表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喪女ミタ感想おきば  作者: つこさん。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/68

あたしがいるから


『43話 わんこー』

『44話 油断大敵とはこのことを言うのか……』

くらいのとき、どこかであったおはなし


「運転免許を、取るぅ?」


 ある日の夕方、ミュラさんがイネスちゃんを連れてやってきたとき。じゃがいもの面取りをしていたソノコが言い出した言葉を聞いてあたしは声をあげた。リビングのテーブルを拭いていたミュラさんも「えっ」と言った。そりゃそうでしょう、よりによってソノコが。なんでそんなこと思ったのよ。


「ミュラさん、運転できていいなあって。レアさんも持ってるんでしょう? なんかかっこいいし。わたしも運転したい」


 たったそれだけのこと? 布巾を手にしたままやってきたミュラさんと顔を見合わせた。さて、どうやって諦めさせようか。


「ソノコ、あなたに自動車は必要ないでしょう」

「うん、べつに自動車がほしいわけじゃないんだけど」


 ミュラさんが切り出した言葉に、ソノコが少し考えるようにしながら答えた。「運転できたら、いろんなところ行けて、いいなあって」ミュラさんはもう一度あたしを見て、あたしもミュラさんを見て。きっとあたしはどうしようって顔してる。


「ソノコ、行きたいところがあるなら、あたしが運転するわ」


 今日の主菜は牛すじ肉のブラウンスープ。ミュラさんが好きな。風味づけのために燻して乾燥させた食用タツキの葉を刻んで入れる。その手元を、ミュラさんが見ている。


「――どこへだって。ファピー観戦でも、お買い物でも、どこかの観光でも。連れて行ってあげる。ソノコにはあたしがいる。だから、運転免許は必要ないわ」


 混ぜ入れたら、香りがぐっとひき立った。ひと煮立ちさせたら、ちょっとだけ置いて安定させる。


「うん、その方がいい。あなたに運転は向いていない」


 あたしが避けた言葉を、ミュラさんがしっかりさくっと言っちゃった! ソノコが「ええー?」と不満げな声。でもどうにか丸め込めて、「わかりました、取りません……」と言わせた。あたしもミュラさんもほっとした。――そうね、自動車買おう。いろんなところへ行くために。


 あたしがね、連れて行ってあげる。あなたが行きたい場所。あなたが見たいもの。それがいい。


 芽を取りながら「なんかこう、かっこよく、しゃーっとしたかったのに」とソノコがよくわからない擬音をつぶやいた。

 

 どうしてこう、無自覚なの。あなた、すごく運動音痴なのよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想ほしいよっ かいてっ><
(画像クリックで別タブで『Web拍手』に飛びます)
(ログインなし、匿名で書き込めます)
拍手ボタン

群馬情報タレコミ場所 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