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天明のシンパシー  作者: 砂石 一獄
⑦ターミナル・ステーション・ダンジョン編
210/322

【第百話(3)】人々の集う場所(後編)

【登場人物一覧】

瀬川(せがわ) 怜輝(れいき)

配信名:セイレイ

役職:勇者

世界に影響を及ぼすインフルエンサー。

他人を理解することを諦めない、希望の種。

前園(まえぞの) 穂澄(ほずみ)

配信名:ホズミ

役職:魔法使い

瀬川 怜輝の幼馴染として、強い恋情を抱く。

秋狐の熱心なファンでもある。

一ノ瀬 有紀(いちのせ ゆき)

配信名:noise

役職:盗賊

男性だった頃の記憶を胸に、女性として生きている。

完璧そうに見えて、結構ボロが多い。

青菜 空莉(あおな くうり)

配信名:クウリ

役職:戦士

心穏やかな少年。あまり目立たないが、様々な面から味方のサポートという役割を担っている。

雨天 水萌(うてん みなも)

元四天王の少女。健気な部分を持ち、ひたむきに他人と向き合い続ける。

案外撫でられることに弱い。

・another

金色のカブトムシの中に男性の頃の一ノ瀬 有紀のデータがバックアップされた存在。

毅然とした性格で、他人に怖い印象を与えがち。

・ディル

役職:僧侶

瀬川 沙羅の情報をベースに、ホログラムの実体化実験によって生み出された作られた命。詭弁塗れの言葉の中に、どこに真実が紛れているのだろうか。

船出 道音(ふなで みちね)

元Relive配信を謳っていた少女。過去に執着していたが、セイレイに希望を見出したことにより味方となる。やや気が強い。

秋城(あきしろ) (こん)

配信名:秋狐

セイレイ達より前にLive配信を歌っていた少女。運営権限を持ち、世界の真相に近い存在でもあるようだ。

須藤(すとう) 來夢(らいむ)

配信名:ストー

船出 道音より運営権限を引き継いだ、漆黒のパワードスーツに身を包む青年。今回の配信相手でもある。

 漆黒の羽がダンジョン内に舞い落ちる。

「あはっ、あははっ!見てるかい!?ねえ!?見てよ、これがありのままの僕さ!」

「ギィィィッ!」

 インプが次から次に放つ熱光線の隙間を掻い潜るディル。彼を逃すまいと次々に追尾する熱光線から逃れながら、ディルは素早く羽を広げる。

 その動作に伴って、舞い上がる羽がスコールとなってインプへと降り注ぐ。

「どうだい?さいっこうの気分だよ、これがボクのやりたかった配信なのさっ!」

 無数に弾丸の如く射出される羽をインプは避けることが出来ない。

 俺は、そのディルが激しく繰り広げる空中戦を呆然と見上げることしかできなかった。

「大丈夫?セイレイ」

「ああ……」

 noiseに支えられ、俺は左足を庇いながら慎重に体を起こす。

 幸か不幸か、穿たれた傷は熱に伴って焼け焦げ、出血は止まっていた。

 そんな俺に向けて、ディルは自身の背中から伸びた漆黒の翼から羽を一枚ちぎる。

「セイレイ君、これでも使いなよ」

「……?」

 無造作に放り投げられた羽はひらひらと空気抵抗を受けながら、やがて俺の眼前へと舞い降りる。

 それを受け止めた俺は、なんとなくディルの意図が理解できた。


「こういうことか……?」

 物は試し、という形でディルから受け取った漆黒の羽を傷口へと当てる。

 やがて、漆黒の羽は瞬く間に皮膚の中へと溶けていく。

「なっ……」

「何、これ……!?」

 目の前の光景が信じられないといった様子で、noiseが驚愕の声を上げた。俺も眼前で引き起った光景を瞬時に脳内で処理することが出来ず、唖然とする。

 溶け込んだ漆黒の羽が、波紋を描くように傷口を塞いでいく。

 どこか血管の中を不快が駆け巡るような感覚を覚えながらも、その光景からは目が離すことが出来ない。

 やがて何もなかったかのように、正常な皮膚が形成された。


 俺の傷口が回復したのを見届けたディルは、空を舞いながら楽しそうな笑い声を浮かべた。

「あはっ、やっぱりそうだと思ったっ!元々のボクのスキルは”全体回復”だったろ?それに成り代わる形でこのスキルになったんだから回復能力はこっちに残ってると思ったんだよね」

