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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第三章 湖めぐり旅

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トラブルの種はつきない

 人間の国の名は、「アルザス」。


 船から見ると、たくさんの住居がある。やはり村とは違い国は大きい。

 亜人一つの村の人口は千人弱だが、ここには一万人以上住んでいると聞いていた。


「子供のころに一度きたきりだけど、更に大きくなったみたいね」


「そうねん」


 久々に訪れたフローラ達は、昔をなつかしがっている。

 陸に近づくにつれ、人の姿も見えてきた。


 沿道に商店がのきつらねて、人で混み合っている。

 どの店も活気があり、繁盛はんじょうしているようだった。


 クルーザーが港に入っていくと、大小様々な船が停泊していた。


「さてどこに止めていいのやら……あれか」


 桟橋さんばしで旗を振って、合図をしている兵士が見えた。

 ハンスさんの声が聞こえてくる。


「勇者殿ー! こちらへどうぞ!」


「分かりましたー! リンダ、エンジンの出力を下げてくれ」


「あいよ」


 俺はクルーザーの速度を遅くしてもらう。

 エンジンを付け替えたので、アクセルレバーが操縦席にはなく、速度調整はリンダに任せていた。

 かじは独立してるので、操舵輪そうだりんを回して船の向きは変えられる。


 俺は慎重に操舵そうだしながら、桟橋に船を寄せた。

 錨を降ろすと、フローラ達は係留ロープを投げてくれた。


 桟橋にいる兵士達がロープを引っ張り、丸太ビットに巻き付けてクルーザーは停船した。

 リンダが蒸気エンジンを止めた後、渡し板がかけられる。


 俺達がアルザスに上陸すると、大勢の人達とミシェルが出迎えてくれた。


 そしてもう一人、きらびやかな絹ドレスを着た、長い黒髪の女性がいた。


 一瞬、俺は大和撫子かと思ってしまう。どう見ても日本人に見える。


「ようこそ勇者様。私は婚約者のみやびと申します。年若く至らぬところもございますが、どうぞよろしくお引き回しのほどお願い申し上げます」


「え――――!」


「はあー!? なに言ってんのよアンタ!」


 アルザスのお姫様の一言で、桟橋は修羅場になってしまった。


 思えばこれが波乱の幕開けである。


「……ついた早々トラブルかよ」


◇◆◇◆


「おりゃりゃりゃりゃあああああ!」


「いでよ水精霊ウンディーネ! エアの激流!」


 ここは女神ノルニルの湖の一つ、ニュクス湖。

 王国のあるセレネ湖から、西にある湖だ。


 二人の少女が何かと戦っていた。それは霧に浮かぶ、巨大な黒い「影」。

 大きさにひるむことなく、二人は攻撃をしているが全く効いてる様子はない。


 「影」の方は積極的に反撃しようとはせず、まとわりついてくる蠅を、払うような動きをしていた。


 少女達の動きが素早くて、とらえられないのだ。


 一人の少女が「影」に飛び上がっては、殴ったり蹴ったりしている。

 もしくは引っ掻き攻撃を繰り返して、湖面の上に降り立つ。これは魔法ではない。


 よく見るとあしで作ったいかだが、あちこちに浮いている。

 それを足場にしていたのだ。ヒモで結んだだけの小さいイカダである。


「しゃああああああ!」


 少女は四つん這いになって、「影」を威嚇する。

 その姿はまるで豹。


 頭の上には獣耳けもみみがあり、体には黄色の毛皮のブラとパンツをつけて、お尻からは尻尾が出ている。


 彼女は獣人、亜人である。


 手足は人間と変わりないが、今は爪のついた毛皮グローブとレガースをつけて戦っていた。

 それが唯一の武器である。


 獣人族はオークに匹敵する強さを持ち、爪の一撃はヒグマを引き裂くほどでかなり強い。

 しかし、「影」には傷一つついていなかった。


 人知れず、少女達の戦いは続いていた。

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