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天明のシンパシー  作者: 砂石 一獄
⑧大都会編
236/322

【第百十三話(1)】都心攻略配信-side noise-(前編)

【配信メンバー】

・盗賊noise

・魔法使いホズミ

・戦士クウリ

・僧侶ディル

【ドローン操作】

・秋狐(白のドローン)

 まるで、巨大なアリの巣に放り投げられたような感覚だ。

 崩落した瓦礫や桜の樹根によって作り上げられた物陰からちらりと様子を覗くと、そこには魔物の群れがうじゃうじゃと戯れているのが見える。

 自分達の存在が間違っているんじゃないかと感じてしまうほどに、辺り一面魔物だらけだった。

「ねえ。ホズミちゃん……本当に大丈夫?」

「正直不安だけどね。何とかするよ」

 ホズミは生唾を飲み込み、静かに杖を青色のそれへと持ち替えた。

 大さな魔石を杖のくぼみへと嵌め込み、その照準を一角で戯れている魔物へと向ける。

「noiseさん、陽動お願い!」

「任せて!」

 私が一人物陰から躍り出るのに合わせ、ホズミは杖を掲げて叫ぶ。

「氷壁よ、放て!」

[ホズミ:氷弾]

 眼前に表示されたモニターへシステムメッセージが表示されると同時に、私の隣を抜けるように氷弾が着弾した。

 それは瞬く間に私を庇うように大きな氷壁を築き上げ、あっと言う間に氷で作られた日陰が形成される。

「一か八か、だね」

 そうポツリと言葉を漏らしつつも、私は一人眼前に集う魔物の群れへと駆け抜ける。

 ゴブリン4体、オーガ1体、インプ2体。強化個体のないシンプルな魔物構成だ。


 作戦を構築するにあたり、ホズミは自らの見解をこう話していた。

『もし。互いが独立したグループだとしたら、自分に関係ないことには関わりたくないって思うんじゃないかな?だとしたら目立つように大暴れするよりも、必要最小限の魔物だけ減らすという方法をとっても良いのかも』


 そう推測した結果、このような作戦になった。

 通路の妨げになる魔物以外へ自身の姿が映ることのないように、氷壁を活用して死角を作る。

 自分達と似たような心理状況を持っているとしたら「何かあったけど自分達には関係の無いことだから」と勝手に自己解釈してくれるはずだ――というのがホズミの考えだった。

(相も変わらず無茶苦茶な作戦を思いつくよ)

 心の中で配信ナビゲーターとしての彼女の発想力を賞賛しながら、私は腰に携えた短剣を引き抜く。


 ようやく私の存在に気付いたゴブリン共が、驚愕しながらも各々の得物を構えて私を見据える。

 ゴブリンは短剣を。

 オーガは棍棒を。

 インプは鋭い爪をチラリとこちらに向けた。


「ギギッ!」

「はっ、こちとら一人は慣れてんだよ」

 敵意を見せつけるように先頭に立つゴブリンは剥き出しの歯をこちらへと向ける。だが、私はそんな魔物達と何度も刃を交えてきた。

 静かに短剣を構え、対峙するゴブリンの動きをじっと観察する。すると、そのうちの一体が血気盛んに私を殺さんと駆け出した。

「私が時間を稼ぐ!頼んだぞ」

 だが、魔物の敵意を何度となく浴びてきた私にとって、もはやそれらは脅威に感じない。

 必要最小限の動作で攻撃を躱しつつ、私は仲間達に目配せした。

「有紀姉!」

 合流したクウリは遠慮することもなく、大鎌を激しく振り回す。小柄な身体に似合わない彼の大鎌の一撃によって、次から次に舞い上がるは魔物だった灰燼。

「頭上からこんにちはーっ!スパチャブースト”黄”!」

[ディル:闇纏]

 ディルのふざけた宣告(コール)と共に、アスファルトの地面に翼の生えた人影が生み出される。確認するまでもなく、闇纏によって漆黒の翼を伸ばしたディルだ。

「あはっ、ほらほらっ!今日の天気は雨かなっと!」

 矢の雨の如く、漆黒の羽が弾丸となり魔物の群れへと襲い掛かる。クウリに弾き飛ばされ、息も絶え絶えと言った様子で地面に伏していたゴブリン共を一同に貫く。

 残されたのはオーガとインプのみ。

 私達の後衛でホズミは赤色の杖を正面に構え、その照準を残った魔物の群れへと向けていた。

「っ、爆ぜてっ!」

[ホズミ:炎弾]

 彼女が甲高い声で叫ぶと同時に、鋭い矢の如き炎弾がオーガを中心として炸裂する。

 核熱の如き真紅の爆風が、アスファルトを抉りながら激しく舞い上がった。

 オーガを盾とする形で集っていたインプが、その爆風に大きく弾き飛ばされる。

「さすがだ、皆」

 私は仲間達に労いの言葉を掛けながら、金色の短剣を弾き飛ばされたインプに突き立てる——。


 ----


「自分達に被害が無いなら我関せず、か」

 魔物を全滅し魔石の回収も終えた後、ふと脳裏に過ぎった言葉を呟く。

 実際に氷壁の物陰からスクランブル交差点に残った魔物を見てみるが、確かにこちらを警戒している様子はない。

 あれだけ派手に物音がしたのだから、少しくらい警戒してもおかしくないはずだが。

『正常性バイアスだね?魔物にもあるんだそう言うの』

 秋狐はあっけらかんとした声音でそう言った。

「だろうね。自分は当事者じゃないから大丈夫、って傍観者を決め込んでる」

『私達にとっては都合が良いけどねぇ……なんか複雑』

 いつもはお調子者と言った様子の秋狐だが、今はどこか悲しげな雰囲気だ。

 しかし、配信中という事を思い出したのだろう。小さく咳払いをしてから気持ちを切り替える。

『っと。攻略に支障が無いなら進もうかな?安全地帯を見つけたいところだね。どこかビジネスホテルとかない?』

「どこにでもありそう……ただ、壊れてないことが前提だね。進みながら探そう」

 秋狐の提案に同意した私達は、安全地帯を確保するべくビジネスホテルを探すことにした。


 To Be Continued……

https://www.nicovideo.jp/watch/sm44848654?ref=garage_share_other

棒人間バトル新作です。DSi世代にうごメモやってた人から見たら懐かしい作風になっているかも……?

【開放スキル一覧】

noise

青:影移動(光纏時のみ”光速”に変化)

緑:金色の盾

黄:光纏

赤:金色の矛

ホズミ

青:煙幕

緑:障壁展開

黄:身体能力強化

クウリ

青:浮遊

緑:衝風

黄:風纏

ディル

青:呪縛

緑:闇の衣

黄:闇纏

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