「ギィッ!」

 ついに攻撃が当たらないことに苛立ちを隠すことの出来なくなった二匹のインプ。熱光線を悉く躱され続け、らちが明かないと判断したのだろう。近接攻撃を仕掛けるべくディルに向けて飛び掛かった。

「ま、そう来ると思ってたよ。よっと」

 だがディルが当然それを予想していないはずがない。ひらりと身体を翻し、インプが爪を駆使して放つ斬撃を回避。それから、インプの腕を鷲掴みにして見せた。

「ジャイアントスイング、って言うのかな?いくよーっ!」

 まるで新しいおもちゃでも見つけたかのように、ディルは嬉々として大きくインプを振り回し投げ飛ばす。吹き飛んだインプの身体が、もう一体の同族へと直撃。瞬く間に体勢を崩し、地面に叩きつけられる。

 インプの叩きつけられた位置は、図ったかのようにクウリの近くだった。

「はい、いっちょ上がり。さ、戦士クンに仕事をあげるよ」

「ご丁寧な誘導、ありがとね!?」

 困惑しながらも、クウリは大鎌を構える。

 そして、インプが体勢を立て直す前に大鎌でその首根を掻き切った。


[残り:0]


 ★★★☆


 その後も、俺達は着実に探索を進めていく。

 

「セーちゃん!任せたよっ。スパチャブースト”緑”!」

[クウリ:衝風]

 クウリがスキルを駆使して弾き飛ばしたインプを俺が迎え撃つ形をとる。

「サンキューなっ、クウリっ!」

 振るうファルシオンの軌跡が、インプに重なった。それと同時に舞い上がる灰燼が、インプの絶命を知らせる。

 次から次へと襲い掛かる魔物の群れを、俺達は力を合わせて倒す。


 俺達は、なるべく消耗を避けるべく、雨天や船出の力も積極的に借りた。

『雨天ちゃん!行ける?』

「わあ、敵がいっぱいですねっ!?任せてっ」

ドローンからひょいと飛び出た雨天は、高らかに手を掲げる。

「せーのっ……おいで!クラーケンっ!」

 そう雨天が声を張り上げるのに連なって、彼女が従える形で巨大なクラーケンの触手が地面を突き破り現れる。

[information

 Dive配信にアカウント権限が貸与されました。スパチャブーストは使用できません]

 そのシステムメッセージが表示されると同時に、俺達は素早く後退。俺達が安全地帯に下がったのを確認した雨天は、眼前に表示された配信画面を映すコメント欄にちらりと視線を送る。

 視聴者の応援の声が表示されているのだろう。雨天はクスリと笑った後、真剣な表情を作る。

「皆の想い、私が力に変えるのっ!」

 雨天が振り上げる手の動作に呼応するように、触手が大きくうねりを伴う。彼女の操作する触手に伴い、インプが次から次に弾き飛ばされていく。

 その一振りで、商品棚が大きくひしゃげる。

 風化したクーラーボックスにひびが入り、中に残っていた保冷剤が散乱する。

「ギィィィ!」

 インプ達は混乱しながらも、雨天目掛けて熱光線を放つ。

「させないもんっ!えいっ」

[雨天:純水の障壁]

 雨天が可愛らしく掛け声を放つと同時に、顕現する眼前に巨大な水滴。それは瞬く間に熱光線を吸収し、光を閉じ込めた。

 彼女の眼前で水滴が混ざり合い、それは歪な光を生み出す。

「いつもの通り、お返ししますっ!」

 勢いのままに振り下ろす両腕。その動きに呼応して、瞬く間に光を纏った水滴がはじけ飛ぶ。

 熱光線を吸収した水滴が散弾銃の如く、インプの群れを貫いていく。

 それを見届けた雨天は、素早くドローンの近くへと後退。

「それじゃあ後はお任せしますねっ」

 自らの姿を光の粒子と変え、雨天の姿は瞬く間にドローンの中へ溶けて消えた。


 入れ替わるようにして配信画面内に飛び出た俺達は、インプが体勢を取り戻す前に的確にとどめを刺していく。

「雨天、よくやった!」

[えへへ。道音ちゃんみたいな攻撃力はないですけど、集団戦ならお任せあれっ]

[グッジョブ。次も頼むよ 10000円]

[今来た。頑張れー! 10000円]

『残り2体。油断せずに対処してくださいっ』

 流れるような連携に伴い、巻き上げるのは魔物を倒した時に生まれる灰燼。


 「……カ……ッ」

「……っと。これで最後だな」

 最後に残ったインプの喉元へとファルシオンを突き立てた。

 舞い上がる灰燼に、魔物の全滅を確認した俺達は次のポイントを目指す。

 

