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俺は勇者じゃなくて、釣り人なんだが  作者: 夢野楽人
第三章 湖めぐり旅

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クルーザーを魔改造するしかない

 壊れているスクリューはもちろん取り替える。しかし、それだけでは船は動かない。

 一番問題なのは、燃料の軽油がないことなのだ。


 地中深く掘れば石油はあるかもしれないが、ヘスペリスで探すのはまだ難しい。

 みんなに聞いてみたが、近くに油田はないようである。


 仮にあったとしても、クルーザーでは燃費が悪すぎて、長旅にはヨットの方が上だ。

 戦車並みにガボガボ油をくうので、大金持ちでなければ航海にもいけない。


 丘サーファーならぬ、マリーナ引きこもりの船はたくさん見ました。格好だけです。


 漁船は小さくまだ燃費は良い方だが、叔父は燃料代に頭を悩ませていたものだ。


 そこでクルーザーから今あるエンジンを取っ払って、新たに蒸気タービンエンジンをつけることにした。


 現代でも火力発電に使われており、蒸気で羽根車とスクリューを回すのだ。

 火精霊(サラマンダー)をリンダに召喚してもらえば、蒸気機関は動かせる。


 必要な水は湖からみ上げて、今ある燃料タンクに入れておけばいい。

 これなら燃料を気にせず旅はできる。


 オークを始め、たくさんの亜人達がエンジン製作を頑張ってくれた。

 ドワーフも応援に駆けつけてくれて、俺が頭を下げると、


「いやいや、儂らも面白いから作ってる。勇者殿には恩もあるし、気にする必要はない」


 と言われた。


 こうして蒸気タービンエンジンが完成し、クルーザーへの取り付け作業が行われている。

 ヘスペリスの技術力は毎日進歩しており、製作に時間はかからなかった。

 リンダは作業を見ながら言った。


「あたいは、ピストン運動が好きなんだけどねー」


 コラコラ腰をふるな、動きがいやらしい。変な風に誤解されるだろう。

 多分誘ってるんだろうが、俺は無視することにした。


「まあ、船だとタービンの方が効率がいい」


「だわさ。これを参考に次は本当の鉄船を作る。神怪魚にも負けない物を作るわ!」


 リンダの目はやる気に満ちており、本当に楽しそうだった。

 物を買うよりも、物を作る方が人は満足できる。やはり達成感があるからだろう。


「俺はもう戦いたくないけどなー……あと悪いけど旅につきあってくれ」


「いいよ、エンジンを見なくちゃいけないしな。今度はロリエも入れて五人旅だ。楽しみだ」


 リンダは冒険にワクワクしているようだ。その気持ちは俺も分かる。

 毎日のしがない生活だけでは、飽きもするし心が腐る。やはり変化が欲しい。

 俺が海外に行きたいと思ったのも、狭い日本から飛び出したい気持ちがあったからだ。


 危険が待っていようが人は未知を求める。

 遠くへ行ってみたいという心は抑えられない。


 俺がクルーザーを直すことにした理由は、無線機があったからだ。

 流石に取り外せないし、また無線が入った時の応答に必要だった。


 あと生活拠点としてクルーザーは便利であり、車中泊ならぬ、船中泊で旅ができる。


 陸地でテントを毎日張るのは面倒くさい。


 蒸気自動車でも移動は出来ると思うが、道路がない所もあり、途中で進めなくなるだろう。

 やはり障害のない湖を、船で移動した方がいいのだ。


 どっちにしろ、ヘスペリスの地図はないので手探りで進むしかなかった。

 女神の湖は五つあるが、全てを見て回った者はいないそうだ。


 ロビンさんの話では、湖ごとに別種の亜人が住んでるらしい。それも飽くまで噂だ。

 一部は霧の結界の外にあるらしく、行けるかどうかも怪しい。


 この旅は、かなりの危険が待ち受けているだろう。


 そこで女達がついてきてくれることになったのだ。三人は言うまでもなく、俺より強い。


 ロリエは薬師やくし兼、治療師ヒーラーとして一緒に行くことになった。

 これで怪我をしても治してもらえるので安心だ。


 パーティーメンバーは旅の支度を、とっくに終えていた。あとは行くだけである。


 クルーザーの改造は着々と進み、いよいよ蒸気タービンエンジンが始動する。


「おお!」


「やった、成功だ!」


 新たにつけられたスクリューは見事に回っていた。現代の物に比べても見劣りしない。

 凹んだ部分も見事に補修されている。直してくれた精霊さん達はやはり凄い。

 何度か動作テストをして、クルーザーは湖に浮かべられた。


 実際に船を走らせてみたが問題なし。これで全ての準備は完了。

 皆様ありがとうございますm(_ _)m


 さて、最初はどこに行こうか? 


 と思っていたら馬に乗った騎士が、こっちにやってくる。

 近くで馬から下りて、俺に近づいてくる。その顔には見覚えがあった。


「こんにちわ。ハンスさん、でしたっけ?」


「はい勇者殿、王よりの書状を預かって参りました」


 ミシェルの部下であるハンスさんは、背中から木筒を取り出す。

 今までは口頭で族長に伝えていたが、一度失敗したので紙に切り替えたらしい。

 これなら手紙は残るので伝達内容は伝えられる。


 前回、天候が悪い中で落馬したのは気の毒だった。

 俺が見た所、ハンスさんの体は治ったようで、後遺症もなさそうだ。

 まあ電話回線が広がれば、伝令の仕事もなくなるだろう。


 俺は手紙を受け取って読んで見る。

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