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天明のシンパシー  作者: 砂石 一獄
⑦ターミナル・ステーション・ダンジョン編
211/322

【第百一話】知らなかった姿

【登場人物一覧】

瀬川(せがわ) 怜輝(れいき)

配信名:セイレイ

役職:勇者

世界に影響を及ぼすインフルエンサー。

他人を理解することを諦めない、希望の種。

前園(まえぞの) 穂澄(ほずみ)

配信名:ホズミ

役職:魔法使い

瀬川 怜輝の幼馴染として、強い恋情を抱く。

秋狐の熱心なファンでもある。

一ノ瀬 有紀(いちのせ ゆき)

配信名:noise

役職:盗賊

男性だった頃の記憶を胸に、女性として生きている。

完璧そうに見えて、結構ボロが多い。

青菜 空莉(あおな くうり)

配信名:クウリ

役職:戦士

心穏やかな少年。あまり目立たないが、様々な面から味方のサポートという役割を担っている。

雨天 水萌(うてん みなも)

元四天王の少女。健気な部分を持ち、ひたむきに他人と向き合い続ける。

案外撫でられることに弱い。

・another

金色のカブトムシの中に男性の頃の一ノ瀬 有紀のデータがバックアップされた存在。

毅然とした性格で、他人に怖い印象を与えがち。

・ディル

役職:僧侶

瀬川 沙羅の情報をベースに、ホログラムの実体化実験によって生み出された作られた命。詭弁塗れの言葉の中に、どこに真実が紛れているのだろうか。

船出 道音(ふなで みちね)

元Relive配信を謳っていた少女。過去に執着していたが、セイレイに希望を見出したことにより味方となる。やや気が強い。

秋城(あきしろ) (こん)

配信名:秋狐

セイレイ達より前にLive配信を歌っていた少女。運営権限を持ち、世界の真相に近い存在でもあるようだ。

須藤(すとう) 來夢(らいむ)

配信名:ストー

船出 道音より運営権限を引き継いだ、漆黒のパワードスーツに身を包む青年。今回の配信相手でもある。

 ——無表情で、淡白で、機械的な人間。

 私がずっと記憶している姿は、たったそれだけだった。

『死にたくなければ立ち向かえ。お前に残された生き方はそれだけだ。生温い考えなど捨てろ』

『……はい。師匠』

 ただ魔物を屠るだけの、戦闘マシンへと一ノ瀬 有紀を書き換えた人物。

 名前は知らない。聞いても『それを知ってお前に何のメリットがある』と吐き捨てるように言われたから。

 

 私が記憶しているのはそんな姿だけ。

 ただ無機質でつまらない人間、としか思わなかった。


 しかし、追憶のホログラムが映し出す姿は、一体何だろうか。


『來夢。父さんを置いていくな!ちょ、ちょっと待ってくれ!』

『パパ遅いー!ほら、早くしてよお腹空いたー』

『分かった、分かったから!ほら、母さんも行こう』

『はいはい……ほんっとうに元気ね?』

『すくすくと育ってくれて嬉しいよ。このままずっと、元気でいて欲しいな』

 妻や子供と共に、楽しそうにレストラン街の店舗を巡る父親としての姿が映し出される。

 纏う雰囲気こそ違えど、その姿は紛れもない私の師匠だった。


「……師匠」


 ----


 noiseがぽつりと漏らした言葉を、聞き逃さなかった。

 追憶のホログラムが映し出すのは、活気にあふれたレストラン街だ。

 受付に従い、通路に沿うように配置された丸椅子に腰かけて雑談する恋人。

 案内板を見て、どの店に入ろうかと相談する友人と思しきグループ。

 トイレの前でスマートフォンを触って時間を潰している女性。

 そんな、かつての世界を描く光景の中で、noiseはある一点に視線を向けていた。


 子供に振り回され、慌てた表情を浮かべる父親の姿。筋骨隆々の逞しい肉体を持ったその男性は、はしゃぎまくる子供について行くので精一杯……といった様子だった。

 そして、その男性は「來夢」と子供のことを呼んでいる。つまり……。

「あれは、ストーの……子供時代か。そして……」

「……うん。あの父親が、私の師匠だよ」

「……」

 noiseはそれ以上言葉を返すことなく、曇った表情でその家族の姿を眺めていた。

 俺はどこに視線を向けるべきか分からず、縋るようにドローンのホログラムが表示するコメント欄へと視線を移す。


[懐かしいなー。彼女とよく行ったわ]