 ----

 

 ぐるりと一周することが出来る、回遊型に店舗の並ぶレストラン街。

 各々の店舗がその存在感をありありと示しているが、二度とその店内で食事をすることなど出来やしない。

 そんな延々と、遠くまで並んでいる食事処の一角。

 俺達は、ある店舗のメニューボードの上に静かに佇む結晶体を見つけ出す。

「これでようやく、レストラン街も攻略だね」

 クウリはそれを見つけると同時に、安堵の声を漏らす。

 眼前に配置されていたのは追憶のホログラムだった。

「さて。一体何が映し出されるのか、だな」

 noiseは固唾を飲んで、じっとその追憶のホログラムを見つめる。

 恐らく、ダンジョンボスでもあるストーに関連した映像が映し出されるのだろうとは思っている。しかし、ターミナル・ステーションの一体どこに思い入れがあるのか、皆目(かいもく)見当(けんとう)はつかない。

 「さあな。とりあえず起動してみるか」

 手をこまねいていても何も解決しない。

 そう判断した俺は、追憶のホログラムに静かに手を伸ばす。


 いつものように、追憶のホログラムに触れるのに伴って光が迸る。

 大地を駆け巡るプログラミング言語が、かつての世界を描き始めた。


 世界は、ありのままの姿を映し始めた。


 To Be Continued……

めちゃくちゃ個人的な話なんですけど、いつも愛用していた執筆ソフトのidraftがサ終しちゃうので今回からnolaを使い始めました。

小説歴一年を迎えた節目でまさか執筆サイトがサ終するなんて、思いもしなかったよ!!(悲痛の叫び)


総支援額:42500円

[スパチャブースト消費額]

 青:500円

 緑:3000円

 黄:20000円

【ダンジョン配信メンバー一覧】

①セイレイ

 青:五秒間跳躍力倍加

 両脚に淡く、青い光を纏い高く跳躍する。一度に距離を縮めることに活用する他、蹴り技に転用することも可能。また、着地時のダメージを無効化する。

 緑:自動回復

 全身を緑色の光が覆う。死亡状態からの復活が可能である他、その手に触れたものにも同様の効果を付与する。

 黄:雷纏

 全身を青白い雷が纏う。攻撃力・移動速度が大幅に向上する他、攻撃に雷属性を付与する。

②クウリ

 青:浮遊

 特定のアイテム等を空中に留めることができる。人間は対象外。

 緑:衝風

クウリを中心に、大きく風を舞い上げる。相手を吹き飛ばしたり、浮遊と合わせて広範囲攻撃に転用することも出来る。

 黄:風纏

クウリの全身を吹き荒ぶ風が纏う。そのまま敵を攻撃すると、大きく吹き飛ばすことが可能。

③noise

 青:影移動

 影に潜り込み、敵の背後に回り込むことが出来る。また、地中に隠れた敵への攻撃も可能。

 (”光纏”を使用中のみ)

  :光速

 自身を光の螺旋へと姿を変え、素早く敵の元へと駆け抜ける。

 緑:金色の盾

 左手に金色の盾を生み出す。その盾で直接攻撃を受け止めた際、光の蔦が相手をすかさず拘束する。

 黄:光纏

 noiseの全身を光の粒子が纏う。それと同時に、彼女の姿が魔災前の女子高生の姿へと変わる。

 受けるダメージを、光の粒子が肩代わりする。

④ディル

 青:呪縛

 指先から漆黒の鎖を放つ。鎖が直撃した相手の動きを拘束する。

 緑:闇の衣

 ディルを纏う形で、漆黒のマントが生み出される。受けるダメージを肩代わりする効果を持つ。

 黄:闇纏

 背中から漆黒の翼を生やす。飛翔能力を有し、翼から羽の弾丸を放つことが出来る。

 漆黒の羽には治癒能力が備わっている。

ドローン操作:前園 穂澄

[サポートスキル一覧]

・支援射撃

 弾数:2

 クールタイム:15sec

 ホーミング機能あり。

・熱源探知

 隠れた敵を索敵する。

 一部敵に対しスタン効果付与。

[アカウント権限貸与]

①雨天 水萌

・消費額:20000円

・純水の障壁

・クラーケンによる触手攻撃

②船出︎︎ 道音

 ・消費額:20000円

 ・ワイヤーフックを駆使した立体的な軌道から繰り広げられる斬撃

 ・ノアの箱舟

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