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Grand finale「結婚は人生の墓場だと言う」「それなら、共に、同じ土に還るまで」⑤

 ――結婚式の全てのプログラムが終わり。私は真白と共に、花嫁姿のまま、式場前のガーデンへと出た。


 建物の外では、招待したゲストの方々が一堂に会しており。私はその中の一人を見つけると、「由希!」と彼女に声をかけた。



「――詩子!」



 由希は私の姿を見ると、パッと明るい笑顔をこちらに向けた。私はその屈託のない笑顔が嬉しくて、そのまま勢いよく彼女に駆け出すと、飛び込むように由希の体に抱き着いた。



「由希~! 本当、本当に良かったよ、スピーチ! 涙を堪えるの、大変だったんだから!」


「へっへっへっ、4か月間ずっと考えてたからな! ……まあ、途中からなんか、原稿読まなくなったけど……」



 由希ははにかみながら頬を掻き、私はその様子がおかしくて「あはは」と声をあげて笑った。


 と、途端。「でい」と由希の後ろから声がして、同時に由希は、「ぎゃひぃっ!」と声を上擦らせて飛び上がった。



「……アンタねぇ。私の目の前なんだし、ちょっとは配慮したらどう?」


「み、心春……。いいじゃねぇか、アンタもさっき玲菜と抱き合ってたんだし」


「アンタが詩子と抱き合ってるのとでは話が違ってくんのよ!」



 心春がギャンと牙を剥く。私はそれを受けて慌てて由希から離れると、「ごめん、ごめんって、心春」とごまかすように笑った。



「……ていうか、アンタね。旦那が横にいるのに、そういうことしていいのかよ?」


「だから、私と由希はただの友達だって。真白はその辺わかってるから」



 私がそう言って後ろを向くと、真白は穏やかに笑い、「僕は気にしてないからいいよ」と答えてくれた。


 私は真白を親指で指しながら、「ほら」と堂々と言う。心春はため息を吐くと、「それでいいのかよ、お前らは」と肩を竦めた。



「……つーか、わかってはいたけど。……真白、アンタやっぱ変わったよね……」


「……詩子の好みに合わせるために、ちょっと、ね」



 真白はそう言うと、5年前よりかなり筋肉質になった肉体を見せつけるように自分の胸を撫でた。心春は再び肩を竦めて、「はいはい。愛の力って奴ね」と呆れ果てた。



「……でも、心春。ありがとうね」



 と。私はそんな不遜な態度を見せる心春に、だけど、そう感謝の言葉を割り込ませた。


 心春は「は……?」と、いきなりの私の言葉にキョトンとする。私は困惑する彼女をよそに、心の底からの笑顔を向けた。



「だって、ちゃんと招待受け取ってくれたじゃん。由希のことも、連れて来てくれたしさ」


「……そりゃあ、だって。……まあ、私ら、友達だし」



 心春は少しだけ顔を赤くしながら、バツが悪そうに答えた。私は彼女の脇腹をつつくと、「かわいい反応するじゃん、このこのぉ~!」と心春をからかった。


 心春は「んぎぃ~! やっぱ私、アンタ嫌い!」と私の体を強く指でつついた。私は「あっはっはっ、くすぐったい!」とくねくねしながら心春にケラケラと笑いかけた。


 由希がくすりと笑う。私はそのまま、彼女にも「由希も、ありがとうね!」と笑いかけ、由希はそれを受けると「別に、頼まれたことやっただけだし」と答えた。



「それだけじゃないよ」


「……おん?」



 と。由希はどうやら私の受け答えを理解し切れていないらしく、そう呟きながら首を傾げた。


 私はそのまま、式場の全員に話しかけるように体を向け、「みんなも!」と声をかけた。



「――私たちがこの結末に辿り着けたのは、間違いなく、みんながいたからだから。……だから、由希も、心春も、他の人たちも――みんな、本当に、心の底から、ありがとう」



 私はみんなに聞こえるように声を出す。みんなが私の方を向いて、由希と心春は私の声に楽しそうに笑う。



「本当に、みんな――応援してくれて、ありがとう! 私たち、これから先も、頑張るから!」



 私はそう声高に叫びながら、決意と覚悟を込めて、みんなに大きく手を振った。


 青空は透き通っていて、太陽の光はどこまでも(そら)を駆け抜けて行った。

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