[ちょっとした特別感あって好きだったよ。どの店にしようか結局決まらんのな]

[↑わかる]

[noiseの師匠さんかー。普通の人に見えるけど]

[懐かしすぎる。そう言えばレストラン街は今まで見たことが無かったな]

[大きなダンジョンじゃないとそもそも見ることがないよね]

[案外普通じゃない人ほど普通ぶらない?]

[分からなくもないけど]

[私もゆきっちとよく行ったよ。ゆきっち小食だから、結局私か紺ちゃんで残ったの食べること多かったけど]


 コメント欄では、相変わらず過去に思いを馳せる人々の言葉が流れていく。

 そんな中、ホズミもnoiseの様子が気になったのだろう。彼女の操作するドローンがnoiseの側へと移動する。

『noiseさん。師匠って、noiseさんに戦闘技術を叩き込んだ人ですか?』

「……ああ。ああいう表情も出来たんだな……」

『確か、過酷な訓練を受けたんでしたね。noiseさんが一人の戦闘マシンとして生き抜くことが出来るように』

「……そうだ」

 そう言って、noiseは腰に携えた短剣を鞘から抜き、その切っ先を眺める。自らの殺めた師匠が、彼女に託した短剣。それは鶴山の想いを受取ったことにより金色に輝いていた。

 短剣に反射する己の姿をまじまじと見ながら、noiseはぽつりと言葉を漏らす。

「どっちが本当の師匠の姿だったんだろう。あんな、普通の父親の姿としての師匠……私は知らない」

『魔災が……彼を、変えてしまったのでしょうか?』

「……分からない」

 noiseは力なく首を横に振った。

 そんな彼女の元へ、呑気に欠伸をしたディルが近くに歩み寄る。

「はっ、随分と知ったかぶりだね、おねーさん。君はどれだけそのお師匠さんのとこで修業したんだか知らないけどさ、そんな数年で全部の要素を理解できるわけないでしょ?」

「ディル。お前こそ何も知らないくせに、話に割って入って欲しくないものだがな」

 突然話に割って入ってはそう挑発するように語り掛けるディルに対し、noiseはついに苛立ったような言葉を返す。

 だが、ディルはやはりというか話を止めようともせずに言葉を続けた。

「だからさあ。多側面なんだよ。ジョハリの窓さ。一側面だけですべてを理解したと考えるなんて図々しいにも程があるね?ルービックキューブと同じさ。一側面だけ完成されてても、ひっくりかえしたらぜーんぜんっ色が揃ってないようなもんだよ。知ったかぶりもほどほどにしなって」

「多側面……」

「another君が丁度いいモデルケースでしょ……というか君自身だけど。外面だけ見れば完璧超人だけど、まー情緒不安定な部分持ってるし、打たれ弱いし、ちょっと気づいてしまえば弱点塗れ。おねーさんも同一の存在なら簡単に理解できるんじゃない?」

 そこで言葉を切ると、ディルは最後に吐き捨てる。

「……ぱっと見の情報だけですべてを理解したような気になるなよ、反吐が出る」

 どこか彼の言葉には、自虐的なものがあるように思えた。

「ディルの言うとおりかもな。すまない、私はどうやら師匠の人物像を十分に把握できていなかったようだ……セイレイ」

「あ?何だ?」

 唐突に話を振られるとは思わず、ついぶっきらぼうな口調で言葉を返す。

 noiseはそんな俺の返事を気にも留めず、追憶のホログラムが映し出す光景に視線を送った。

「この光景をスケッチブックに残してくれないか。私達は、想像以上に世界を知らなさすぎる」

「ああ。分かった」

 もちろん、それを拒否する理由などない。俺は一つ頷き、noiseからスケッチブックを受取った。

 まっさらなページを開き、鉛筆を薄汚れたペンケースの中から取り出す。

 

