさいっ!権限借ります!」

[information

 Dive配信にアカウント権限が貸与されました。スパチャブーストは使用することが出来ません]

 そのシステムメッセージに連なり、雨天を取り巻くようにクラーケンの触手が伸びていく。

 相対する瀬川 沙羅も、それを真似るように再びアスファルトから樹根を伸ばす。

「そうだ、ちょうどいいね。私は雨天 水萌、君ともお話をしようと思っていたんだ」

「うるさいっ!私はお話なんてしたくありませんっ!こんな自分勝手に人を傷つけて!嫌な思いをさせて!私のお母さんと何が違うの!!」

 雨天の感情に答えるように、伸びた触手が瀬川 沙羅の頭上目掛けて振り下ろされる。

 だが、瀬川 沙羅はなんてことのないように樹根でそれを防いで見せた。

「まあそう固いことを言うなよ。私は君に力を与えたことを後悔しているんだ」

「どういう、ことですかっ!」

 カウンターを繰り出すように瀬川 沙羅は雨天を突き刺さんと樹根を伸ばす。それはまるで鋭い槍の如く襲い掛かった。

「っ!」

 雨天はすかさず左手を振るう。その動きに連なり、触手が腕の延長の如く伸び、彼女を樹根から守る。

「Relive配信こと船出 道音は、一ノ瀬 有紀の後輩に当たる人物。Drive配信こと荒川 東二は荒川 蘭の父親。そして荒川 蘭は勇者セイレイが配信を開始するきっかけとなった張本人だ」

「なんの、話をっ……!」

 樹根と触手。

 激しく打ち付ける攻防の最中、瀬川 沙羅は淡々と己の主張を告げる。

「分からないかな。勇者配信は、いずれも何かしらの(えにし)を持つ者達で成り立つんだよ」

「だから、何の話を——っ!」

「Dive配信こと雨天 水萌。君は勇者達と何の縁を持つ?」

「……」

 雨天の放つ触手の一撃を、難なく瀬川 沙羅は捌き切った。

 瀬川 沙羅の放つ言葉に、雨天の表情が絶望に曇り始める。

「な、何の縁って……」

「そのままの質問だよ。周りと拒絶し続けた君は、皆と何の縁を持つのかって聞いているんだ」

「私は……」


「今、そんなこと関係ないでしょっ!」

 雨天を庇うように飛び出したクウリは大鎌を振り下ろす。

 だが、その一撃すら瀬川 沙羅は難なく樹根を巡らせて防ぎ切った。

「関係あるよ。繋がりはとても大切なことだよ」

「繋がりがないなら、作ればいいんだっ!僕達は配信者という繋がりを持ってるっ!」

「……配信者、ねえ」

 何か思いついたように不敵な笑みを浮かべる瀬川 沙羅。

 彼女は次いで、クウリ目掛けて腕を振るう。

「少しどいてもらうよ。なに、痛めつけるようなことはしないからさ」

「何を——っ!?」

 彼女の動きに呼応するように、鞭の如くしなる樹根から伸びた蔓がクウリを打ち付ける。

「っ——」

「クウリ君っ!」

 雨天の悲鳴が響く中、クウリは大きく吹き飛ばされた。だが、さしたるダメージではなかったようでクウリは素早く空中で体勢を立て直す。

「なっ……足が……!?」

 だが、本来の目的はクウリの動きを止めることにあった。着地した彼の足元を蔓が縛り付ける。

 身動き一つとれなくなったクウリを一瞥した後、瀬川 沙羅は悠然と雨天に歩み寄る。

「こ、来ないでっ!沈め……!」

 雨天は震えた声で叫ぶ。彼女の願いに呼応するように、何もない空間から生み出された水流が瀬川 沙羅に襲い掛かる。

「来ないでとは嫌われたものだね。君も反抗期かい?」

「うるさいっ!うるさい……!」

 だが瀬川 沙羅の伸ばす樹根により、水流は激しく弾かれる。雨の如く降り注ぐ水しぶきが、陽光に照らされて虹を生み出していた。

「あっちに行ってよ……っ!嫌だっ」

[雨天:純水の障壁]

 拒絶するように、雨天は眼前に水滴の障壁を生み出した。

 全ての攻撃を防ぎきるはずのその技。

「相も変わらず拒絶するんだね。君は」

 瀬川 沙羅はその水滴の障壁を見てなお、にやりと笑う。

 それから自ら受け入れるように水滴に手を伸ばした。


「……え?」

 呆けた顔を浮かべる雨天。

 瀬川 沙羅の手が水滴に触れた瞬間、何事もなかったかのようにそれは世界から消えた。

 静寂と化した配信の中、彼女のブーツが床を叩く音だけが響く。

「そうだ、縁さ。君達は配信者という縁を持って、繋がっている。そうだろ、雨天 水萌」

「嫌だ、嫌だ……いや……」


「何をしようと……!?」

 瀬川 沙羅に向けて問いかける。

 だが、彼女は私の問いかけには何も答えず、撫でるように雨天の頭を優しく叩いた。

 次の瞬間。

 

「……え」

 雨天が生み出した触手が、突如としてホログラムとなり全て世界から消えた。

「嘘っ、嘘だ……!」

 彼女は慌てて、何度も腕を振るい触手を伸ばそうとする。だが、傍から見たら子供の悪ふざけにしか見えない光景が続くのみで、触手は雨天の望みに答えようとしない。

 その様を見て、瀬川 沙羅は雨天を撫でたまま優しい声音で問いかけた。

「さあ、改めて質問させてもらうよ。雨天 水萌」

「……っ」

「君は、一体彼等と何の縁を持つ?」

「私は、セイレイ君達勇者一行と、行動を共にする配信者で……」

 ふるふると首を横に振りながら、雨天は懸命に自らの意見を主張する。

 だが、瀬川 沙羅は馬鹿にするように、歪んだ笑みを浮かべてそれを否定した。

 

「配信者じゃない今は?」

「あ……あ……っ」

「薄っぺらい縁だね。ネットに頼らなければ繋がることの出来ない縁なんて、所詮この程度なんだね」

「わ、私……は……」

 力を失った雨天は、ぺたりと地面に座り込んだ。

 もう二度と、触手は彼女の願いにこたえようとしない。


 To Be Continued……

【開放スキル一覧】

noise

青:影移動(光纏時のみ”光速”に変化)

緑:金色の盾

黄:光纏

赤:金色の矛

ホズミ

青:煙幕

緑:障壁展開

黄:身体能力強化

クウリ

青:浮遊

緑:衝風

黄:風纏

ディル

青:呪縛

緑:闇の衣

黄:闇纏

アラン

青:紙吹雪

緑:スポットライト

黄:ホログラム・ワールド

赤:悟りの書

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