 レストラン街を歩く人々。誰も彼もが、その身体では表現できないほどの数多の人生を経験してきたはずだ。

 その生きてきた道のりに思いを馳せつつ、俺は鉛筆を走らせる。

 まだ純粋な子供であったはずのストーや、noiseの師匠でもある父親の姿。そして、その父親が気にかけている母親と思われる人物。

 一体、彼らはどんな人生を歩んできたのか。そして、魔災によってどう人生が書き換えられてしまったのだろう。

「……本当に、最悪なことをしでかしたんだな。Tenmeiとか言う企業は……」

 一人一人の人生に思いを馳せる度、それら全てを奪っていった魔災の原因のTenmeiには怒りしか覚えることが出来ない。

 そして、そのTenmeiには俺の父親である瀬川 政重と、姉の瀬川 沙羅も関わっていた。

 一体、怒りの矛先をどこに向かわせればいいのだろう。どうして、こんな世界を作り出す結果となったのだろう。

 滲む怒りが、スケッチブックに描かれる光景の筆圧を強くした。


 To Be Continued……

総支援額:42500円

[スパチャブースト消費額]

 青:500円

 緑:3000円

 黄:20000円

【ダンジョン配信メンバー一覧】

①セイレイ

 青:五秒間跳躍力倍加

 両脚に淡く、青い光を纏い高く跳躍する。一度に距離を縮めることに活用する他、蹴り技に転用することも可能。また、着地時のダメージを無効化する。

 緑:自動回復

 全身を緑色の光が覆う。死亡状態からの復活が可能である他、その手に触れたものにも同様の効果を付与する。

 黄:雷纏

 全身を青白い雷が纏う。攻撃力・移動速度が大幅に向上する他、攻撃に雷属性を付与する。

②クウリ

 青:浮遊

 特定のアイテム等を空中に留めることができる。人間は対象外。

 緑:衝風

クウリを中心に、大きく風を舞い上げる。相手を吹き飛ばしたり、浮遊と合わせて広範囲攻撃に転用することも出来る。

 黄:風纏

クウリの全身を吹き荒ぶ風が纏う。そのまま敵を攻撃すると、大きく吹き飛ばすことが可能。

③noise

 青:影移動

 影に潜り込み、敵の背後に回り込むことが出来る。また、地中に隠れた敵への攻撃も可能。

 (”光纏”を使用中のみ)

  :光速

 自身を光の螺旋へと姿を変え、素早く敵の元へと駆け抜ける。

 緑:金色の盾

 左手に金色の盾を生み出す。その盾で直接攻撃を受け止めた際、光の蔦が相手をすかさず拘束する。

 黄:光纏

 noiseの全身を光の粒子が纏う。それと同時に、彼女の姿が魔災前の女子高生の姿へと変わる。

 受けるダメージを、光の粒子が肩代わりする。

④ディル

 青:呪縛

 指先から漆黒の鎖を放つ。鎖が直撃した相手の動きを拘束する。

 緑:闇の衣

 ディルを纏う形で、漆黒のマントが生み出される。受けるダメージを肩代わりする効果を持つ。

 黄:闇纏

 背中から漆黒の翼を生やす。飛翔能力を有し、翼から羽の弾丸を放つことが出来る。

 漆黒の羽には治癒能力が備わっている。

ドローン操作:前園 穂澄

[サポートスキル一覧]

・支援射撃

 弾数:2

 クールタイム:15sec

 ホーミング機能あり。

・熱源探知

 隠れた敵を索敵する。

 一部敵に対しスタン効果付与。

[アカウント権限貸与]

①雨天 水萌

・消費額:20000円

・純水の障壁

・クラーケンによる触手攻撃

②船出︎︎ 道音

 ・消費額:20000円

 ・ワイヤーフックを駆使した立体的な軌道から繰り広げられる斬撃

 ・ノアの箱舟

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